毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
渡辺監督
ゴジ健さんお勧めの、横浜高校野球部監督・渡辺元智著「若者との接し方」(角川書店)を読んだ。もう1ヶ月以上前に買った本だが、なかなか読む時間がとれなかったが、いざ読み始めたらその内容の豊かさに導かれて一気に読了してしまった。
渡辺監督と言えば、73年春甲子園初出場で優勝、80年夏の選手権を制覇、98年にはエース松坂大輔を擁して史上5度目の春夏甲子園制覇を成し遂げ、さらに今年06年には選抜大会優勝と、華々しい戦績を誇る高校球界きっての名監督である。その監督が自らの体験をもとに、現代の若者との接し方について語った本書が、塾という形は違っても、日々若者たちと接している私には多くの示唆に富んだものであったのは言うまでもないことであろう。色々感銘することも多く、いい本を紹介してくださったゴジ健さんには感謝している。
私は、自らの体験を基にした教育論めいた書物は今までに読んだことはなかった。それは、その著者が己の成功例を滔々と自慢げに述べるだけで、それを普遍化できるまで自分の方法を客観視できていないものが殆どであろう、と碌に読みもせずに敬遠ばかりしてきたからである。しかし、本書での渡辺監督は違った。監督は、日々生徒たちと接する中で、その指導法に悩み、多くの失敗を重ねながらもそこから教訓を学び取り、次の指導へつなげていこうという、常に生徒の身に立った向上心に満ち溢れている。
冒頭で監督は現代の子供たちが変わってしまったと強調する。
『とにかく今の子供たちは「伸び伸び」やらせようとすれば好きなほうへ行ってしまうし、「楽しく」やらせようとすれば楽なほうに行ってしまうから、絶えず引き締めていなくてはならない。昔は社会のバックボーンだった「礼儀」とか「礼節」というお題目だけではなかなか制御しきれないのだ。』
これは教育現場に立つ者なら誰でも実感している感想であろう。教師が自分たちの受けてきた教育を順送りにしようとしても、それができない環境になってしまっている。それに対して、家庭での親の躾が悪いとか、社会環境が乱れきっているとか、いくつかの要因を見つけ出すことは容易であろう。しかし、日々子供たちと直に接している指導者たちにとって、そうした要因から今の子供たちを分析している時間的余裕などない。日々刻々と変わっていく、子供たちの意識に何とか付いて行くだけで精一杯であるというのが、現場教師の偽らざる本音ではないだろうか。
「ならばどうする?」--どうかしなければ現場を維持できない、日々教師はこの問いに頭を悩めていることだろう。それに対して監督は、第2章の表題にあるように、「信頼と愛情が人を育てる」と答える。しかし、今の若者たちと信頼関係を築くのはなかなか難しい。一方的にこちらの気持ちを押し付けても退かれてしまうだけだし、かといって何も言わないでいれば無視されたと思い込んでしまう。その辺りの機微が非常に難しい点で、私も以前よりずっと神経質になっていて、子供たちとの距離のとり方に頭を悩ませている。以前のように、これくらいならOKだろうという基準がなくなってしまい、生徒一人一人にきちんと対応していかなければ、立ち行かなくなっている。本当に難しい・・・
その困難さを打ち破るために必要なことを、「普段から多く若者たちとコミュニケーションを交わしていることが、私の言葉を素直に聞いてもらえる土壌になっているのだと思う。」と監督は述べている。本書全編を通じて、監督が毎年100人近くいる部員一人一人に細かな配慮をし、絶えず彼らとコミュニケーションをとろうとしている姿勢には驚いた。何か心配なこと、気がかりなことがあれば、すぐにその生徒と、自分の考えを理解してもらうまで話し合う、その姿勢には心底感服した。いくつもの挫折を味わいながら、そこから学び取った生きた指導法であるだけに、若者と理解しようという姿勢を持ち続けることがどれだけ大切であるかを教えてくれる。
私も常に生徒たちに言葉をかけ、彼らの考えていることを理解しようとしているが、まだまだ未熟者であるゆえ、うまくいかないこともしばしばである。相手の思わぬ反応に、私のほうが先に腹を立ててこちらから会話を打ち切ってしまうことさえある。渡辺監督も言っているように、指導者が己を磨くことがまず第一の要諦である。私も弛まず精進せねばならない。
