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大相撲

 昨日は3時に塾が終わった。さあ何をしようかと思ったが、何かしたいわけでもない。ここでビールを飲んでしまったら、一日が終わったようなものだ。グッと我慢しようと思ったが、やっぱり飲んでしまった。ひとたび飲んでしまえば後はどうしようもない。眠気とヤケクソと入り混じった頭で考えてみたって碌なもんじゃない。寝るのも勿体ないから、TVでも見ようと思ったが、何も面白くない。辛うじて相撲くらいなら見てもいいかなと、ビール片手に見始めた。
 私は元々相撲が嫌いではない。典型的な「巨人・大鵬・目玉焼き」の男であるから、昨今の大相撲の不人気を憂うる一人でもあった。若貴の時代には当然であった「満員御礼」の垂れ幕も見かけることが少なくなった。日本人の横綱がいないせいだとか様々な分析がなされてきたが、要は朝青龍だけが強くて後の力士が不甲斐ないせいだと私は思ってきた。確かに朝青龍は強い。あんな小さな体でよく勝てるものだと思うが、スピードと技術は他の誰よりも優れたものであることは私にも異論はない。ただ、朝青龍独りに勝ち続けさせて、7連覇をなし遂げさせた責任を他の力士達がどれだけ感じているのか常々疑問に思っていた。今場所優勝すれば8連覇、いくらなんでもそれはないだろうと思いながらも、結局は朝青龍の優勝で終るんだろうなと、半ば諦め気分で適当に大相撲の結果をチェックしていたのだが、思いもかけぬ展開となった。千秋楽の昨日を待たずして、朝青龍の優勝はなくなってしまった。場所前の稽古不足は指摘されていたが、それでも何とか優勝してしまうだろうと思っていたが、それ程甘くはなかった。14日目に安馬に敗れて3敗となった時点で優勝の目はなくなった。あとは2敗の白鵬と1敗の栃東のマッチレースとなった。最近にはない展開にTVを見る私にも力が入る
 白鵬は、朝青龍と同じくモンゴル出身の20歳。父親がモンゴル相撲の横綱でメキシコオリンピック・レスリングの銀メダリストという家系出身で、昨年一気に大関まで上り詰めるかと思われたが、足首の怪我が災いしてここ数場所低迷していた。しかし、今場所は勢いを取リ戻し千秋楽まで初優勝の望みをつないだ。一方の栃東は大関まで昇進したものの相次ぐ怪我のため、2度大関を陥落しその都度奮起して大関にカムバックしてきた苦労人である。魁皇、千代大海と大関の休場が相次ぐ中、なんとか大関の貫禄を保ってきた。こうした状況をおさらいしながらも、早く最後の2番になれと酔いも手伝って性急な思いも募る私だったが、久しぶりに見る大相撲はなかなか面白い。7勝7敗同士の対戦もいくつかあって必死の形相の力士を見るのもいい。特に「北桜」という力士が、三賞の候補になりながらも千秋楽に敗れたため選に漏れたが、悪びれずインタビューで熱い胸の内を吐露していたのには好感が持てた。これから注目の力士である。
 これより三役となり、いよいよ注目の2番が始まった。まず、白鵬vs琴欧州。立会いは五分であったが勢いの差というものは隠しようがない。一気に白鵬が寄りたてると琴欧州は抵抗するものの白鵬が寄り倒しで2敗を守り、優勝の行方は結びの一番、朝青龍vs栃東の結果によることになった。栃東が勝てば3度目の優勝、白鵬が勝てば優勝決定戦と国技館が盛り上がる中、朝青龍が「待った」をする。これで横綱が何をしてくるか分からないと冷静に分析していた栃東が仕切り直しから一気に攻め立てる。右上手をひいた栃東が上手出し投げを打つと、もろくも朝青龍は崩れ落ち、栃東の3度目の優勝が決まった。
 興行的には栃東が敗れ、決定戦まで持ち込まれるのが盛り上がってよかったのかもしれないが、かど番から優勝というちょっとしたドラマもなかなか感動的だった。最後まで優勝を争った2力士には来場所の成績如何によっては、大関・横綱に昇進できる可能性が浮上したが、そうした目先の栄誉に拘らず研鑽を積んで来場所に臨んで欲しい。そうした地道な努力こそが栄冠をもたらす源であるのはどの分野においても同じであると思う。
 来場所は、朝青龍が屈辱を胸に烈しい稽古を積んでくるであろうし、新大関の重圧が取れる琴欧州もその豊かな素質を開花させるはずだ。栃東、白鵬ともに厳しい闘いとなることだろうが、なんとか試練を乗り越え大願成就となることを私も祈っている。
 升席でぼーっと相撲観戦ができるような身分になりたいなあ・・・
 
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