じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

北方謙三「ヒラメ」

2018-05-16 19:32:57 | Weblog
☆ 北方謙三さんの短編集「コースアゲイン」(集英社文庫)から「ヒラメ」を読んだ。

☆ 釣りの情景から始まる。魚との格闘の様子はヘミングウェイの「老人と海」だ。

☆ かかった獲物は結構大きめのヒラメ。これをさばけるのだからスゴい。半身は刺身に、残る半身は昆布締めに、頭と骨はから揚げ物に。内臓以外、捨てるところがない。内臓も海鳥の餌になるという。

☆ 前半はこうした孤独な食卓の風景だったが、後半はガラっと雰囲気が変わる。どうやら通夜に出席するらしい。ということで、話は進む。

☆ 前半のヒラメの動きはまさに「生」を表していた。「生」が輝かしいだけに、「死」は一層暗く深い。
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桜木紫乃「本日開店」

2018-05-16 10:21:29 | Weblog
☆ 桜木紫乃さんの短編集「ホテルローヤル」(集英社文庫)から「シャッターチャンス」と「本日開店」を読んだ。この作品集はなかなか刺激的だ。ラブホテル「ホテルローヤル」を舞台にさまざまな男女の営みが描かれている。

☆ 「シャッターチャンス」は、彼女に大胆なポーズをとらせそれを夢中でカメラに収める男の話。

☆ 「本日開店」は、廃れ行く寺を維持するために、住職の妻が檀家とベッドを共にする話。体の良い売春だが、料金は「お布施」と表書きされている。いろいろな人間模様が悲しくもあり、楽しい。

☆ エロチックではあるが、下品でないのがいい。人間、裸になればこそ本音も出る。
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江國香織「水の輪」

2018-05-16 05:54:22 | Weblog
☆ 江國香織さんの短編集「すいかの匂い」(新潮文庫)から「水の輪」を読んだ。

☆ トラウマになるような幼い日の体験。主人公が7歳のとき、近所の10代後半の男性の異様な視線を感じた。あるとき、その男性が私にあるものを渡した。それはクマゼミの死骸だった。

☆ その男性は何がしたかったのだろうか。

☆ ところで、作品の中でクマゼミの鳴き声を「死ね死ね死ね死ね」と表現している。さっそくユーチューブで聞いてみた。意識して聞くと聞こえなくもない。恐怖心が主人公にそう聞かせたのかも知れない。

☆ 表題の「水の輪」とは和菓子の名前。羊羹とゼリーが合体したようなお菓子だ。水羊羹が食べたくなった。
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