今日も気持ちのいい秋晴れとなりました。あまりに気持ちよくて、ちょっとボンヤリ座っていると眠くなってきてしまうくらいです…。
ところで、今日10月30日はフランス・ブリュッヘン(1934〜2014)の誕生日です。
リコーダー、フルート、フラウト・トラヴェルソ(古楽器のフルート)奏者、指揮者として活躍したフランス・ブリュッヘンは、1934年の今日オランダのアムステルダムで生まれました。1950年代からリコーダー奏者として活動を開始して、リコーダーによる演奏の可能性を格段に広めた古楽界の草分け的な存在です。
アムステルダム音楽院、アムステルダム大学に学んでリコーダー奏者としてキャリアをスタートさせたブリュッヘンは、モダン・リコーダーからしだいに古楽器へと傾倒していき、1950年代から1970年代にかけてはチェンバロ、オルガン奏者のグスタフ・レオンハルトやチェロ奏者のアンナー・ビルスマらと共演を重ね、多くの録音を残しました。他にも、チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のニコラウス・アーノンクールや、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のヴィーラント・クイケン、ヴァイオリン奏者のシギスヴァルト・クイケン、フラウト・トラヴェルソ奏者のバルトルト・クイケンのクイケン3兄弟など、数多くの古楽器奏者と共演しました。
1973年にリコーダー奏者として初来日したブリュッヘンは、この時にバッハの無伴奏チェロ組曲の第1番から第3番までをアルトリコーダーで演奏しました。その録音は後にLPやCDで発売されたほか、後に全音楽譜出版社から編曲譜が出版されています。
1981年に指揮者に転じたブリュッヘンはオリジナル楽器のオーケストラである18世紀オーケストラを結成し、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派の作品を中心に、シューベルトやメンデルスゾーンなどの前期ロマン派作品なども含めて多数の録音を残しています。18世紀オーケストラを率いた来日も多く、
2009年には新日本フィルハーモニー交響楽団への客演で久しぶりの来日も果たしました。
私がブリュッヘンの存在を知ったのは中学生の頃だったと思いますが、自分も学校の音楽の授業で吹いているリコーダーで
「こんなことができるのか!」
と驚愕したことを覚えています。スラリと長い脚を組んで細身の身体を猫背気味にして椅子に座り、自在にリコーダーを操る様は実にカッコいいものでした。
そんなわけで、今日は数あるブリュッヘンの演奏の中からテレマン作曲の《無伴奏フルートのためのファンタジー第3番》の演奏動画を御覧いただきたいと思います。誰しも手にしたことのあるはずのアルトリコーダー1本で奏でられる、テレマンの素朴で典雅な旋律をご堪能ください。