渡辺監督と言えば、73年春甲子園初出場で優勝、80年夏の選手権を制覇、98年にはエース松坂大輔を擁して史上5度目の春夏甲子園制覇を成し遂げ、さらに今年06年には選抜大会優勝と、華々しい戦績を誇る高校球界きっての名監督である。その監督が自らの体験をもとに、現代の若者との接し方について語った本書が、塾という形は違っても、日々若者たちと接している私には多くの示唆に富んだものであったのは言うまでもないことであろう。色々感銘することも多く、いい本を紹介してくださったゴジ健さんには感謝している。
私は、自らの体験を基にした教育論めいた書物は今までに読んだことはなかった。それは、その著者が己の成功例を滔々と自慢げに述べるだけで、それを普遍化できるまで自分の方法を客観視できていないものが殆どであろう、と碌に読みもせずに敬遠ばかりしてきたからである。しかし、本書での渡辺監督は違った。監督は、日々生徒たちと接する中で、その指導法に悩み、多くの失敗を重ねながらもそこから教訓を学び取り、次の指導へつなげていこうという、常に生徒の身に立った向上心に満ち溢れている。
冒頭で監督は現代の子供たちが変わってしまったと強調する。
『とにかく今の子供たちは「伸び伸び」やらせようとすれば好きなほうへ行ってしまうし、「楽しく」やらせようとすれば楽なほうに行ってしまうから、絶えず引き締めていなくてはならない。昔は社会のバックボーンだった「礼儀」とか「礼節」というお題目だけではなかなか制御しきれないのだ。』
これは教育現場に立つ者なら誰でも実感している感想であろう。教師が自分たちの受けてきた教育を順送りにしようとしても、それができない環境になってしまっている。それに対して、家庭での親の躾が悪いとか、社会環境が乱れきっているとか、いくつかの要因を見つけ出すことは容易であろう。しかし、日々子供たちと直に接している指導者たちにとって、そうした要因から今の子供たちを分析している時間的余裕などない。日々刻々と変わっていく、子供たちの意識に何とか付いて行くだけで精一杯であるというのが、現場教師の偽らざる本音ではないだろうか。
「ならばどうする?」--どうかしなければ現場を維持できない、日々教師はこの問いに頭を悩めていることだろう。それに対して監督は、第2章の表題にあるように、「信頼と愛情が人を育てる」と答える。しかし、今の若者たちと信頼関係を築くのはなかなか難しい。一方的にこちらの気持ちを押し付けても退かれてしまうだけだし、かといって何も言わないでいれば無視されたと思い込んでしまう。その辺りの機微が非常に難しい点で、私も以前よりずっと神経質になっていて、子供たちとの距離のとり方に頭を悩ませている。以前のように、これくらいならOKだろうという基準がなくなってしまい、生徒一人一人にきちんと対応していかなければ、立ち行かなくなっている。本当に難しい・・・
その困難さを打ち破るために必要なことを、「普段から多く若者たちとコミュニケーションを交わしていることが、私の言葉を素直に聞いてもらえる土壌になっているのだと思う。」と監督は述べている。本書全編を通じて、監督が毎年100人近くいる部員一人一人に細かな配慮をし、絶えず彼らとコミュニケーションをとろうとしている姿勢には驚いた。何か心配なこと、気がかりなことがあれば、すぐにその生徒と、自分の考えを理解してもらうまで話し合う、その姿勢には心底感服した。いくつもの挫折を味わいながら、そこから学び取った生きた指導法であるだけに、若者と理解しようという姿勢を持ち続けることがどれだけ大切であるかを教えてくれる。
私も常に生徒たちに言葉をかけ、彼らの考えていることを理解しようとしているが、まだまだ未熟者であるゆえ、うまくいかないこともしばしばである。相手の思わぬ反応に、私のほうが先に腹を立ててこちらから会話を打ち切ってしまうことさえある。渡辺監督も言っているように、指導者が己を磨くことがまず第一の要諦である。私も弛まず精進せねばならない。
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