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熊が出た!!

 金曜日、塾バスで迎えに行った小4の女子生徒が、バスに乗るなり、「今日ね、熊が出たんだよ」と話しかけてきた。
「えっ、熊?そんなものこの辺りにゃいないだろう。本当に?」
「本当だよ。だって、学校に連絡が来て、下校の時には先生が一緒についてきたんだもん」
「へーっ・・・本当・・・熊ってどんな熊?」
「ツキノワグマの子供だって。近所のおばさんが歩いてるのを見つけて、私のおじいちゃんに捕まえてって言って来たらしいよ」
「ほおっ」と私は言ったものの半信半疑だった。長い間この市に住んでいるが、熊が出たなんて聞いたことがない。第一、ツキノワグマの生息地域はもっと北の方ではなかったか、私はどうにも不思議な気がして少し調べてみた。

 『ツキノワグマはユーラシア大陸の東部、台湾、日本などの森林地帯に生息する。日本では本州、四国に分布している。九州ではすでに絶滅し、四国でも絶滅寸前の状態にあると考えられる。日本国内では本州以南に生息する唯一のクマ類である。
  一般的にヒグマに比べ一回り小さく、ニホンツキノワグマはオスの成獣で平均頭胴長120~150cm、70kg程度。
 食料事情が悪化すると、ツキノワグマは人里に下りてくることがある。この際、作物を荒らしたり、人間に危害を加えたりするなど、トラブルが発生している。ツキノワグマはヒグマほどに力は強くないので、一般的に人間にとっての危険はヒグマと比べて少ないと言われている。(中略)日本のツキノワグマは、本来おとなしい性格で人を襲う習性はないと言われている。 出没は森林内はもとより、森林と人間の居住エリアとの境界付近で、出会い頭であることが多い。こうした場所に行くときは、聴覚が鋭いクマの特性を利用して、よく鳴る鈴を必ず携行するなど、人間の存在をクマに知らせることが重要だ。また、クマは背中を見せて逃げるものを追う習性があるため、出会ってしまったときは、静かに後ずさりすべきである』   (Wikipediaより)

 なるほど、本州にも生息するのか。それにしても愛知県の、しかも、一応住宅地に現れるなんていったいどういうことなんだろう。詳しい状況が土曜の朝刊に載っていたので、それを要約してみる。

 『1日午前11時半ごろ、当市内の市道上で、ツキノワグマとみられる動物を住民が目撃した。愛知県内でツキノワグマは生息してないとされるが、今年は目撃情報が相次いでいる。今回はクマのつめ跡も確認されたことなどから、県自然環境課は「『生息』と判断する可能性が高くなった」と話している。
 目撃した主婦によると、車で帰宅途中、道路脇のコンクリートののり面を登ろうとしていた体長1mほどのクマを見つけたという。
 県内のツキノワグマの目撃情報は昨年度には2件だったが、今年は11月27日までに32件あるが、この市では初めて』

さらに近郊版には、のり面に残ったクマのつめ跡の写真が載せてあった。うっすらとつめ跡が見てとれて、こんなつめで襲われたりしたら、かなり危険だろう少し怖くなる。そう考えれば、ある小学校の教諭が不審者用の刺股(さすまた)を持って下校中の生徒を警護したというのも、あながち大袈裟なことではないように思う。
 しかし、どうしてツキノワグマがわが市に現れたのだろう。「岐阜県に生息するクマが、県境を越えてやってきた」と考えられているようだが、食糧事情からなのだろうか。ツキノワグマは冬眠前にどんぐりをたっぷり食べなければいけないそうだが、今年は山でどんぐりが不作なのだろうか。いろんな憶測はできるだろうけど、野生の生物が人間のテリトリーに現れること自体、彼らの野生生活が何らかの危機に直面している証拠のように思えてならない。
 
 そうは言っても、人間に害を与えては駆除しなければならなくなる。そんなことにはならず、人間を脅かすことなくこのまま住処の山へ戻って行ってくれることを、ただただ願うのみである。
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