一晩中降り続いたドカ雨も峠を越えたとは言え、どんよりした天気であることに変わりはありません。こんな気圧の低い時には、楽しいDVDを観ましょう。それで選んだのはモーツァルトの《魔笛》です。
有名な序曲が♪ジャ~ン…と鳴り渡ると「さあ始まった!o(^o^)o」とウキウキします。オペラ…というか、正確に言えばジングシュピールという歌芝居ですが、細かいことは気にせず鑑賞しましょう。
我が家にあるのは1983年、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場での公演です。昨日鑑賞した《フィガロ》に負けないスター歌手揃い踏みです。
(ビクターエンターテイメント UCBP-9022)
ザラストロ…クルト・モル
王子タミーノ…フランシスコ・アライサ
弁者…ヤン=ヘンドリック・ローデリング
夜の女王…エディタ・グルベローヴァ
パミーナ…ルチア・ポップ
パパゲーノ…ヴォルフガング・ブレンデル
パパゲーナ…グドルン・ジーベル
モノスタトス…ノルベルト・オルト
3人の侍女…パメラ・コバーン
ダフネ・エヴァンゲラートス
コルネリア・ヴルコップ
3人の童子…テルツ少年合唱団ソリスト3名
バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
指揮…ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演出…アウグスト・エヴァーディング
装置・衣装…ユルゲン・ローゼ
これまた、それぞれの役柄の代表格と言っても過言ではない歌手陣が揃っています。
序曲の後、幕が開いてアライサのタミーノが蛇に追われて登場するところからワクワクします。見た目若干小柄(第1幕で弁者と対峙すると、まるで大人と子供みたい)ですが、一時期タミーノだけでなく、モーツァルトの《後宮からの逃走》のベルモンテやロッシーニの《チェネレントラ(シンデレラ)》の王子ドン・ラミロと言えばアライサが代表格でした。ベビーフェイスに甘い声…これなら3人の侍女達が一目惚れしても大丈夫です(何か失礼な言い方…)。第1幕のアリア《何と美しい絵姿》では、その伸びやかな美声を存分に堪能することができます。ただ、この作品は第2幕で『黙ってろ!』という試練を与えられる関係上、特に後半はあまり歌声が聴けないのが残念です。
私の中で、夜の女王と言えばグルベローヴァです。私は一度、渋谷のタワーレコードのインストアトークショーで生で彼女を見たことがあるのですが、こんなちっちゃくて可愛い人の一体どこからあんなにも美しく輝かしい声が出てくるんだろう?…と思うくらい小柄なのです。でも、第1幕のアリア《恐れるな若者よ》にも、第2幕《地獄の復讐が私の心の中で》にも、超絶技巧のアジリタ歌唱が出てきますが、恐らくこの方は16分音符を食べて生きているのではないか…と思うくらい完璧な歌唱を聴かせてくれます。また、この両アリアにはハイF(超人的に高いファの音)が出てきますが、彼女が歌うとなったら何の憂いもなく聴いていられます(でもこれってとっても大変なことなのですよ)。
ザラストロ役のクルト・モルは、これぞバス!という深い響きの声の持ち主です。彼の当たり役と言えば、私の中では《薔薇の騎士》のオックス男爵と、このザラストロです。第2幕始めの《イシスとオシリスの神よ》や、アリア《この聖なる神殿では》を聴くと、包み込まれるようなバスの響きにうっとりします。前者2名と正反対に大柄な体格(さすがゲルマン民族…)と端正な面差しでも、威厳ある慈悲深い大教祖を好演しています。
パミーナ役のポップは、昨日の《フィガロ》のスザンナとは全然違う顔を見せてくれます。父であるザラストロと母である夜の女王との間で苦悩し、タミーノへの愛にときめき、共に試練に耐え…そんな揺れ動く複雑な乙女心を、きめ細かな演技力と確かな歌唱力で見せてくれます。第2幕にある唯一のアリア《愛の喜びは露と消え》では、絶望に打ちひしがれるパミーナの心情を切々と歌い上げています。
ヴォルフガング・ブレンデルのパパゲーノは、第1幕で《おいらは鳥刺し》を歌いながら登場したところから、とにかく楽しいです。その後、ヘタな嘘をついて3人の侍女の口にカギをかけられてしまった後、《フム、フム、フム…》とタミーノに助けを求めて、侍女達に無事にカギを外してもらったらしばらく口がひん曲がってしまっていたり、第2幕《恋人か女房が》に続いてパパゲーナと歌う《パ、パ、パ…》では、やっと巡り会えたパパゲーナと将来の家庭像を語り合いながらふと後ろを振り返って卒倒してしまったり(そうなるような演出上の仕掛けがあります)…とにかく楽しませてくれて、客席からも何回も笑いが起きています。
