山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

慣行農法と自然農、自然栽培、・・・

2020-01-27 | 農業
 再読している「科学の発見」のP13に次の記述がありました。 
 -同書より引用-
「農業とは、動植物のありように合わせてうまくチューニングされた技術である。さまざまな種類があり、未だ不完全とはいえ、この技術はちゃんと機能している(つまり、農業のおかげで人類は食糧を育てることができる)。」
 -引用終わり-

 私自身は兼業農家として自然農(参考:「自然農について」)で野菜類と慣行農法で稲作を行っております。慣行農法というのは周辺の農家が一般的に行っている農法のことです。これには農協などの指導によるある意味画一的な栽培方法であるとも言えます。これを採用せざるを得ない理由として、米の流通が個人では難しいこと、山麓部や山間地における稲作の場合には水管理の問題があり周辺農地との協調が必要となり独自の栽培方法が取れない等々、多くは集落営農に関する制約に由来します。
 私個人としては自給自足的農業を目指しておりますので自然農的農法が望ましいと考えておりますが、慣行農法を否定するつもりはありません。なぜならば、先の引用した記述にありますように慣行農法(うまくチューニングされた技術の一つ)があればこそ多くの人口を養えていることも厳然たる事実です。しかしながら一方では、自然環境に悪影響を及ぼすとか多くのエネルギーを消費しているとか言った指摘もあります。これは不完全な技術であるからある意味仕方ないことかも知れません。でもちゃんと機能しているのです。
 農業に限らず多くの技術はそのような側面を持っています。自動車だって至極便利な乗り物ですが排ガスには環境汚染物質が含まれておりますし二酸化炭素も排出します。原発だって同様に多くの電気エネルギーをもたらしますが、一旦事故が発生すれば取り返しのつかない影響を及ぼします。
 結局はその技術から得られる利便性と危険性を天秤にかけて使っていくしかないように思われます。

 自然農をしていく上でいつも私の頭を悩ませている問題があります。それは無肥料栽培といった栽培法です。これまで「自然栽培って?」などで愚痴ってますように未だに全く解決の糸口すら見つかりません。自然栽培農家が書いた書籍を読んでもみました。⇒「農業の常識は、自然界の非常識」

 しかし、トンデモの世界に入り込んでいる印象です。「農業の常識は、自然界の非常識」-その2で書いておりますが、著者は現代科学の成果を完全否定しております。しかしながら、私には同著の著者の主張を否定することができませんでした。これは農業技術という土俵では私の経験と知識では太刀打ちできないということです。

 しかしながら、農業技術といえども自然を対象としているのですから科学的に説明できる必要があります。そういう意味で、科学といった土俵で考えてみます。
 「農業の常識は、自然界の非常識」ではエネルギー保存則を否定しております。

 再び「科学の発見」から引用します。
 -同書P16より引用-
「科学の目標は、自然現象を純粋に自然現象として説明することである。科学とは累積的な営みである。新しい理論は常に、それ以前に成功していたいろいろな説を、改善して組み入れていく。そして以前の説がうまく機能する場合は、なぜそれがうまくいくかまで説明できる。」
 -引用終わり-
 
 つまり「農業の常識は、自然界の非常識」で主張されている事柄は科学の体をなしていないということです。
しかしながら農業分野のみならず生命科学分野や環境科学分野において色々な説が横行しているようです。その中には先に指摘した例のようにとても科学的とは言えないような主張でもまことしやかに流布され多くの賛同者を得ているものもあります。そしてこれがSNSなどで拡大再生産されます。結果このような主張がその分野での常識みたいに取扱われてしまうのです。
 我々がこのような情報を峻別するためには確かな科学的知識や方法論を知る必要があります。そう言った意味で学校教育の重要性が高いと言わざるを得ません。が、今の学校教育にそれを求めても無理であるような・・・。

<参 考>
ニセ科学とどうつきあうか 」「種蒔き時期に月の引力が関係???」「「節電塗装」に関する新聞記事について」「熱交換塗料が熱を消す???







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