さてさて、今日も今日とてヒマでございます。何しろ教室が無い、放課後子ども教室も無い、コンサートも無い…まさかバイ菌ごときにここまで足をすくわれることになろうとは、年明け頃には思いもしませんでした。
もうこうなったら、これは大人しく自宅で精進せい!と言われているんだと思うようにして、しばらく放ったらかしにしていた楽譜を引っ張り出して練習してみることにしました。そうしたら押入れの中から、随分前に弾いたっきりになっていたビーバーの《ロザリオのソナタ》の楽譜が出てきたのです。
この曲集は新約聖書にある聖母マリアへの受胎告知から始まって、キリストの受難・復活・イエスと聖母マリアの昇天・聖母戴冠に至るまでのマリアとイエス・キリストの生涯の中から、計15のエピソードを採り上げて作曲されたものです。特徴的なのは、第1曲目と終曲以外は全て特殊な調弦(スコルダトゥーラ)で演奏するよう指定されていることです。
そして全体を締め括る終曲が,無伴奏の『守護天使のパッサカリア』です。
パッサカリアとは元々スペイン起源の舞曲で、一定の同じ動きをするバス声部(バッソ・オスティナート=執拗低音)の上にメロディを紡いでいく変奏曲です。特に大規模なパイプオルガンに作品が多いのですが、ビーバーは敢えてキリストの生涯を描いたヴァイオリン・ソナタ集の最後に無伴奏のパッサカリアを持ってきました。
始めに提示される「ソ、ファ、ミ♭、レ…」という低声部の上に、短いセンテンスのメロディが紡がれていきます。この「ソ、ファ、ミ♭、レ…」という音型はメロディの下支えに留まらず、中間部では高音部に現れて曲調に変化をつけたりもするので、なかなか面白いのです。
いつまた演奏することになるか分かりませんが、折角時間があることですし、改めてじっくりと譜読みをしながら練習してみようと思います。
以前にも載せたことのある動画ですが、ドミtポリ・シトコヴェツキのバロック・ヴァイオリンによる演奏を転載しました。後に大バッハの一連の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータに多大な影響を及ぼしたといわれる名曲を御堪能下さい。
Dmitry Sinkovsky Biber Passacaglia g-moll from Rosary Sonatas