とても見やすいオーソドックスな演出で、モーツァルトのオペラ入門にもうってつけの1枚です。一時期販売中止になってしまいましたが、最近店頭でまた見かけるようになりましたから、探してみて下さい。
有名な序曲が♪ジャ~ン…と鳴り渡ると「さあ始まった!o(^o^)o」とウキウキします。オペラ…というか、正確に言えばジングシュピールという歌芝居ですが、細かいことは気にせず鑑賞しましょう。
我が家にあるのは1983年、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場での公演です。昨日鑑賞した《フィガロ》に負けないスター歌手揃い踏みです。
(ビクターエンターテイメント UCBP-9022)
ザラストロ…クルト・モル
王子タミーノ…フランシスコ・アライサ
弁者…ヤン=ヘンドリック・ローデリング
夜の女王…エディタ・グルベローヴァ
パミーナ…ルチア・ポップ
パパゲーノ…ヴォルフガング・ブレンデル
パパゲーナ…グドルン・ジーベル
モノスタトス…ノルベルト・オルト
3人の侍女…パメラ・コバーン
ダフネ・エヴァンゲラートス
コルネリア・ヴルコップ
3人の童子…テルツ少年合唱団ソリスト3名
バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
指揮…ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演出…アウグスト・エヴァーディング
装置・衣装…ユルゲン・ローゼ
これまた、それぞれの役柄の代表格と言っても過言ではない歌手陣が揃っています。
序曲の後、幕が開いてアライサのタミーノが蛇に追われて登場するところからワクワクします。見た目若干小柄(第1幕で弁者と対峙すると、まるで大人と子供みたい)ですが、一時期タミーノだけでなく、モーツァルトの《後宮からの逃走》のベルモンテやロッシーニの《チェネレントラ(シンデレラ)》の王子ドン・ラミロと言えばアライサが代表格でした。ベビーフェイスに甘い声…これなら3人の侍女達が一目惚れしても大丈夫です(何か失礼な言い方…)。第1幕のアリア《何と美しい絵姿》では、その伸びやかな美声を存分に堪能することができます。ただ、この作品は第2幕で『黙ってろ!』という試練を与えられる関係上、特に後半はあまり歌声が聴けないのが残念です。
私の中で、夜の女王と言えばグルベローヴァです。私は一度、渋谷のタワーレコードのインストアトークショーで生で彼女を見たことがあるのですが、こんなちっちゃくて可愛い人の一体どこからあんなにも美しく輝かしい声が出てくるんだろう?…と思うくらい小柄なのです。でも、第1幕のアリア《恐れるな若者よ》にも、第2幕《地獄の復讐が私の心の中で》にも、超絶技巧のアジリタ歌唱が出てきますが、恐らくこの方は16分音符を食べて生きているのではないか…と思うくらい完璧な歌唱を聴かせてくれます。また、この両アリアにはハイF(超人的に高いファの音)が出てきますが、彼女が歌うとなったら何の憂いもなく聴いていられます(でもこれってとっても大変なことなのですよ)。
ザラストロ役のクルト・モルは、これぞバス!という深い響きの声の持ち主です。彼の当たり役と言えば、私の中では《薔薇の騎士》のオックス男爵と、このザラストロです。第2幕始めの《イシスとオシリスの神よ》や、アリア《この聖なる神殿では》を聴くと、包み込まれるようなバスの響きにうっとりします。前者2名と正反対に大柄な体格(さすがゲルマン民族…)と端正な面差しでも、威厳ある慈悲深い大教祖を好演しています。
パミーナ役のポップは、昨日の《フィガロ》のスザンナとは全然違う顔を見せてくれます。父であるザラストロと母である夜の女王との間で苦悩し、タミーノへの愛にときめき、共に試練に耐え…そんな揺れ動く複雑な乙女心を、きめ細かな演技力と確かな歌唱力で見せてくれます。第2幕にある唯一のアリア《愛の喜びは露と消え》では、絶望に打ちひしがれるパミーナの心情を切々と歌い上げています。
ヴォルフガング・ブレンデルのパパゲーノは、第1幕で《おいらは鳥刺し》を歌いながら登場したところから、とにかく楽しいです。その後、ヘタな嘘をついて3人の侍女の口にカギをかけられてしまった後、《フム、フム、フム…》とタミーノに助けを求めて、侍女達に無事にカギを外してもらったらしばらく口がひん曲がってしまっていたり、第2幕《恋人か女房が》に続いてパパゲーナと歌う《パ、パ、パ…》では、やっと巡り会えたパパゲーナと将来の家庭像を語り合いながらふと後ろを振り返って卒倒してしまったり(そうなるような演出上の仕掛けがあります)…とにかく楽しませてくれて、客席からも何回も笑いが起きています。
とても見やすいオーソドックスな演出で、モーツァルトのオペラ入門にもうってつけの1枚です。一時期販売中止になってしまいましたが、最近店頭でまた見かけるようになりましたから、探してみて下さい。