前々回からの続きです。
およそ7年ぶりに復活したタンノイ・ウェストミンスターの音にはほんとうに驚いた。ずっと抱いていたイメージの音と随分違っている!
もちろん、いい方にだが~(笑)。
大いに不満だった中低音域のあの籠った音が見事に払拭されているし、中高音域の透明感もなかなかのもの。定評ある同軸2ウェイの音像定位の見事さは相変わらず健在だった。
「ああ、良かった! これなら付き合えそうだなあ」。お見合いが無事成立してホッとしたというのが実感。
俄然乗り気になってあとは結婚までの道程をどう乗り切るか、きめこまやかなアプローチに入った。
☆ 使っているテクニクスのネットワークは高音域(1100ヘルツ~)のレベル調整が可能だが、「0~10」段階あってマックスは0だが、当初2の位置で聴いたものの強すぎるのでもっと下げて4の位置で全体的なバランスが取れた。とても調整位置に余裕があるので大助かり。
☆ 駆動したアンプは当初は「171シングル」アンプ(インターステージトランス入り)だった。
我が家で1,2位を争うエース級だが、こういう時こそ出番とばかりとっておきの真空管を装備した。
前段管には「AC/HL」(英国マツダ:トップが長方形マイカの最初期版)、出力管には「171」(トリタン仕様)、整流管には「480」(SPARTON:メッシュプレート)
持ち主が言うのも何だが、まずオークションにも滅多なことでは出品されない球ばかりである。
「ほんとにええ音やなあ!」と、感心しながら次から次にテスト盤を試聴したが、エンヤの「Caribean Blue」の冒頭の一撃であえなくクリップした。
小出力アンプの悲哀を味わった。
能率が95dbのスピーカーに出力1ワット未満のアンプではやっぱり苦しいかなあ。音の素性はとてもいいんだがと、思わず天を仰いだ。
仕方なく「フィリップス」を鳴らしていた「PX25シングル」アンプと交替。
フィリップスを取るか、ウェストミンスターを取るか、二者択一だがやっぱり投資額の大きい方を無駄にしたくないのが人情だよねえ(笑)。
結局これがベストの組み合わせだった。
丁度、テレビでNHKスペシャル「プラネットアースⅡ第2集激変の大地に生きる」をやってたが、雪崩のシーンがあって、その音が物凄かった。
ドド~ンと腹の底まで響きわたってくる低音域の迫力にぶったまげた。これがウェストミンスターの底力というものか。
口径38センチのユニットのスピード感は別として雄大さと迫力は口径30センチとはまったく別次元のものだ。
たとえば近年、口径20センチのユニットを2個ウーファーに使う例をよく見かけるが、音圧は対数の世界なので「20センチ×√2(1.4142・・・)≒30センチ(口径)」に相当する。同様に口径30センチが2発の場合は30センチ×√2≒42センチ(口径)に匹敵する。したがって、口径38センチはおよそ30センチ2発に肉薄するのだから違って当たり前。
結局、ウェストミンスターにグッドマンの「AXIOM80」のような繊細な音は望むべくもないが、こういう低音域の豊かな広がりをひたすら愛でるスピーカーなのだろう。