政治家失格の前歴
2014年1月24日
都知事選が告示され、選挙戦が熱気を帯びています。「原発ゼロが最大の争点」と細川・小泉連合が叫ぶと、「都政には多様な課題がある。シングルイシュー(争点を一つに絞る)選挙にするな」との声もすさまじいですね。マスコミ、特に新聞メディアが真っ二つ割れ、まるで天下分け目の戦いになっています。
すでに多様な論点、問題点が浮上していますので、わたしは少し違った視点で知事選を考えてみました。切り口を変えてみますと、「最大の争点は細川という人物をどう考えるか」になります。1月11日付けのブログ「都知事選と原発」で、すでに「細川氏は2,30年前の過去のひと。事前になんの論議、根回しもせず夜中に突然、記者会見して、国民福祉税構想を独断で発表し、すぐ撤回に追い込まれた。佐川急便からの1億円借り入れ事件も発覚し、まもなく首相を辞任し、政治家として失格した。趣味の陶芸に生きがいを見出し隠居生活を続けるとばかり思っていました」旨の指摘をいたしました。
その後の展開をみていると、「都知事選の最大の争点は細川という人物の判定にある」という気がますますしてきました。その根拠をいくつか紹介しましょう。まず、このひとには、都政そのものにほとんど関心もなければ、知見もないでしょう。出馬表明をした際の発言がふるっています。「知事選にでるとは、数日前まで思ってもみなかった」と発言しています。都民もバカにされたものです。「数日前まで思ってもみなかった」ということは、都政における課題を勉強し、使命を感じて出馬を考えたのではない、ということですね。他の主だった候補は東京5輪、高齢者福祉、子育て、防災、景気・雇用などに都政としてどう取り組むのか事前に研究して、選挙公約に盛り込んでいるはずです。
次が小泉元首相という保護者付きだということです。「小泉氏に背中を押されて出馬を決めた」と発言しています。都政改革への情熱が胸のうちに燃え、自ら出馬の意思決定をしたのではないということです。「反原発、原発ゼロでいこう。原発反対の世論は極めて強いので、勝てる」とでもいわれたのでしょう。都政にどう取り組むかにはもともと無関心、「反原発」の一言だけにのったに違いありません。告示後の記者会見後、「久しぶりにネクタイをつけて変な感じだった」とつぶやいたとの記事を読みました。なにをこのひとは考えているのだろうと思いますよね。この言葉を聞いて「変な感じ」、「妙な感じ」をもったのは都民のほうでしょう。
佐川急便からの借入金問題では、「完済している。政治責任を考えて総理の職を辞する」と、1994年4月の記者会見で発言しています。銀行から借りずに、佐川急便から借りた不透明なお金、不自然なお金です。政治に復帰しようとしているのですから「もう返しました」ではすまないことくらい、普通なら分るはずだと思います。まして猪瀬前知事が徳洲会グループから5000万円借りて「もう返済した」と説明したものの、それが通らず、辞職した直後のことですから、細川氏の政治感覚を疑いますよね。
細川氏の選挙公約の発表がなんども遅れ、候補者の公開討論ができなかったという異例の展開になったのは、細川氏の責任でしょう。公約を練りに練っているのかなと善意に解釈したひともいるでしょう。発表された公約は、具体案、細目がなく、あっさりしていてがっかりしました。いろいろ突かれるのを警戒して、はじめから意図的に発表を遅らせるつもりだったと憶測されても、仕方がありませんよね。熊本県知事、首相の経験を生かして、斬新で将来を見据えた都政像を期待した人は中にはいたでしょう。裏切られましたね。
原発の問題に触れましょう。原発は国のエネルギー政策の根幹にかかわる問題であり、都知事選の争点、それも最大の争点にするのはおかしいという指摘がすでになされています。「反原発」を個人として唱えるのは自由です。都知事は政治家であり、都行政のトップです。「原発即時ゼロ」でいけると思うなら、そこにたどり着くプロセスを政策化し、提示することが必要です。
原発立地県でもない都が日本全体の原発をどうやってとめるのか、東電の大株主は都ではなく、原子力損害賠償支援機構が過半数の株を所有しており、どうやって東電に決定的な響力を行使するのか、「即時ゼロ」といっても、原子力規制委員会が再稼動を認めた場合、どういう科学的、理論的根拠を「再稼動反対」の理由にするのか、「即時ゼロ」にして原子力技術者もいなくなったら廃炉作業は誰が担うのか。問題はいくつもあります。スローガンだけ掲げても解決しないのですね。各論がなにもないのです。
「原発問題は国に任せておけない」から、知事選で都民に信を問うのだという気持ちなのでしょうね。それならば、国政選挙で自民党が圧勝した2012年の衆院選、2013年の参院選の結果との関係をどう説明するのでしょうか。その説明もしていません。
もっとも都は地域としては、最大のエネルギー消費地ですから、この面ではエネルギー節約、削減の貢献はできます。「原発容認」を掲げても、新増設はまず無理でしょうし、廃炉になる原発が増えていくのですから、電力における原発依存度は必然的に下がっていきます。新知事が新しい構想、計画をつくり、世界の最先端をいく省エネルギー都市を創造する価値は極めて大きいでしょう。その具体案でもある程度、持っているのかというと、細川氏は何も語っていません。
前回、申し上げたように、都庁舎、区役所なかんずく知事、局長室のエアコンの「即時ストップ」で、省エネの姿勢をみせたらどうでしょうか。不人気覚悟で深夜営業の制限、公共交通の夜間運転の制限、車道の縮小と自転車ゾーンの拡大、ビルのガラス窓の複層化、車の屋根の太陽光パネル化、都のレベルでできる再生エネルギー(太陽光、風力など)の拡充で日本の最先端をいったらどうですか。時間はかかりますよ。そうした各論もなく「原発の即時ゼロ」を唱えるところが、いかにも細川さんらしいところですね。
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