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センター試験

 私はセンター試験は言うまでもなく、前身の共通一次試験も受けていない。私たちの2学年下から共通一次試験が導入され、2浪した友人は新制度で苦労したことを覚えている。私たちの頃は、国公立大学が一期、二期と分かれていて、一期校の発表が終ってから二期校の入試が行われていたと思う。今の分離分割方式もなんだか訳が分からないが(後期試験廃止の動きは進んでいるが)、当時の一期校・二期校と言うのもふざけた制度であったと今は思う。
それにしても、センター試験は雪にたたられることが多い。私の娘が受験した2年前も、1日目は雪が舞い、2日目は道路が凍結してしまって、試験会場まで妻が必死の思いで車で送って行った。今年も雪で交通機関の乱れが心配される。何もこんな時期に試験を行わなくてもと毎年思うが、スケジュール的にどうしようもないことなのだろう。それだけに様々なアクシデントに備えるだけの体力と精神的タフさを身に付けておかなければいけない。それで思い出すのが娘のセンター試験だ。
 1日目の英語の時間に、急にお腹が痛くなりだした。我慢すればできそうだったが、グズグズしているよりスパッとトイレに行ったほうがすっきりして落ち着いてできるだろうと瞬時に判断し、手を挙げ、許しを得てトイレに行ったそうだ。「戻ってきてパパッと仕上げたら、15分も時間が余っちゃった」帰宅して、あっけらかんとこう話した娘を見て、こんな冷静な判断ができるんだからこの試験はきっとうまくいくだろうと思った。17・8の女の子では「試験中にトイレに行くなんて恥ずかしくてできない、我慢しよう」という子が多いだろうが(たぶん私もそうしただろう)、自分が今何をしなければならないかを判断し、それを実践できるだけの意志を持った一個の人間に成長した証だと思って、娘が妙に頼もしく見えた。
 しかし、そんなファインプレイができたかと思えば、トンチンカンなことも平気でしてしまうのが私の娘だ。2日目の終了後自己採点を終えて、予想以上の点が取れて大喜びしていたはずの娘が、深夜近くなって、「数ⅡBのマークシートに名前を書き忘れたかもしれない」と言い出した。「書いたとは思うんだけど、自信がないなあ」そう言う本人はさほど深刻そうではないが、聞いた私は顔面蒼白になった。「えっ、もしそうなら0点になってしまう。それどころか数ⅡBを受けていないことになって必要科目不足で受験できなくなってしまうぞ」「たぶんいいとは思うけど・・まあ、今さらどうしようもないし」とけろっとしている。「私立に出願して、もし名前が書いてなくて0点ならどこも受からないし、逆に受かってたら名前が書いてあった証拠になるから、そこでわかるよ」こんな度胸が座ったことが言えるのは私の遺伝ではない。妻の血が濃く流れているからだ、私ならとてもこんな平気ではいられない・・・
 結果は、センター出願した私立大学は全部合格したから、ちゃんと名前は書いてあったのだろうが、それまでは私には不安な日々が続いた。(豪胆な妻と娘はすぐにそんなことは忘れていたようだが)
 しかし、センター試験で今までに一番驚いたのは娘の一学年上の生徒が受験したときだった。私が塾で授業をしていたところに緊急な用件だと一人の塾生から電話が入った。「H君が国語の試験科目を間違えて受験したって今携帯にかかってきたんだけど大丈夫なの?」「何だって?」「国語Ⅰ・Ⅱを受けなきゃいけないのに間違えて国語Ⅰを受けたらしい」「本当か・・じゃあ、すぐ塾に電話して来いと言ってくれ」私はすぐに国語Ⅰでも受験できる国公立大学を調べた。幸い彼は理系だったため、国語Ⅰでも行ける学校が結構見つかった。勿論第一志望校はダメになってしまったが、まだまだ何とかなる。しばらくして電話してきたH君に、「受験できるところはたくさんあるからとにかく落ち着いて残りの科目を頑張れ」と告げた。最初彼はすごく動揺していて蚊の鳴くような声だったが、私の話を聞いて何とか気を取り直すことができたようだ。残りの科目も気力で何とか乗り越えて、今は岩手大学に通っているが、この話は入試会場で注意すべきことを話す時の好例とさせてもらっている。
 入試は途中で諦めてはダメだ。最後まで粘り強く集中して、自分の持てる力を120%出すようにしなければいけない。

 受験生よ、頑張れ!!
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