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ネバーギブアップ

 日曜の朝刊のスポーツ欄の片隅に次の記事を見つけた。
 
19日に、滋賀・皇子山球場で行われた関西学生野球春季リーグ戦で、関大の伊勢慎也(1年・明徳義塾)が京大を相手にリーグ史上27人目となる無安打無得点試合を達成した。今季は既に近大の巽真悟(3年・新宮)が同大戦で、関学大の板戸圭介(3年・関西学院)が京大戦で無安打無得点試合を達成しており、1シーズン3回はリーグ史上初めて。京大は今季2回目の無安打無得点で、これも初。

大学野球は、斉藤祐樹投手が入学した早稲田大学の試合がTV放送されるほど、東京六大学に注目が集まっている。そうした中、関西学生野球のニュースが流されるなんてことは珍しいが、こんな珍記録しか報道されないのも何か寂しい気がする。かと言って、今年巨人に入団してもう既に4勝を上げている金刃投手は、立命館大学の出身であるから、リーグ自体のレベルがさほど低いわけではないだろう。ただただ、京大野球部の力が劣っているに過ぎない、残念ながら。
 京大は、4月に始まった春期リーグ戦を全て戦い終えたので以下にその戦績を載せてみる。
   4/7 vs.近大 0-1 (6安打)
       vs.近大 0-8 (1安打)
   4/18 vs.関学大 0-1 (0安打)
       vs.関学大 0-8 (1安打)
   4/28 vs.同大 2-7(延長11回) (7安打)
       vs.同大 0-8 (3安打)
   5/11 vs.立命大 0-7 (4安打)
       vs.立命大 1-12(5安打)
   5/19 vs.関大 0-3 (0安打)
       vs.関大 3-8 (8安打)

10戦全敗で当然最下位。スコアを見ると、投手陣はそれほど大量失点を重ねているわけではない。得点力が低すぎるからどうしてもこんな成績になってしまうのだろう。10試合で合計得点が6点、1試合平均0.6点しか取れないのだから勝てるはずがない。チーム打率を計算してみたら.114 、これじゃあどうしようもない。ランナーが出ないのだから作戦の立てようがない。
 私が学生だった頃は京滋リーグというものに所属し、細々と試合をしていただけだった。それが1982年のリーグ再編の荒波に飲みこまれて、どういうわけか関西私立の雄と同じリーグに所属するようになってしまったのだから、今日のような成績は当然といえば当然であり、仕方がないのかもしれない。そうした苦しい胸のうちは、野球部のHPにも書かれていた。      

 「京大硬式野球部において野球をするということは、並大抵のことではありません。弊部には推薦制度もありませんし、学校からの補助金もありません。また、部員は全員が苦しい受験勉強を潜り抜けなければならないため、自ずと入部時には肉体的に衰えていることになります。しかし、こういったハンデを背負いながらも、めげることなく恵まれた私学勢に立ち向かい、決して彼らにも負けないような成績を残された方も大勢いらっしゃいます。」

確かに恵まれた環境ではないだろう。だが、そんな中でも野球をやろうとする若者の熱意は十分伝わってくる。高校まで野球でスポットライトを浴びたことのない者たちが、甲子園出場者も多くいるであろう私立大学のチームと同じ土俵に立って勝負しているのだから、並大抵な努力ではないはずだ。彼我の力量の差は如何ともしがたいであろうし、気力で乗り越えられるレベルでもないだろう。だが、どんなに叩きのめされても立ち上がるロッキー・バルボアのように不屈の闘志だけはいつまでも持ち続けて行って欲しい。たとえ、チャンピオンになるチャンスはゼロに等しくとも、戦う姿勢だけは忘れないようにして欲しい。
 
 少し調べて驚いたことは、甲子園球場で試合が行われることだ。「京大に入学して野球部に入れば甲子園で野球ができるよ」などと宣伝したら、進学校の弱小野球部で悔しい思いをしている野球部員が、必死で勉強を始めるかもしれない。そうして少しでも有能な部員が集まれば、ノーヒットノーランを食らうこともなくなるだろうし、リーグ優勝も夢ではなくなるかもしれない。そんな日がいつか来るといいなあ・・。
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