「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

雪中決死試聴隊

2012年12月12日 | オーディオ談義

9日(日)はかねて予定していたオーディオ仲間の湯布院のAさん宅での試聴会。

先日、初めて我が家にお見えになった別府市内のYさん、Uさんのたっての依頼で実現したものだが、前日からの猛烈な寒波の襲来で盆地の湯布院の雪模様が唯一の懸念材料。

当日の朝、Aさんにお伺いしてみると「小雪が舞ってますが今のところ大丈夫でしょう。念のため大分回りのコースがいいでしょう。」

別府から湯布院に行くには、最短コースの山越えコースと平地の大分経由コースとがある。

Yさんが運転するクルマに便乗させてもらって、9時20分に別府を出てAさん宅に着いたのが10時20分ごろだから通常のおよそ2倍の時間がかかったことになる。高地の湯布院に近づくにつれ、見事な雪景色に変容していくのには驚いた。

AさんとYさん、Uさんのお二人は初対面ではないので、ご挨拶もそこそこにさっそく試聴に。初めに「2階のシステムから聴いていただきましょう。」とAさん。

           

この部屋には二つのシステムが置いてあって、一つはJBLの5ウェイシステム。

低域から順にスーパー・ウーファー、130A、2441、LE-85、075のコンビ。二つ目のシステムがJBLシステムの後ろにあるクリプッシュのCN-191コーナーホーン。

はじめにJBLのシステムから試聴させてもらったが低域から高域までレンジにまったく過不足がなく実にうまくまとめてある印象を受けた。私見だが、ユニットの数が多くなると(各ユニット)の周波数の被りが多くなるし、位相合わせの問題も出てくるので一長一短だと思っているが、この場合はそういう懸念を見事に吹き飛ばしている。

1時間ほどブラスやジャズを堪能してから、今度はコーナーホーンに切り替え。とたんに、ほっと一息付けるような音に変身。「ひと肌の温もりを感じさせるような音」という表現が似合っている。クラシックをじっくり聴くのには最適だろう。

こうして音楽に夢中になっていたところ、ふと外を見ると何と雪がますます激しく降り出していて、野原が完全な銀世界になりつつある。車の運転手のYさんが「ノーマルタイヤだけど、無事に帰りつけるかなあ?」と言われる。まことにごもっともな心配で、ちょっと試聴ペースを早めることにして今度は1階のウェスタンの15Aホーンの試聴に移った。

           

いやあ~、このシステムばかりはいつ聴いても圧倒される。まったく次元が違う音で、低音や高音がどうのこうのと”ちまちま”したことを言うのがはばかられるような音である。電源対策に特別の工夫を凝らした、わずか数ワットの真空管アンプ(WEー300B)で「鬼太鼓座」の太鼓の音が少しもクリップすることなく鳴り響くのだからたまらない。

雪が心配の中、30分ほど切り上げて、全員で近くにある「南の風」というレストランに移動して昼食。湯布院という風土はオーディオ・マニアを育むのが特徴でこのレストランでも2階にオーディオ機器が置いてあり、昼食後に聴かせてもらった。

              

真空管アンプを次々に自作するマニア(福岡在住)から譲っていただいたというアンプ群のもとでいろんなスピーカーを鳴らされている。いずれもグッド・バランスで聴きやすかったが、ひときわ目を引いたのがダイアトーンのP610ユニット(16センチ口径)を納めたエンクロージャー。

                       

手作りのショートホーンや緻密に計算されたダクトの大きさもあいまって、Aさんともども「いい音ですねえ!」と、大いに感心したことだった。

結局、この日はずっと雪が降りやむことはなかった。名残惜しいままに、雪を恨みながら14時半ごろに湯布院を後にした。

翌日、Yさんから「雪中決死試聴隊」と題して次のようなメールが届いた。無断引用、お許しください。

「おかげさまで良い経験を積ませていただきました。
300Bシングルであのグリップ力は本当に脱帽というか信じられません。世の中には自分がまだ知らない世界がありますね。ウエスタン15Aホーンを初めて聴きましたが、まさにスーパーマニアの世界です。中音のホーン音はキレが良く音離れに、他にはない独特のリアリテイが有りますね。他人の音を聴くと勉強になります。

どうやら今回の試聴会にご満足していただけたようで、本当に良かった。

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