じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

カフカ「家父の心配」

2018-08-26 19:08:41 | Weblog
☆ 室井光弘さんの「おどるでく」(講談社)を読み始めたら、「オドラデク」という言葉が出てきた。カフカの「家父の心配」の中に出てくるというので、早速、青空文庫で読んでみた。青空文庫では、大久保ゆうさんの訳で「家のあるじとして気になること」と題されている。

☆ 「オドラデク」というのは奇妙なモノだ。生き物のようであるが、生き物でないようでもある。星型と棒を両端とする棒らしい。私は小学生のころ、糸巻に鉛筆2本をゴムでくくりつけ奇妙な車のようなものを作って遊んだことがあるが、そのようなものだろうか。(形自体にどれほど意味があるのかは疑問だが)

☆ 「オドラデク」は名前や住所を答えるから、やはり生き物なのだろうか。(住所を聞いても「住所不定」と答えているが)

☆ 家父の心配は、自分の死後も「オドラデク」が生きているではないかというものだ。

☆ カフカは死に際し、友人に草稿やノート類を焼却するように頼んだというから、家父の心配はカフカ自身の心配だったのかも知れない。

☆ 謎だけに読者も真相解明に参加できる。結局答えはカフカ自身しか知りえないが。さて、寄り道をしたが、室井さんの作品を読み進めよう。
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古井由吉「杳子」

2018-08-26 17:59:28 | Weblog
☆ 古井由吉さんの「杳子・妻隠」(新潮文庫)から「杳子」を読んだ。

☆ 主人公が山歩きをしているとき一人の女性と出会う。彼女は杳子と言った。彼女は方向感覚を失い谷底に座っていた。彼女を助けて下山した主人公は街中で偶然彼女と再会する。それから二人は奇妙な交際を始める。

☆ 何が奇妙なのか。杳子はどうやら心を病んでいるようだった。最初はパニック障害かと思ったが、読み進めると強迫神経症のようでもあり「うつ」でもあるように感じられた。

☆ とにかく杳子は主人公には心を開き、主人公もそんな杳子にだんだん魅かれていく。

☆ 杳子の行動の観察とそれに対する主人公の心情に多くのページが割かれている。デテールの描写に言語感覚の豊かさを感じるが、事実だけを求める人には少々具が多すぎる気もする。この辺りは好みだろう。

☆ 主人公と杳子のそれからが気になる。
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