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双子(6)

 前回の双子シリーズは私の不徳のいたすところによって、グチャグチャになってしまったが、今回は落ち着いて書くことができる。
 1月2日は、私の母方の親戚が母の実家に集まる日である。総勢17人いる従兄弟の大部分が集結する一大イベントであり、お年玉の交換会も兼ねているため、出席しないわけにはいかない。私は3時過ぎまで塾があったため、実家に行ったのは4時近くだったが、さすがに参加者はかなり出来上がっている状態で、駆けつけ3杯とばかりに、ビールが私の手元に集まってきた。そこで焦ってガブガブ飲むほど初心ではないけれど、お正月につき遠慮なしに頂いた。近くに住む従兄弟が大部分だが、一人仕事の都合で東京に住んでいる者がいる。1年ぶりに顔を合わせたが元気そうなのは何よりだ。彼から年下のメンバーは全て私の塾で学んだ者たちであり、塾の同窓会のような錯覚を抱かせるほどだが、誰もが皆元気そうで、つつがないことは心から喜ばしいことだった。
 程なく、弟一家も到着した。不思議なことに双子たちが泣かない。同世代の子供がたくさんいたせいかもしれないが、親の手元から離れはしないものの、時には笑顔を見せたりして、なかなかの評判を得ている。これならひょっとして、と私が近付いていって、手を差し出したところ、例の如く私に抱かれようとはしない。やっぱり、と諦めるしかなかったが、いつになったら簡単に抱きかかえることができるようになるだろう。前と比べれば、少しは慣れてはきたようだが、まだまだ時間がかかりそうだ。悲しき伯父はもうちょっと、努力しなければならないらしい。
 5時過ぎまで実家にいて、それからは父主催の食事会が私の兄弟家族を集めて行われた。年末に予約を取っておいたレストランに娘の運転で向かったのだが、まだまだスリルを味わえる。ギャーギャー叫びながら、何とかたどり着くことができたが、これでは京都まで車を持っていくことなどまだまだ許可できない。祖父から譲り受けたマーチだが、ミッションであるため、慣れるのに時間がかかりそうだが、昨今の簡単に運転できる車と違って、ギアを換えなけりゃならないのは、娘のこれからのドライブ人生にとっては好影響をもたらすものだと、私は思っている。
 年に一度父が大盤振る舞いをしてくれる恒例の行事だけに、遠慮なしに注文できて楽しい。息子など、私の弟に誘われて、ワインを飲んでいる。未成年のくせにというそしりを覚悟して言うが、息子は自分専用のワインセラーを持っている。何でそんなことになったのかよく分からないが、中学3年生の頃にワインに興味を持ち始め、自分のワインセラーを購入したのだが、その中には私が誕生日の記念に買ってやった1988年もののワインの他、何本かが収められている。家の外で飲酒することは禁止してあるし、年に何度も飲むわけでもないから、少しくらい大人の気分を味あわせてやるのもいいかと、大目に見てやった。でも、少し飲みすぎたようで、帰宅した後も赤い顔をしていつもと様子が違っていた。
 双子たちも一旦我が家へ立ち寄った。さすがにこれだけ一緒にいれば慣れたようで、家に入っても泣いたりしない。二人でがさごそ遊んでいる。全員が居間に集まって一緒に遊んでいたが、娘が小さい頃遊んでいた積み木をどこからか出してきた。カビ臭くてとてもこのままじゃ遊ばせることもできないので、風呂場に行って洗ってやって、除菌ペーパーでふき取ってから渡してやった。すると、積み木遊びは二人とも好きらしく、叫び声をあげながら楽しそうに遊んだ。じっと見ていると、姪のほうは実に表情が豊かだ。顔も随分可愛らしくなって、にっこりしたりすると本当に愛らしい。甥は暴れん坊だが、こちらも目がパッチリして見違えるくらい可愛くなった。二人を見守る弟も、可愛くて仕方がないといった様子でこまめに世話を焼いている。義妹は鷹揚に構えて、母親らしくなった。私はいつも心の隅で彼らのことを気にかけているのだが、これならすくすくと成長していくだろうなと安心できて嬉しくなった。
 8時半頃に帰り支度を始めた子供たちを見ていたら、去年私が買ってやった上着が丁度いい大きさになっている。大きくなったなと実感したが、今年の秋には新しい上着を買ってやらなけりゃいけないだろう。
 弟一家を送り出しながら、いい伯父さんになるのも結構大変なもんだなと思った。 
 


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