毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
「田舎暮らしに殺されない法」
「あまりにも軽々しくて安易なイメージに端を発した、元も子も失いかねないほどの危険な人生の展開に大切な退職金や残り少ない余生をそっくり注ぎこんでしまう前に、田舎で育ち、都会から田舎へ戻ってすでに長いこと暮らし、田舎の表と裏を知り尽くしている私の言葉に、その種のテレビ番組ではけっして扱わない、いや、扱えない忠告にちょっと耳を傾けてみてください。」
と、「はじめに」の中に書かれた、丸山健二著「田舎暮らしに殺されない法」(朝日新聞出版)を読んだ。
丸山健二という小説家の名前はずいぶん昔から知ってはいたが、一冊もその著作を読んだことはなかった。だから、彼が長野県安曇野に住み、「文壇と一線を画した独自の執筆スタイルを貫いている」などということも当然知らなかった。書店で本書を手に取ったのも、丸山健二の本だから、という訳ではなく、題名に触発されてペラペラと頁をめくるうちに、目に飛び込んできた刺激的な数々の言辞に大いに興味が惹起されたからである。
私は田舎暮らしをしたいと考えている者ではない。名古屋近郊の地方都市の在住者として、今の暮らしに不満を持っているわけではないし、退職して(私の場合いつが退職になるのか予想もつかないが)田舎に引っ込み晴耕雨読の生活を送るのを夢見たことなど一度もない。そんな私には、著者の忠言など無用なものであるが、リタイアした後の「余生」を楽しむための雑誌やTV番組などを多く見かける昨今、田舎暮らしの魅力をやたら強調し、作為的にブームを創り出し、金儲けをしようとする輩が何と多いことか、と胡散臭さを感じないではいられない。だが、正面きってそういう時流に「待った」をかけようとする表立った動きはなかなか現れず、密かに忸怩たる思いをしていた私は、勢い天邪鬼のように斜に構えるしかなかった。そんな私には朗報とも言えるのが本書で、そうしたブームに私が日頃感じていた怪しさ・危なさを忌憚なく断じてくれていて、ページをめくるたびに大きく頷いてばかりいた傑作である。
著者の目はひたすら峻厳だ。深く考えもせず、一時の思いつきで田舎暮らしに La vie en rose のイメージを託してしまう退職者に投げつける言葉は、いきなり心臓をつかみ出そうとするかのように、読む者の幻想を打ち砕く。それほど40年の田舎暮らしに裏打ちされた著者の言葉はいささかの容赦もない。しかも小説家の言葉であるだけに、研ぎ澄まされた言葉の一つ一つはずしりと胸に突き刺さる。著者から言えば、ごく当たり前のことを言っているだけで、それを厳しいと感じてしまう退職者・読者の方に問題があるということになるのだろう。そう思えば、各章の始めに掲げられた小題は、田舎暮らしに必要な心構えを端的に表現したものとして、己が田舎暮らしに耐えられるかどうかの格好の試金石となるかもしれない。
・その前に「自立」しているか問え
・確固たる「目的」を持て
・「自然が美しい」とは「生活環境が厳しい」と同義である
・年齢と体力を正確に把握せよ
・「田舎暮らし」を考えるなら、まず酒と煙草をやめよ
・「孤独」と闘う決意を持て
・「妄想」が消えてから「現実」は始まる
・田舎は「犯罪」の巣窟である
・田舎に「プライバシー」は存在しない
・「付き合わずに嫌われる」ほうが底が浅く、「付き合ってから嫌われる」ほうが数倍も根が深い
・「第二の人生」について冷静に考えよ
・「老後の現実」を直視せよ
・あなたを本当に救えるのは、あなた自身である
これだけの項目を熟読玩味し、己の心と時間をかけて深く相談し、それでも田舎暮らしをしたい、できそうだ、と思うのなら止めはしないよ、それが著者からのメッセージなのかもしれない。だが、著者が繰り返し「自立していない」と繰り返す、都市生活に慣れきった退職者ではとてもそんな勇気はもてないだろう。
もちろん私には、そんな蛮勇はどこを探してもないのだが・・。
と、「はじめに」の中に書かれた、丸山健二著「田舎暮らしに殺されない法」(朝日新聞出版)を読んだ。
丸山健二という小説家の名前はずいぶん昔から知ってはいたが、一冊もその著作を読んだことはなかった。だから、彼が長野県安曇野に住み、「文壇と一線を画した独自の執筆スタイルを貫いている」などということも当然知らなかった。書店で本書を手に取ったのも、丸山健二の本だから、という訳ではなく、題名に触発されてペラペラと頁をめくるうちに、目に飛び込んできた刺激的な数々の言辞に大いに興味が惹起されたからである。
私は田舎暮らしをしたいと考えている者ではない。名古屋近郊の地方都市の在住者として、今の暮らしに不満を持っているわけではないし、退職して(私の場合いつが退職になるのか予想もつかないが)田舎に引っ込み晴耕雨読の生活を送るのを夢見たことなど一度もない。そんな私には、著者の忠言など無用なものであるが、リタイアした後の「余生」を楽しむための雑誌やTV番組などを多く見かける昨今、田舎暮らしの魅力をやたら強調し、作為的にブームを創り出し、金儲けをしようとする輩が何と多いことか、と胡散臭さを感じないではいられない。だが、正面きってそういう時流に「待った」をかけようとする表立った動きはなかなか現れず、密かに忸怩たる思いをしていた私は、勢い天邪鬼のように斜に構えるしかなかった。そんな私には朗報とも言えるのが本書で、そうしたブームに私が日頃感じていた怪しさ・危なさを忌憚なく断じてくれていて、ページをめくるたびに大きく頷いてばかりいた傑作である。
著者の目はひたすら峻厳だ。深く考えもせず、一時の思いつきで田舎暮らしに La vie en rose のイメージを託してしまう退職者に投げつける言葉は、いきなり心臓をつかみ出そうとするかのように、読む者の幻想を打ち砕く。それほど40年の田舎暮らしに裏打ちされた著者の言葉はいささかの容赦もない。しかも小説家の言葉であるだけに、研ぎ澄まされた言葉の一つ一つはずしりと胸に突き刺さる。著者から言えば、ごく当たり前のことを言っているだけで、それを厳しいと感じてしまう退職者・読者の方に問題があるということになるのだろう。そう思えば、各章の始めに掲げられた小題は、田舎暮らしに必要な心構えを端的に表現したものとして、己が田舎暮らしに耐えられるかどうかの格好の試金石となるかもしれない。
・その前に「自立」しているか問え
・確固たる「目的」を持て
・「自然が美しい」とは「生活環境が厳しい」と同義である
・年齢と体力を正確に把握せよ
・「田舎暮らし」を考えるなら、まず酒と煙草をやめよ
・「孤独」と闘う決意を持て
・「妄想」が消えてから「現実」は始まる
・田舎は「犯罪」の巣窟である
・田舎に「プライバシー」は存在しない
・「付き合わずに嫌われる」ほうが底が浅く、「付き合ってから嫌われる」ほうが数倍も根が深い
・「第二の人生」について冷静に考えよ
・「老後の現実」を直視せよ
・あなたを本当に救えるのは、あなた自身である
これだけの項目を熟読玩味し、己の心と時間をかけて深く相談し、それでも田舎暮らしをしたい、できそうだ、と思うのなら止めはしないよ、それが著者からのメッセージなのかもしれない。だが、著者が繰り返し「自立していない」と繰り返す、都市生活に慣れきった退職者ではとてもそんな勇気はもてないだろう。
もちろん私には、そんな蛮勇はどこを探してもないのだが・・。
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