国会で消費税は景気に左右されず安定した財源であり、所得税・法人税などは景気に左右されるとの政府答弁でした。確かに仰る通りでしょう。であるからと言って消費税増税の根拠とすることには今一説得力がありません。何故なら、不安定な財源よりも安定的で取り易い税金にシフトし、労少なく税収が確保できるとの算段が働いているからです。要は景気が悪くなっても消費税さえ上げれば、とりあえず一定の税収が確保できる故、政府が何が何でも景気を良くして行かなければならないといった努力をしなくて済むようになるからです。景気動向に左右される直接税は、景気が悪いと税収が落ち込みます。政府は積極的に景気刺激策を行う必要に迫られます。財政赤字で積極財政が出来なければ、大いに智恵を使ってください。それが官僚の責務ではないでしょうか。それこそ畦越しするほどの智恵をお持ちでしょうから、この際大いに社会貢献していただきたいものです。
消費税増税は社会保障とセットで語られております。しかし、増税分5%の中で社会保障に廻るのはたったの1%だとか。これでは「社会保障と税の一体改革」というよりも素直に財政健全化のための増税と仰ればよろしいのではありませんか。社会保障を持ち出すのは単なる見せかけでしょう。「税と社会保障」の方が語呂がよく、しっくり来るのに、わざわざ「社会保障と税」と順番を入れ替えているところに作為を感じます。いみじくも野田首相は答弁の中で「税と社会保障の一体改革」と言った後「社会保障と税の一体改革」と慌てて言い直しました。揚げ足を取るつもりはありませんが、増税の意味を正直に答弁されたものと受け取ります。
社会保障に関しては、個別に保険料が徴収されるシステムになっております。国庫から補助されている分もありましょうが、基本は保険料収入で賄われるものです。ですから制度が立ち行かないのであれば、素直に給付を引き下げるか保険料を上げるのが筋です。こんなに保険料が高ければ、このような制度が本当に必要であるかといった根本的な議論が捲き起こるかもしれませんが、税金を投入するとその分見えなくなってしまいます。訳の判らない内に税金が投入されて、全てがうやむやにされてしまいます。