共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

やっぱり美しい物語

2014年11月13日 19時33分23秒 | 日記
今日は出勤前にアミューあつぎの9階にある映画館に立ち寄りました。ここで来週まで《風立ちぬ》が上映されています。そう、あの宮崎駿最後のジブリ監督作品です。

今日はさすがに、私の他にも暇そうな老齢の方々がそこそこおられて、映画館らしい雰囲気を醸し出していました。私もちょっとホッとして、荷物を座席に置く関係上、とりあえず隅の方の席に陣取りました。

ストーリーについては、今更ここで改めて書く必要もないと思います。改めて観てみた感想としては、大正後期から昭和初期にかけての時代というのは、人間が実に文化的で、美意識が高くて、優雅なものであったのだろうな…ということでした。

零戦を設計した堀越二郎にしても、彼が憧れたカプローニ伯爵にしても、飛行機に機能面だけでなく美しさを求めて設計をしていましたが、それには一つには、この時代に生きた人達ならではの美意識というものが大きく影響していたであろうことは間違いないでしょう。二郎が昼に食べた鯖の味噌煮から取り出した鯖の骨のアールを「美しい」と言い、そこから戦闘機の翼のイメージを想起するシーンは特に印象的なものでした。

その美意識は、彼の妻となった菜穂子にも感じました。結核を患い、一度は僻地のサナトリウムから抜け出して二郎と添い遂げるも、彼が零戦開発に精根を傾けて、いよいよ試験飛行に臨んでいる中で行方をくらませてしまいます。

慌てて追おうとする二郎の妹に向かって仲人夫人が「追ってはダメ!」と止めてから、ポツリと

「綺麗なところだけ、見てもらいたかったのね。」

というシーンでは、思わず涙が込み上げてきます。何という高い美意識、何という純粋な愛情…。

公開当時から、声優の起用等について賛否両論が渦巻いていましたが、ひたすらに美しい物語…この作品はそれでいいんだと思うのです。声優の起用が気になるということは物語に集中していない証拠ですし、史実に反するのが気になるならガチガチのドキュメンタリーでも見ていればいいのですから。

DVDも発売されていますが、久しぶりに大画面で観賞できてよかったです。もう一度くらい、映画館サイズを堪能しに見に来てみてもいいかな…とも思いました
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« わかりやすい《般若心経》訳本 | トップ | 今日の《cafe32゜F》 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。