共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

性格が垣間見える自筆譜〜ハイドン編

2020年06月28日 16時55分28秒 | 音楽
今日は午前中にかなり激しい雨の降った日でした。昨日のうちに洗濯を済ませておいて、本当によかったと思います。

さて、今日は特に何もしていなかったので何を書こうかと考えていたのですが、久しぶりに自筆譜シリーズを書いてみようと思います。今回は『交響曲の父』とも呼ばれているハイドンです。



モーツァルトやシューベルトといった作曲家が生前不遇をかこっていたことは有名な話ですが、そんな中にあってハイドンはどちらかと言うと生前から名声を得ていて、パトロンにも恵まれていました。しかも77歳まで生涯を送ったかなりの長寿でもあります。何しろ生まれた時(1732)にはまだバッハが活躍していて、亡くなる時(1809)にはナポレオンによるウィーン侵攻があったのですから、当時としては長老的存在だったわけです。

そんなハイドンの自筆譜は、見た目にも穏やかで読みやすいものが多く見受けられます。



上の楽譜は『オーストラリア皇帝讃歌』の自筆譜です。この曲は、ハイドンが渡航したイギリスで聞いたイギリス国歌に感銘を受けて当時の神聖ローマ帝国皇帝を讃えるために作曲したもので、今もドイツ国歌として歌われています。

モーツァルトと比べて細い線で書かれていますが、かなり明解で読みやすく、このまま演奏できそうなくらいです。後の世の校訂者泣かせの自筆譜もある中では、かなり丁寧なものと言えると思います。

この曲は弦楽四重奏曲第77番《皇帝》の第2楽章にも使用されています。このメロディを様々なかたちにバリエーションしていく変奏曲となっていて、数多あるハイドンの弦楽四重奏曲の中でも屈指の名作として今日に伝えられています。

そんなわけで、今日はその《皇帝》の第2楽章の演奏動画を転載してみました。コダーイカルテットの演奏で、ハイドンの穏やかな世界観をお楽しみ下さい。




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