「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

大画面の迫力

2017年02月28日 | 独り言

年から年中オーディオがらみの記事を掲載していると、中には呆れ返っている方がいるかもしれない。

「いったいオーディオってどこがそんなに面白いの?」

「そりゃあ好きな音楽を気に入った音で聴くことさ」に尽きるが、そのほかにも人それぞれの効用がきっとあるに違いない。

たとえば自分の場合は「時間を忘れるほど熱中できて日常の退屈感を覚えなくて済むところがいい」し、そのほかにも「信じられないほど“いい音”を出して仲間をビックリさせてやろう。」という「娑婆っ気」がまったく無いと言えばウソになる(笑)。

しかし、そういう張り切ったときほどたいがい「返り討ちに遭う」ところがたいへん面白い。今回はその顛末を述べてみよう。

つい先日、近隣にお住いのオーディオ仲間のYさんに「どうですか。我が家のスピーカー群が一新しましたよ。聴きにお出でませんか。」誘いをかけてみた。

Yさんはフルートを嗜まれる方で日頃から生の楽器で鍛えられているせいかとても耳の鋭い方だし、オーディオにも大変ご熱心で、実際に声をおかけして断られる確率はよほどのことがない限り0%と言っていいくらいだ(笑)。

この日も一つ返事でお見えになった。

ウェストミンスターにオリジナルユニットを容れたこと、グッドマンのAXIOM80用に新たなエンクロージャーを準備したこと、同じくグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」用のバッフルを取り替えたことなど、張り切って縷々説明した。

にもかかわらず・・・。

3時間ほど試聴していただいて、「これがベストの組み合わせですね」と仰ったのは、dCSのCDトラポとDAC、プリアンプが「大西式プリ」、パワーアンプが「71Aプッシュプル」、スピーカーが「フィリップス」(口径30センチ・アルニコマグネット型)だった。

これはこれで納得だが、当方の一押しだった「AXIOM80」についてはたしかに新たなエンクロージャー効果によって周波数レンジの拡大を認められたものの、まだ「フィリップス」の方が一枚上手とのこと。

少々ガッカリした。

エッジのついたSPユニットはどんなに「いい音」が出ても所詮は「普通の音」の延長線上に位置するだけだが、エッジレスという特別なツクリを持つ「AXIOM80」がひとたび本領を発揮すると、音離れが抜群なのでまったくスピーカーの存在を意識させないほどの別次元の音になる。そういう凄さをYさんにはどうしても分かってもらえないらしい(笑)。

やはり低音域に対する各自の許容度の問題に収斂していくようだ。

自分の場合はドカ~ンとかドス~ンとかいう「低音病」から脱け出るのに3年以上かかったが(笑)、今では小気味よく弾むようなスピード感のある低音しか受け付けない。

したがって、AXIOM80のように「これだけ透明感のある音が出てくれれば少々の低音の迫力不足なんて許せる」というのが正直な感想だ。

となると「いったいYさんはどういう音がお好みなんだろう?」と、翌日になってYさん宅へ確認に押し掛けた。

         

構成はエソテリックのCDトランスポート、TADのDAコンバーター、プリアンプは無しでマークレヴィンソンのパワーアンプ(モノ×2台)に直結。ちなみに前段機器は大型のバッテリー電源による駆動だ。

スピーカーもとても凝っている。5ウェイ方式で、スーパーウーファー、ウーファー(2発)、中音域は片チャンネル9個の小型ユニット、ツィーター、スーパーツィーターという構成。

たしかに周波数レンジは広かった。とうてい我が家では望むべくもない重低音が出ていたし、高音域もまったく不足感なしで5ウェイにしては実にうまくまとめてある。「やっぱりYさんは凄い!」と初めのうちは思った。

だが、しかし・・・。

まるで蒸留水みたいなサッパリした音でどうもコクがないように思えてきた。ヴァイオリンのCDを聴かせてもらって、いよいよハッキリした。真空管アンプの音色に馴れきった耳にとっては、「艶と潤い」の感覚がまったく物足りないのだ。

ヴァイオリンがうまく鳴ってくれないとクラシック音楽は聴けないので、「Yさんとは求める方向が違う」と、いさぎよく諦めがついた。ただし、こればかりは個人の好みなので「いいも悪いもない」のはもちろんだ。

オーディオでは「原音再生」が至高のテーマだが、「その原音とは何ぞや?」という根源的な問いに対する解釈が人によってそれぞれ違うんだから仕方がない。

最後に、このほど新たに導入された「エプソン」のプロジェクターを鑑賞させてもらった。スクリーンは110インチで「シアターハウス」製(金沢)とのこと。

           

110インチの大画面なのに画像はシャープだし輝度も余裕たっぷり。これは凄い!お値段の方も大掛かりな映像にしては信じられないほど安い。

「こんな画面で大きな〇〇〇〇がブルン、ブルンしたらたまらんですなあ。」

「・・・・・」

眼が点のようになった真面目なYさんを前にして、ついウッカリ口を滑らしてしまった自分を深~く反省し、そして恥じ入った(笑)。

すぐに気を取り直して「毎日こんな画面で見れたら楽しいでしょうねえ」と水を向けたら「このところ、お父さんがオーディオルームに入るとなかなか出てこないと家族から言われてます。」

そりゃそうでしょう。

我が家も大画面がぜひ欲しいところだし、「設置は実に簡単ですよ。機器を購入されたら加勢に行きます。」とのありがたい言葉をいただいたものの、何せ12年前に購入した「アクオス45インチ」(シャープ)が今なお健在である。早く故障しないかなあ~。

そういえば、近くの大型電機店で60インチの4Kテレビを視聴したときに店員さんがこれは内緒の話ですがと前置きして「最近のテレビは東南アジアで作ってますので寿命はせいぜい7~8年といったところです。昔のアクオスなら純国産なので軽く10年以上は持ちますよ。」

長持ちも時と場合によっては困るんだけどねえ~(笑)。
 


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