昨日に引き続き、今日も暑くなりました。今日は昨晩の雨が蒸発したことによって空気中の湿度が上昇し、かなり不快な暑さとなったのでした。
ところで、今日は
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ヴィヴァルディとバッハという、バロックの巨匠たちの祥月命日です。ヴィヴァルディは1741年、バッハは1750年の今日他界しています。二人の晩年については一年前にかなり詳細な記事を挙げているので気になる方はそちらを御覧いただくことにして、今日はヴィヴァルディとバッハの時を超えた掛け合いにスポットをあててみようと思います。
バッハのオルガン曲の中で《オルガン協奏曲》というジャンルがあります。しかし協奏曲といっても、例えばヘンデルのオルガン協奏曲のような合奏曲ではなく、オルガン単体の独奏曲です。
バッハはヴァイマル宮廷時代に当時の先端流行であったイタリア音楽を吸収すべく、ヴィヴァルディやマルチェッロなどの作品を盛んにチェンバロやオルガンの協奏曲に編曲しました。チェンバロ協奏曲は弦楽や通奏低音を従えたコンチェルティーノの形をとっていますが、《6つのオルガン協奏曲》は全てオルガン独奏となっています。
この6曲中3曲がヴィヴァルディのコンチェルトからの転用なのですが、中でも秀逸なのは《調和の霊感》作品3の中の第8番《2台のヴァイオリンのための協奏曲イ短調》を編曲した《オルガン協奏曲イ短調BWV593》です。
この作品は私もかつて生徒たちに発表会で弾かせたことがあるのですが、限られた音域のみを使っていながら、そんなことを感じさせない実にのびのびとした音楽であることに驚かされます。先ずは、そんなヴィヴァルディの原曲をお楽しみください。
そして、後にこの協奏曲をバッハがオルガン独奏用に編曲したのが《オルガン協奏曲イ短調BWV593》です。恐らくバッハもこの協奏曲のシンプルなカッコよさに惹かれて、自分一人でも演奏できるようにしたのでしょう。
ただ、そこはバッハですから、ただ単にヴィヴァルディの楽譜をオルガン用にしただけではなく、そこに自分なりの工夫を凝らしています。特に第3楽章では、原曲にはない下降音型を、なんとペダルで演奏するというブッ飛び技を披露しています(笑)。
そんなわけで、今度はバッハの《オルガン協奏曲イ短調BWV593》をお聴きいただきたいと思います。先程のヴィヴァルディの原曲と聴き比べながら、所々にバッハなりの工夫が凝らされた秀逸なオルガン独奏曲をご堪能ください。