「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

南スコットランドからの「ウマさん便り」(2023・5・30)

2023年05月30日 | ウマさん便り

「発音あれこれ」 

リス…うちの庭にちょくちょく出没(しゅつぼつ)する。

そのリス、英語でsquirrelと綴(つづ)る。その発音が出来ないんや。どうしても「スクロール」になってしまい、皆に笑われる。

まわりの皆さんの発音がよくわかんないのはしょっちゅうですね。でも、英語がようわからんでも世の終わりじゃなしと腹をくくってる。 

キングス・イングリッシュ、クィーンズ・イングリッシュ、スコッティッシュ・イングリッシュ、アイリッシュ・イングリッシュ、アメリカン・イングリッシュなど、英語もいろいろあるけど、僕自身は、どの国の英語であっても、それらの発音を忠実に真似(まね)する必要はないと考えている。なぜか? 

うちに来られた日本の方で、アメリカ人の発音を真似(まね)て、ウォーターを「ウォーラー」と言う方がいた。これはやめたほうがいい。英国人で「ウォーラー」と発音する人はいない(と思う)。

一般的な話だけど、英国で、あるいは他のヨーロッパで、アメリカ英語がやや下に見られている現実を僕は何度も見てきた。でもね、言葉って、要するにコミュニケーションの手段だよね。

そのコミュニケーションの手段の段階で優劣を付けるなんて、よくないことだと僕は思っている。ま、アメリカを馬鹿にしている連中でも、ハリウッド映画は喜んで観てるけどな。

もちろん、個人的な友人関係で、アメリカ人を馬鹿にする人を見たことは、今まで、まったくない。だから、一般的な話だと断ったんです。僕自身も、素晴らしいアメリカ人の友人が何人かいる。敬意を表すればこそ、馬鹿にするなどとんでもない。

あらゆる面で世界をリードするアメリカです。でも、英国を含むヨーロッパの人たちが、アメリカをやや下に見ている(なと感じる)現実は何度も見てきた。 

やや(かなり)話がそれますが(いつものことや)… 

コロンブスが「ガリレオが云うように、地球が本当に丸いのであれば、今までのように東に向かわず西に向かってもインドに到達する筈や」と、1492年、ポルトガル女王の支援を得て大西洋を西に船出し、悪戦苦闘(あくせんくとう)の末、大陸に近い島に上陸した。 

でも、彼はそこがインドだと思い込み、そこにいた原住民をインディアンと呼んじゃった。その後、幾度かの大航海により新大陸が発見されたけど、そこにいた原住民もインド人だと認識されインディアンと呼ばれた。だけど、彼らこそが本当のアメリカ人なんだよね。

さらに、その、インディアン、つまり、本当のアメリカ人が、その後、ヨーロッパから続々とやって来た人間に過酷(かこく)な生活を虐(しいた)げられた歴史は、多くの西部劇を見てればわかる。
 

1620年、メイフラワー号に乗って新大陸を目指した102名の清教徒たちは、艱難辛苦の末、アメリカに到達した。英国に於いて宗教的迫害を受けた上での決断だったとは云え、何が待っているかわからない未知の大陸を目指すと云うことは、すごく勇気のいることだったと、僕は、彼らに敬意を表している。

新大陸に夢を託した人々が作り上げたのがアメリカだというのは歴史的事実です。でも、そんな人々をアメリカ人と認識するより「アメリカ人になった人たち」と認識すべきでしょうね。

そうそう、あの、ドボルザークの交響曲「新世界から」は、新大陸アメリカを目指した人たちの、その夢と情熱をドラマチックに、しかも壮大に表現していますよね。大好きな音楽です。 

さて、今でも、ヨーロッパ系の先祖を持つアメリカ人の中には、キングス・イングリッシュやクィーンズ・イングリッシュなど、兄貴分の英国の英語に若干(じゃっかん)のコンプレックスを感じている方が少なくないと思う。

敗戦後、GHQのアメリカ将校が、白洲次郎の英国仕込みの英語に、コンプレックス故(ゆえ)の称賛(しょうさん)を与えたり、北海道余市のニッカウィスキーを接収(せっしゅう)に来たアメリカ軍将校は、やはり英国仕込みの竹鶴政孝(たけつるまさたか)、マッサンの英語の迫力に退散するはめになったりしたのが、その証左(しょうさ)じゃないかな。 

でもね、ここで僕が強調したいのは、前述したように、アメリカ英語でもイギリス英語でも、その発音などを忠実に真似(まね)する必要はなく、誰にも通じるニュートラルな発音をこころがけるのが一番だということなんです。だってね、僕やあなたは英国人でもアメリカ人でもないからです。 

そして、英語も含め、外国語を流ちょうに喋(しゃべ)ることより大事なこと…

云うまでもないけど「何」を喋るか…その話の中身ですよね。これはな、流ちょうに喋れないウマの負(ま)け惜(お)しみとちゃうと思うで…

かなり以前、大阪でのこと…

ある英国パブで、見事な英語を喋る日本人と御一緒したことがあった。まだ、若い方だったけど、めちゃ流ちょう、つっかかることなく、ペラペラと流れるような英語を喋りはるんや。発音も完璧。ウマさん、惚(ほ)れ惚(ぼ)れと目を見張ってしもた。

