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振袖会

 7日(土)に、娘の高校の同窓会が名古屋で開かれた。同窓会と言っても、今年20歳になる娘達が振袖を着て集まって、皆で成人を祝う、娘の卒業した高校の伝統的行事らしい。「振袖会」とずばりそのものの別名があり、送られて来た案内状にも、『同窓会(振袖会)』と明記してあった。この高校は、中高一貫のミッション系の女子高であるが、なかなか派手なことをやるものである。さすが金ピカ名古屋の私立学校と思わないでもないが、勿論出欠は自由であるから、そんなバカらしいことには賛成できないと思えば欠席しても構わない。しかし、卒業生の3分の2が併設された大学には進まずに他大学へ進学しているため、懐かしさも手伝って多くの同級生が参加する予定らしい。娘も京都に住んでいる関係上、卒業して2年、なかなか旧友に会う機会がなかったため、喜んで出席することにしたようだ。
 しかし、9日には地元で成人式が開かれ、そちらにも出席する予定なので、都合2回着物を着ることになる。その際、違う着物を着たいと娘が言ったのか、妻が着せてやりたいと思ったのかは定かではないが、とにかく2日別々の着物を着ることになっている。と言っても、そのためにわざわざ新しく着物を作ってやったわけではない。私は一枚くらいならどうにか工面して作ってやらなければと思っていたのだが、妻の考えは、自分の着物か、私の妹の着物、または妻の妹の着物のうちから、娘に似合うものを選んで仕立て直しをしようというものだった。ほとんど着ることもない着物にそんな大金をかけるのは勿体ないと、自分のSMAP三昧にはお金に糸目をつけない奴が、そんな倹約家のようなセリフを吐いても、俄かには信じがたい。が、結局自分の意向を押し通して、去年の冬に何枚か娘に着せてみて、柄や色合いが娘に似合うと思われるものを2枚選んだ。1枚は妻が自分の成人式に着た物、もう1枚は妻の妹が成人式に着た物がよく似合ったらしい。しかし、妻は身長160cm、義妹は155cmくらいで、娘は170cmを超えている。当然仕立て直しをしなければならず、デパートの呉服売り場に持ち込んだのだが、仕立て代は着物1枚くらいは買えるほどかかったと教えてくれた。もう何年も前から、成人式のためにとコツコツ貯めたお金で支払ったそうだが、彼女にしては上出来だった。good job!だ。
 そこで、7日の同窓会には義妹の着物を着ることになった。だが、12時からの会にあわせて9時から美容院で着付けをしてもらい、そのまま名古屋の会場まで行ってしまった。しかも帰って来たのが、ちょうど私が生徒をバスで送迎している間だったらしく、私は全く娘の着物姿を見ていない。できたら写真を撮ろうという目論見が外れて家に戻ったら、脱いだ着物が衣紋掛けにかけてあった。とりあえずこれでいいやと、写真に収めてみた。今日は時間的に無理だったのかもしれないが、何にしても「哀しき者は父親」である。どうせこんなもんだろうとは思っていたが、いざそうなってみるとやはり寂しい。でも、着物姿の1枚くらいは写真に収めてあるだろうから、後でそれを拝ませてもらえばいいかと、気を取り直して娘に会の様子をたずねてみた。
 卒業生190人ほどのうち、8割くらいが出席したらしい。出席者全員が当然の如く振袖だったそうで、想像しただけでその壮観さが目に浮かんでくる。これこそハデハデ名古屋嬢の大博覧会のようで、是非この目で見たかったものだと残念に思う。卒業式の後の、はかま姿の謝恩会も華麗なものだが、高校の同窓会でこれほどきらびやかさを演出するものはそうざらにはないだろうな、と思わず嘆息してしまった。
 娘の振袖姿は9日の成人式までお預けとなってしまったが、今度こそは一生の記念に、娘と並んで写真に収まりたいものだ。今日は厳寒ではあったが、幸いなことに晴天だった。成人式の当日も、穏やかな天気にならんことを心より祈っている。
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