「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~音楽がタダになる日~

2008年09月04日 | 音楽談義

ひと口に音楽鑑賞といってもコンンサートなどの生演奏を楽しむ人、あるいはオーディオ装置を中心にCDソフトを楽しむ人などさまざまだが、自分を含めて後者に属する人は結構多いと思う。

オーディオ装置への投資額に比べるとCDソフトなんて微々たる割合だと言いたいところだがそれでも300枚近くとなると平均2000円として60万円ほどになるからばかにならない。約30年の長期間に亘っての出費だから目立たないだけ。

これからも好みのCDソフトが発売されれば買わざるを得ないところだが、2008年7月29日号(「エコノミスト」誌)の特集記事
「音楽がタダになる」(18頁~38頁)によると、CDを中心とした音楽鑑賞もどうやら大きな変革の時代に入りつつあるようだ。

とにかくCDの出荷額が激減している。過去最高を記録した98年の5879億円から9年連続で減り続け、2007年は3272億円とほぼ半分に縮小という有様で、これまでCD販売を最大の収益源として潤ってきた音楽業界が大変革を迫られている。


身近な現象では都会、地方を問わずCDショップがゾクゾクと廃業ないしは売り場面積の縮小などの一途をたどっているのを既にお気づきのことと思う。

 CD販売の絶対数の激減

 ネット通信販売への移行

 携帯電話の「着うた」による楽曲のダウンロードや米アップル社の「iPod」などの携帯プレーヤーの普及

などによるものだが、そもそも最大の被害者はレコード会社だろう。

CDが売れない要因の一つにはデジタル技術の進歩によるコピーーが簡単にできるようになったことが挙げられパソコンの「ファイル共有ソフト」によって多数の利用者間で「音楽闇市」が形成されている影響が大きい。

もうひとつの要因はネット上の音楽配信市場の急速な伸びで現在1曲200円程度、アルバムが1500円程度というが音楽の低価格化、・無料化の波が業界全体を襲ってきている。

同誌34頁には、いずれ
「音楽がタダ」になる日を見越して新たなビジネスモデルの再構築とともに世界的な業界再編の動きが始まっているとたいへん興味ある記事が掲載されていた。以下、要約しながら追ってみよう。

『あらゆる音楽が丸ごとタダで聴ける、しかも合法的に!』

会員制交流サイトの最大手、米「マイスペース」が近く常識を覆す音楽配信サービスを開始する。世界の4大レコード会社のうちEMIを除いて大手3社と提携しその音楽のすべてをサイトからユーザーに無料で聴かせるというもの。

無料の音楽で消費者をサイトに惹きつけ、サイト上に広告を掲載しアーティストのコンサート・チケットなどを販売して、これらの収入をレコード会社と分配しようとする新たなビジネスモデル。

これは、レコード会社側から見ると
「音楽ファイルがコピーされるのは仕方がない」との諦めを背景に、自社の音楽を水道やガスのように安くあまねく供給し、それをベースに創造性に富むIT企業が斬新なビジネスを編み出し、それに乗っかって新しい分け前を受け取ろうという狙いだという。

こういう新しい動きを見ると、消費者側としてもうまく利用しない手はない。とにかくCDを購入する必要が無くなるのだからたいへん喜ぶべきこと。

自分の場合、コストの削減と高音質の確保を両にらみに、CDを主体とした音楽鑑賞から軸足を「配信音楽 → iPod → ワディア170iトランスポート → ワディア27ixDAコンバーター」へと移そうかなあ~と考えているものの、当分の間は既存のCDプレーヤーとの並立になるだろう。

しかし、iPodの活用でさえも手ぬるいと思う人がいるのは当然で、パソコンに直接取り込んだ配信音楽をそのままデジタル信号としてUSBポートからオーディオ装置(DAコンバーター)に送り出すことも当然考えられる。

むしろこちらの方がストレートにデジタル信号を引き出せるので音質が良さそうだし主流になる可能性を秘めている。オーディオ機器としての能力を持った、たとえば駆動音が静かでプリアンプとチューナー感覚を備えたオーデイオ専用パソコンが発売されるのも時間の問題だろう。(自分が知らないだけでもう発売されているかもしれない。)

いずれにしろ「パソコン」がオーディオの主役とはいかないまでも重要な脇役になるのは目に見えているが、あとは何といってもクォリティが一番の課題で再生される音質と使い勝手の良さがカギを握っていると思う。 


 

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