ところがや、外国人の友人たちは、ほぼ口を揃(そろ)えて「確かに彼の英語は完璧や。だけど、話す内容がぜんぜん面白くなくて退屈する。だから、彼とは一緒に呑みたいとは思わん。はるかに英語が下手(へた)なウマのほうが、まだちょっとはましや」

これには驚いた。あんなに流ちょうに英語をしゃべる人が敬遠されていたなんて…。でも「ウマはちょっとはましや」はないよなあ。

その時、ウマは気が付いた。流ちょうに喋る必要はないんやなって…で、今でもペラペラと喋れないんでございますのや。 

さて、日本人は、R(アール)とL(エル)の発音が苦手(にがて)だとよくいわれるよね。Lはさほど難しくないけど、問題はR(アール)ですね。

そこでね、red や、rightなど、単語の頭に微(かす)かに「ウ」を付けるんです。(ゥ)レッド、(ゥ)ライト、そうすると、まず通じますね。これ、伊丹十三さんの本に書いてあった。

英語の発音の要諦(ようてい)は、th(舌の先を上下の歯で噛(か)む)、f(下唇を上の歯で噛む)、vも同様。それにRとLですね。これだけ注意すれば、たいがい通じる(んちゃうか)。でも、ウマの発音が通じんのは、ま、日常のことやけどな。 

それぞれの国では、外来語をそれぞれ自分たちに都合のいいように発音する。

英国人の発音を都市名を例にみてみよう…ほんの一例です。

ジュネーブ→ジェネバ、ミュンヘン→ミュニック、ウィーン→ヴィエナ、ナポリ→ネイプル、ローマ→ロウム、ブルガリア→ブルゲイリア、グルジア→ジョージア…などなど。 

昔、全英オープンの実況中継で、アナウンサーが、青木Aokiのことを「エオウキ」と呼んでいたし、ある英国人が、東京の品川Shinagawaをシャイナゲイワと発音するのを聞いたこともある。

もちろん日本人も負けてません。カッコ内の英語読みと比べてみてください。ペキン(ベイジン)、トルコ(ターキー)、キプロス(サイプロス)、ベルギー(ベルジャム)、ウクライナ(ユークレイン)、マケドニア(マセドウニア)、ギリシャ(グリース)、ボルネオ(ボーニオウ)…などなど。 

余談だけど、英語になった日本語、けっこうありますよ。

「ツナミ」など、それ以外の言葉では表現出来ないぐらい世界共通語になってしまった。昔は「フラワーアレンジメント」と言ってたけど、今は「イケバナ」で通用しつつある。

布団(ふとん)は「フトンマットレス」、その他「スシ」「テッパンヤキ」「サケ」「テリヤキ」「ボンサイ」「シイタケ」「ワサビ」「ベントー」「ノリ」「ミリン」「ミソ」「サシミ」などはもう立派な英語です。寿司の「ニギリ(握り)」「マキ(巻き)」も、ほぼ通用します。

「柿」は「パーシモン」と書いてある店もあるけど、ロンドンの屋台の果物屋さんなど「KAKI」と書いてあった。でも、カキって、もともとスペイン語らしいね。僕は、柿(かき)と牡蠣(かき)を使った「カキカキッ!」ってなアホな料理を作ったことがあった。誰も食べてくれへんかった。
 

先日、スムージーを作るためにキャロラインが買ったジューサーの名前が「ニンジャ」。なんでジューサーがニンジャやねん?

商品名に日本的な名前がかなりあるのは、日本の製品って、やはり一目置かれているんですよね。「ショーグン」「サムライ」「カタナ」はどなたでも知ってます。「三菱パジェロ」こちらでは「ミツビシ・ショーグン」です。 

ところで、スーパーで見る日本の食材など、てっきり日本製だと思っていたら、裏に小さく小さく「メイドインチャイナ」と書いてあることがある。これらは日本の会社の委託生産(いたくせいさん)ではなく、中国の会社がパッケージに日本語や日本風のイラストを書き、日本製を装(よそお)ってるということですね。

こんな商品、すごく多い。僕も騙(だま)されたこと、けっこうあるよ。ずっこいよな。面子(めんつ)を重んじる中国人でも商売となるとなあ…
 

キャロラインさんは、けっこう日本語をしゃべる。僕が、彼女の喋(しゃべ)る英語がわからない時など、日本語で言ってくれることも珍しくない。「ナニナニです」「ナニナニでございます」など、敬語の使い分けや日本語の読み書きもある程度(かなり?)出来る。

さて、日本にいた時ね、彼女は「シュッ」の発音が苦手だった。「シュッ」が「シュウ」になっちゃうんだよね。ま、今は大丈夫ですよ。

で、当時、僕を人に紹介するのに「私のシュジンです」と云うべきところが「私のシュウジンです」になるんや。それはいいんやけど、なかには「あゝなるほど」とニコッとする方もいたりして閉口したなあ。

オイ!ウマは囚人(しゅうじん)かい?

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