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大人になったらなりたいもの

 こどもの日に合わせて、第一生命保険のアンケート調査「大人になったらなりたいもの」の集計結果が発表された。全国の幼児・児童を対象に行い、21万人の回答の中から1000件の内容を集計分析したものだ。このアンケートは1989年から実施されていて、その結果の推移を見ると少なからず時代を反映しているのが分かって興味深い。以下に、2006年7月から8月に行われた調査の結果を写してみる。

  男子のなりたいもの          女子のなりたいもの
1.野球選手             1・食べ物屋さん
2.サッカー選手           2.保育園・幼稚園の先生
3.学者・博士             3.看護士さん
4.食べ物屋さん           4.飼育係・ペット屋さん・調教師
  警察官・刑事           5.お医者さん
  大工さん              6.ピアノ・エレクトーンの先生・ピアニスト
7.消防士・救急隊            学校の先生(習い事の先生)
8.お医者さん             8.歌手・タレント
9.学校の先生(習い事の先生) 9.マンガ家
10.マンガ家             10.美容師さん  

 男子の1位の野球選手は、メジャーリーグで活躍する日本人選手が年々増えている現在、男の子があこがれるのも当然であろう。しかし、こうした夢を実現しようと努力してきた子供たちを巻き込んだ裏取引が、ここしばらく次々と明らかにされている。暴露合戦の様相すら呈しているが、そんなもの誰もが知っている、謂わば公然の秘密に過ぎず、何を今更という感が否めない。特に高校生の特待生制度など、甲子園大会という怪物化してしまったイベントを主催する高野連があまりにも枝葉末節にこだわり、憂慮すべき現状を黙認してきたのが元凶だ、と私は思う。甲子園大会を廃止するくらいの覚悟があるのなら世間も納得するかもしれないが、相変わらずの建前に終始し、アナクロニズムを子供たちに押し付けるくらいなら、とやかく言わずに黙っていろよと言いたい。
 男子の順位の中に実業家とか起業家とかが入っていないのにはホッとした。余りに拝金主義的な現代社会を反映していないのがうれしい。特に、警察官・刑事とか消防士・救急隊というような社会に絶対不可欠であるが、決して楽ではない職業に就きたいと思う男の子が多いのは頼もしい限りだ。
 しかし、9位の学校の先生(習い事の先生)の中に、私のような学習塾の教師もカウントされているのだろうか。もしそうなら、そうした子供たちには、「塾の先生なんて中途半端なものはやめなさい」と強く忠告したい。自分で言うのもなんだが、進んで選ぶような職業では決してない。考え直した方がいい。

 女の子については、食べ物屋さんが1位なのがいい。私の娘は小さい頃、「何になりたいの?」と聞かれるたびに「ケーキ屋さん!」と答えていた。どうしてだか分からないが、長い間そうだった(それが高じてか、今ではケーキ屋で2年近くバイトを続けている)。小学生になってからは一度もそんな質問をしたことがなかったので、娘の心がどう変わったのかは知らないが、今では研究者のような者になりたいらしい。今夏にある大学院入試にうまく受かれば、そういう道も開けてくるかもしれない。頑張って勉強してもらいたいものだ。
 5位にお医者さんが入っているのは、なるほどと思った。というのは、今年私大の医学部に進学した息子を持つ私の従兄弟が、その大学の新入生の4割が女の子だと教えてくれたばかりだったからだ。娘の高校の同級生にも医学部に進学した女の子が多数いるので、これからは女医さんがどんどん増えてくることだろう。
 また過酷な労働環境がしばしば問題となっている看護士が、一時期と比べて順位が落ちたものの3位に入っていることは、やさしく清らかな心を持った女の子が多いことの表れだろう。

 こうした子供たちの将来の夢を見聞きするたびに、「子供たちの純粋な夢が成就するといいなあ」と思う。
 大人と呼ばれてもう久しくなった私が小学生の頃に抱いていた将来の夢は、「総理大臣になること」だった・・・。どこでどう間違ったんだろう。
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