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ちびまる子

 昨日私が目にしたニュースの中で、一番驚いたのは、TVアニメ「ちびまる子ちゃん」が実写化されるというニュースだ。「えっ!」と思ってネットで調べてみたら、次の記事が出ていた。

  実写化の夢実現!「ちびまる子ちゃん」がドラマになるよ。(サンケイスポーツ)
 フジテレビ系で放送中の人気長寿アニメ「ちびまる子ちゃん」(日曜後6・0)が初めて実写版のドラマになることが11日、分かった。
 2年前、昨年1月のテレビ放送15周年を目指しドラマ化の企画が持ち上がったが、まる子のイメージにあう子役が見つからず一度は断念。だが、あきらめきれない制作サイドが昨年末に再度オーディションを行ったところ、500人を超える天才子役集団の中に、“ダイヤモンド”を発見した。
 まる子役を射止めたのは、原作者のさくらももこさんが以前目にした住友生命のCMで「まる子にいいなぁ」と思っていたという森迫永依=もりさこ・えい=(8つ)。「まる子に決まってうれしい。まる子になりきってやろうと思います」と大はりきりの森迫に、浅野澄美プロデューサーは「森迫さんは見た目はもちろん、子どもらしさと大人と対等に会話できる能力が同居している。原作のキャラクターを自然に演じることができる」と太鼓判を押した。4月に2時間スペシャルとして放送予定。
 
 以前私は手塚治原作の「どろろ」が実写化されることに関して「大丈夫か」と疑念をさしはさんだが、今回このニュースを知ったときの第一印象も同じものだった。さくらももこがマンガで描いた「ちびまる子」の世界を実写でうまく表現できるのだろうか、正直心配になった。しかし、ここで私が注目したいのは、さくらももこの発言である。まる子役に決まった子役を「まる子にいいなぁ」と作者自身が思っていたことは、この実写化が成功するような気にさせてくれる。というのは、アニメ「ちびまる子」で『後半に続く』などと軽妙なナレーターをしているキートン山田氏が、先日NHKのラジオで出演の経緯等を話すのを聞いていたからである。
 キートン氏は俳優・声優として長い間芽が出ず、アルバイトをして何とか生活を支えていた。あまりに苦労であったため、もう夢を追うのはやめようかとも思ったが、このままやめては子供たちに親として何も残せない、もう一度頑張ろうと一念発起し、再出発を誓った。その手始めに芸名を付けようと思い立ち、直感的に「キートン山田」という芸名を思いついたのだそうだ(本名の山田とバスターキートンの合体)。印象に残る芸名を付けたお陰で徐々に仕事が増えていき、何とかアルバイトをせずに生活できるようになった頃に、「ちびまる子」のナレーター役のオーディションを受けた。この役は作者のさくらももこが、自分のイメージにぴったり合う人をなかなか見つけられずに、放送開始の一ヶ月前になっても、声優が決まっていなかった。ところが、キートン氏が送ったデモテープを聞いたさくらが、これこそ自分の探し求めていた声だと、まさしく鶴の一声でキートン氏が抜擢されることに決まったということであった。彼は自分を運だけで生きてきたと謙遜していたが、大きな苦労を耐える力があったからこそ運を引き寄せることができたのだろうと私は思う。
 さくらももこの選択がどれだけ正しかったかは、「ちびまる子」を見たことがある人なら、誰もが納得するであろう。それは自分の作品を愛してやまない作者だけが持つ嗅覚というべきものかもしれないが、そのさくらが、「まる子にいいなぁ」と思ったと言うのだから、この森迫永依という女の子はまさしく「まる子」そのものなんだろう。そういう意味で私はこの実写化は期待が持てると思っている。
 しかし、声はどうするのだろう。イメージとしてはぴったりだとしても、まさか声まで「まる子」役のTARAKOに似ているということはないだろう。私たちはあのTARAKOの飄々としたしゃべりこそ「まる子」だと思っているから、子役が自分の声で話したら随分印象が違ってしまうだろうし、かと言ってTARAKOがアフレコしては微妙なずれが気になって落ち着いて見ていられないような気もする。果たしてその辺りをどう処理するのか見ものである。
 でも、キートン山田のナレーションだけは是非そのままにしておいて欲しいと思う。



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