![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/3f/d779f306d457abc430a31d9a38895d60.jpg)
今日も比較的暖かな陽気に恵まれました。こうした陽気が安定的に続いてくれるといいのですが、週間天気を見るとそうは問屋が卸さないようです…。
ところで、今日3月4日は
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/ff/a3f707dc3e7706d7862d2a2ed9036619.jpg?1709522456)
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜1893)作曲のバレエ《白鳥の湖》が初演された日です。
《白鳥の湖》はドイツを舞台に、悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられた王女オデットと王子ジークフリートとの悲恋を描いた物語です。現在ではクラシック・バレエを代表する作品の一つであり、《眠れる森の美女》《くるみ割り人形》と共に『チャイコフスキー3大バレエ』とも呼ばれてています。
今でこそ人気の高い《白鳥の湖》ですが、初演時は振付・舞台美術・ダンサー・指揮者の水準が低かったことや、従来のバレエ音楽とは異なるチャイコフスキーの高度な楽曲が観客に理解されなかったことで、当初の評価は決して高くありませんでした。ただ、完全な失敗だったという説には疑問が呈されていて、実際には当時の観客の評判は賛否両論であったことや、初演以降も繰り返し上演はされていて一定の人気を集めていたことなどが指摘されています。
初演版《白鳥の湖》は、計41回上演されました。しかし、当時のボリショイ劇場で経費や人員の削減が進められていたことも影響して、1883年1月の上演を最後にボリショイ劇場のレパートリーからは外されてしまいました。
その後、1888年にプラハで第2幕の抜粋上演が行われるなど、再演の試みは幾度かありましたが、チャイコフスキーの生前に評価されることはありませんでした。そしてチャイコフスキーの没後、振付家のマリウス・プティパとレフ・イワノフが大幅な改訂を行い、チャイコフスキーの死から2年後の1895年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で蘇演した際には大成功をおさめました(現在上演されている《白鳥の湖》のほとんどのバレエ舞台は、このプティパ=イワノフ版を元としています)。
さて、バレエ全曲を載せてしまうとかなり長時間になってしまうので、今回は演奏会用組曲《白鳥の湖》作品20aをご紹介しようと思います。
1882年、チャイコフスキーは楽譜出版社のユルゲンソンに宛てた手紙で、《白鳥の湖》の組曲を作りたいという意思を表明しています。ただ、どうやって編纂されたのかや出版社とのやり取り等についての経緯については資料が残されていません。
現在演奏されている組曲は
情景
ワルツ
小さな白鳥たちの踊り
情景
チャールダーシュ:ハンガリーの踊り
フィナーレ
の6曲からなっています。ただ、指揮者によってはこの並びにナポリの踊りやマズルカといった華やかな曲が加えられることもあります。
因みにクロード・ドビュッシーは若い頃に、チャイコフスキーのパトロンであったナジェジダ・フォン・メック夫人のお抱えピアニストを務めていました。その縁でドビュッシーは1880年に夫人の指示で《白鳥の湖》の一部をピアノ連弾用に編曲し、組曲と同じユルゲンソン社から出版しています。
そんなわけで、今日はチャイコフスキーのバレエ組曲《白鳥の湖》 作品20aをお聴きいただきたいと思います。1965年に録音された、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルの演奏でお楽しみください。