「音楽する脳」を読んでいたら、次のような箇所が強く印象に残った。(176頁)
「基本的に人は常に新しいものに触れ続けると脳がその情報を処理するためのエネルギーをたくさん使ってしまうため疲れてしまいます。
一方、常に当たり前すぎるものに触れ続けても脳は飽きてしまい、知的好奇心や感動も生まれません。
このように、あまりにも予測からズレすぎず、当たり前すぎない、「微妙なズレ」に、人はなんともいえない感動を覚えると考えられています。
ある程度わかるけれど、ちょっとわかりづらい「予測や経験からの微妙なズレ」が、知的好奇心や興味をくすぐるのです。」
著者はこの「微妙なズレ」を「ゆらぎ」とも称している。
大好きなモーツァルトの音楽は他の作曲家に比べて微妙な ”ゆらぎ” に満ちていると思うが、実はオーディオに対してもその「ゆらぎ」を求めて毎日のように弄っているのではあるまいかに思い至った。
音は空気の振動だがその物理現象を「音楽」に変換するのは「脳」なので、毎日同じ音ばかり聞いていても飽きてしまう。
そう、脳はマンネリズムを蛇蝎(だかつ)のごとく嫌う(笑)。
で、「ちょっとした変化=ゆらぎ」を求めて何かしら「システム」のどこかを弄りたがるのが我が家では常態化している。
このブログの読者ならもうお分かりのとおりですよね(笑)。
これはけっして自慢できるような話ではなく移り気な自分の性格がなせる業だと、これまで恥ずかしく思ってきたのだが、脳の働きからするとごく正常な取り組みなのかもしれないと、どうやら開き直りらしきものが芽生えてきた。
これで「また始まったか!」と、他人の嘲笑を気にすることなくオーディオ記事が書ける~(笑)。
というわけで、前置きが長くなったが実践例を一つ。
このところ愛聴しているこのシステム。
3つのユニットを3台の真空管アンプで駆動しているが、中高音域の二つのユニット(JBLの175と075)はこのほど購入したプリアンプ「E80CC」(2本)を使い、低音域用のユニットはDACの「バランスアウト」からプリアンプを通さず、我が家で一番力持ちの「EL34プッシュプル」アンプに直結している。
何ら音質に不満は感じなかったが、そのうち次第に変化が欲しくなった。
主な要因として、当然のごとく低音域に「EL34・アンプ」しか使えないことに不満が溜まる。我が家には「WE300Bシングル」、「PX25シングル」の両雄が控えているので何としても出番が欲しいところ。
宝の持ち腐れがこの世の中で一番もったいない(笑)。
そこで、久しぶりに「陽の目」をみたのが「安井式プリアンプ」。
高音域の伸びはイマイチだが低音域の重量感は3台のプリアンプの中で一番という代物。
プリアンプを通すと少なくとも低音域が豊かになる傾向がある。理由はいろいろあろうがここでは詳述しない。
そこで低音域だけ「安井式プリ」に繋いで「PX25シングル」に繋いで鳴らしてみた。
つまり、1つのシステムに「プリアンプ2台」「パワーアンプ3台」を使うという、専門家が眉を思わず顰めるような大仰な鳴らし方(笑)。
音色の統一感なんて、知ったこっちゃない! と、自信を持って言いたくなるほど違和感が感じられない。
最下段にあるのが此度(こたび)の「安井式プリアンプ」で、結線の流れは「DAC(ガスタードA-22」 → 「安井式プリ」 → 「PX25シングル」 → 「ウェストミンスター(改)(400ヘルツ以下:-6db/oct)となる。
そして、肝心の音は・・。
自画自賛は「はしたない」ので、この辺で止めておこう(笑)。
で、つい先日別件で我が家を訪れたオーディオ仲間(大分市)に「どうです、いい音でしょうが・・」
ところが「あなたはすぐ気が変わるからね・・」と相手にしてくれなかった!
「微妙なゆらぎ」を理解できない「縁なき衆生(しゅじょう)」が世の中にはまだ沢山居そうだね~(笑)。
この内容に共感された方は積極的にクリック →