金沢の観光スポットレポート その737(No.1110)
◇兼六園こばなし ことじ灯籠、根上りの松
○ことじ灯籠
兼六園のシンボルであることじ灯籠は足が二又になっていて、琴の弦を支える琴柱に似ていることから名がついた。この灯籠は水面を照らすための雪見灯篭の変形である。傍らにある紅葉の古木と手前の虹橋(1枚石)が一体となった景色一幅の絵にようです。
現在のことじ灯籠は2代目で、初代は粟ヶ崎の豪商・嶋崎徳兵衛が献上したもので宝珠、中台、中台受けが庵冶御影石(香川県産)、笠と両足が北木御影石(岡山県産)、火袋が本御影石(兵庫県産)で瀬戸内海3種の石を集めており、財力のある人物ならではと言えよう。
現在の一脚は水中にあり高さ2メートル、陸にあるのは80センチ。明治初期何らかの理由で片足が折れて現在の形になっている。参考までに藩政期に書かれたことじ灯籠は2本とも水中にあった絵が残されている。
■写真は文久3年(1863)「兼六園絵巻」のことじ灯籠
○ことじ(徽軫)とは
「徽」は「しるし」と読み、琴の胴に付けた音符のしるしのこと。
「軫」は「よこぎ」と読み、琴の弦を調整する横木のこと。
何れも琴の音律を調整するもので、琴の弦を支える「琴柱」(コトジ)にも同様の意味があるのでこの2文字を重ねて「コトジ」と読ませたという。
■写真はことじ灯籠
○根上りの松(ねあがりのまつ)
千歳台の明治紀念之標と向かい合うように立っている。兼六園の松木は約560本。そのほとんどが黒松と赤松である。根上の松は黒松で、13代藩主斉泰が若松を自ら植えたといわれている。
名の由来は、40数本の根が地上2メートルまでせりあがることからで、これは、土を盛り上げて若松を植え、成長にともなって土を取り除き、今の形につくり上げたものだ。樹齢約200年、高さ15メートル以上の堂々たる姿は、唐崎の松とともに兼六園を代表する名松である。
■写真は根上りの松
(つづく)