官房長官でしたか忘れましたが、記者会見で政治家が安全性に関して判断していないという趣旨の発言をされておりました。確か、橋下大阪市長の批判に対する見解であったかと思います。形式上は原子力安全・保安院や原子力安全委員会の意見を聞いたという恰好ではあります。しかし、「政治家が科学的・技術的判断をするの? 」で、枝野大臣が丸め込まれたと指摘しておりましたが、どうも何らかの政治力学が働いて、考えが変わったように疑えます。政治家の判断に合わせるような恰好で、安全基準(暫定)なるものが出てきたのが、そのことを裏付けております。この構図は、このプラントはこの高さの津波には耐えられるから、これ以上の高さの津波は発生しないとした安全基準の認定プロセスに似ております。いつか来た道の愚を再び繰り返してしまうのではないでしょうか?
更に、おおい町で26日に実施された住民説明会に於いて、マスコミインタビューに柳沢経済産業副大臣は「大飯原発を実際に見させていただいて、強固な地盤や高台の上にあり、安全だと判断した。」と言った趣旨の見解を述べておりました。これはまさに政治家自身が、科学的・技術的判断をしたということを自らが認めたことを示しております。
また、説明会において「福島第一原発クラスの地震や津波があっても安全である。」という趣旨の見解も述べておりました。しかし、福島第一原発の事故原因に関する最終報告はまだ提出されておりません。この段階では、現在得られた知見の範囲内において想定される事項に対しては安全であろうと思われるというのが関の山であるのに、安全であると言い切ることをどのようにお考えなのでしょうか?
説明会では、まだ質問しようと手を挙げる住民もいたが、開始から1時間40分で打ち切られたとのことです。これで住民に十分な納得が得られたといえるのでしょうか。そして説明会後のインタビューでは「質問に立つのは反対の方。そんなに強い反発ではないと個人的にはとらえている。」と述べたそうです。呆れて言葉も出ません。そもそも賛成ばかりならば、住民説明会など必要ないではありませんか。副大臣は何か思い違いでもしているのではありませんか?
やはり再稼動ありきで、政治家が安全基準をこの程度に抑えてといった科学的・技術的判断でもって、全ての手順が形式的セレモニーとして行われているとしか言いようがありません。 政治判断をした政治家が全責任を取ってくれるならば良いのですが、何か起こった時には、「原発の再稼動を政治判断するそうですが・・・」で述べておりますように、既に過去の人になっております。責任を取るといっても、精々が議員辞職するくらいでしょう。そして、その政治家のつけは全て国民に降りかかってくることを銘記すべきだと思います。