「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「二束三文のオーディオ機器」~

2011年11月04日 | オーディオ談義

亡き母の四十九日の法要(10月29日)が済んだ翌日から、泊まり込みでやってきた姉(福岡在住)と家内によって遺品の整理が始まった。

衣服類が大半で、もはや時代遅れの地味なものばかりなので廃棄処分が妥当なのだが、「思い出」という大切な付加価値があるものだから結局ほとんどを捨てきれず5個の段ボールに詰め込んで福岡行きとなった。

中でも「着物」の処理が厄介で箪笥の奥深く丁寧に直されていたものばかりでいずれもほぼ新品に近いものだが、○○万円したものでも業者が引き取るときは千円単位だという。

ウ~ン、何ともはや!

こういうことを現実に見聞すると、縁起でもないが我が家のオーディオシステムも自分に”万一”のことがあったときは似たような運命を辿ることだろうと、つい考え込んでしまった。

オーディオシステムは衣類などとは違って大きなスペースを占めるのが難点である。

我が家の場合は「6m×7m」の一部屋すべてがそうだが、すべての機器を処分してこの部屋がまるまる空くとなると家人にとってはモノも片付くし部屋の余裕もできてさぞや快適に過ごせることだろう。

もちろん、しばらくは「思い出」との綱引きが続くことになるだろうが、それも時間の問題でいずれ処分の憂き目にあうことは間違いなし!

業者がホクホク顔でやってきて「二束三文」でひとまとめにして引き取っていくシーンがまるで目に浮かぶようだ。

う~ん、口惜しい!

とはいえ、「お前は他のマニアの垂涎の的になるような魅力的なオーディオ機器を持っているのか」と問われるといささか自信がない。

いずれも一昔前の古い機器ばかりである。

いまや、音楽配信を主体とした「PCオーディオ」の時代となり、手軽にいい音質を楽しめるようになっている。

デジタルの世界は日進月歩なので、むかし「清水の舞台から飛び降りる」思いで購入したワディアのCDトランスポートやDAコンバーターにしても、もはや時代遅れの産物に過ぎず、あまり欲しがる人もいないことは容易に想像がつく。

まあ、オークションでも簡単に手が入らず、一般的に通用しそうなのはWE300BやPX25などの古典管やSPユニットの「Axiom80」、改良に改良を重ねた真空管アンプくらいのもの


こういうものはせめて価値が分かって大切に使ってくれる人に引き取ってもらえればいいという程度で、もう十分楽しんだのだから、あとは「二束三文」でも仕方ないと思うのが”まっとう”な考え方というものだろう。

さて、これに関連して以前、ある人から次のような話を聞いたことがある。

もの凄いオーディオ愛好家がいて、噂にたがわず高価な機器(すべて合わせると軽く1千万円以上!)を買い揃えて楽しんでいたが突然、遺言する暇もなく心筋梗塞でポックリ逝ってしまった。

残された家族は、その時はもちろん悲しみにくれたがそのうち月日が過ぎ去るとともに故人の部屋で大きなスペースを占めている機器群が次第に疎ましくなってきた。

もちろんオーディオについてはまったくの無知で、どの機器が高価かそうでないかも含めて遺族の誰もがさっぱり見当がつかない。

そこでとうとう、すべてひっくるめて200万円で誰か買ってはくれまいかという話になり、故人と生前からお付き合いのあった”とある愛好家”が購入したという話。

こういう成り行きはまずオーディオ愛好家が亡くなったときに大なり小なりどこの家庭でも繰り広げられる光景だろうがホントに身につまされてしまう。

ただし、購入した方もお得な買い物のようにみえるが、長い目で見ると決してそうではあるまい。

こういう機器を購入するぐらいだから、これまでそれなりの機器で楽しんできたことだろうし、どんなに高価なものでも自分の好みに合わなければ無用の長物にすぎないので、結局、宝の持ち腐れとなってしまう可能性大である。

第一、使わないままに置いておくそのスペースがもったいない。音響空間には余分なものを置かない方がいいに決まっている。

余計な不動産と同じで年を取ってから不要なものを持っておくと”ろく”なことがないので、程よい年齢になると使ってないオーディオ機器の始末をアタマの片隅に描いておいたほうがいいのかもしれない。

こういうたぐいの話を知り合いのオーディオ愛好家に聞いてみると、亡くなった後の話どころか、むしろ現在でも「使っていない機器の置き場所が邪魔でしようがないので早く処分してください」と奥方様に言われて”困っている”とこぼしている方もいる。

まったく我が家とそっくり。

ところが一方ではそうは簡単に処分できない事情もある。

オーディオ機器はちょっとした改良や他の機器との組み合わせによって見事に「生き返る」可能性があるので、現在使っていなくてもそう簡単には手放せないというのが愛好家としての実体験から出た本音である。

自分の場合もこれまで不要だと思った機器からどれだけ助けてもらったことか枚挙にいとまがないほどで、「手放すか否か」ほんとうにその辺の見極めが実に難しい。

まあ、耳の機能も考え合わせるとあと10年くらいは楽しめそうなのでゆっくり考えるとするかな!?

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