「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!(書評)「『全国水平社 1922-1942 差別と解放の苦悩』朝治 武 著」

2022年04月22日 23時35分26秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
1922年3月3日 (旧京都市岡崎公会堂 )にて、日本最初の人権宣言といわれる水平社創立宣言を採択した。創立大会ではまた『人間を差別する言動はいっさい許さない』と決議され ました。

あれから100年…。
水平社というのは、さまざまな「被差別民」を「士農工商の下」の位置から『四民平等(1870/明治3年9月)』に布告されましたが、大正~昭和に掛けても依然として「差別行為/意識」は続いており、それを払拭しようという運動が世情に露わになったのが、京都市岡崎公会堂で宣言された「水平社創立宣言 」で、人間に上下は無しということで『水平』ということなんでしょう。水平社が結成されたのちは内部で「右派/左派」に分かれたり、修正したりしながら、政府から逮捕・投獄して官憲の圧力により、従来の左派的思想を政府寄りに変更したと獄中で表明することにより、投獄期間が短縮され釈放されて、その後は右派は雲散霧消(私の印象)していき、どっこい残った「水平社」幹部は、ロシア革命で当時隆盛の「共産主義」に共鳴し、協調していく派もあれば、純粋に「差別への抗議」として水平社を維持していこうという派もあり、共産主義派は当時の政府から強烈な弾圧に遭って散り散りになっていく過程を経て、終戦を迎え、GHQの下、解散~戦後、部落解放全国委員会(部落解放同盟の前身 )に至る。
まぁ「部落差別」入り口として本書を読んでいただき、さらに「被差別部落とはなんぞや?」という疑問を元に歴史を辿っていただければ、本書の目的の一端になれればいいかと思われます。
さらにさらに様々な「差別とはなんぞや?」という『差別の根源/差別する精神心理』をも考えていただければさらなる理解が広まると思っています。



ん~、この良書読まずに死ねるかぁ!!

















書籍紹介 「『観応の擾乱』亀田俊和 著 中公新書」

2022年03月28日 00時41分17秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
小学の頃、歴史好きで子供向けの「まんが 日本の歴史」を15巻くらいのやつをコツコツ勝って揃えました。中学まで好きだったのですが高校は学問どこではなく、スポーツばかりやってましたので…
興味のある本を読み漁っていて、最近は「日本史」に遡上してきたわけです。私がまんがで歴史を学んでいたときには「観応の擾乱」なんて文言はなかったのですが(見落としている場合アリ)、BS NHKで「英雄たちの選択」でも取り上げられていました。ん~いつから「観応の擾乱」なん?
知らない方のためにザックリとストーリーを…
鎌倉幕府が後醍醐天皇の命により様々な武将が立ち上がって、最終的には新田義貞が鎌倉に攻め込んで滅ぼしたわけですが、国内の混乱は続いて足利高氏(高氏)が後醍醐天皇に反旗を翻して、後醍醐天皇側(南朝)の新田義貞、楠木正成、後醍醐天皇の子供たちが足利側(北朝)と戦っていき、南朝は劣勢になり新田、楠木は亡くなり、そして後醍醐までも崩御してしまいます。これでほぼ室町幕府が成ったのですが、尊氏自体は「ほぼ隠居状態」で実務は弟の直義(ただよし)、高師直がおこなって行くわけですが、両者が対立していくこととなり、さらなる戦乱が起こっていくわけです。まっこんなところで…
本書を読んでいても政権、主導権が代わる代わる入れ替わったり、尊氏が急にやる気になったり、単純な人間関係などはないのですが本書にはこの時代、権力争いならではのやりとりが書かれておりますので一読ください。



ん~この本読まずに死ねるか!!(久しぶり?)



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読まずに死ねるか!(書評)「『三好一族-戦国最初の「天下人」』天野忠幸 著」

2022年02月09日 23時34分42秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
三好長慶 像

一般に「天下人」といえば織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康となるわけですが、この「天下」という定義が「全国統一」ではなく、現在では「畿内」つまり旧国名でいうと『大和国・山城国(山背国)・摂津国・河内国・和泉国 』といわれています。そうなると、将軍足利家を暗殺、追放し「畿内統一」を果たした三好一族が「最初の天下人」というわけです。
わたしは歴史好きでしたが、本書を読んで「ほぉー!」と思いましたね、だって中学校や高校で習ったのと全然違うんだもの。その他本書以外にも「日本史」の新たな発見からの変更があるようです。それには地方にいらっしゃる「郷土史家」や「未発掘の新たな発見」などで教科書は日々書き直されているといっても過言ではないでしょう。
最近は他にも日本史の書籍を読んでいますので、書いていきたいと思います。よろしく_(._.)_





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読まずに死ねるか!(書評)「『民衆暴力/藤野裕子 著』、『近代部落史/黒川みどり 著』」

2021年10月07日 21時36分18秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
『民衆暴力-一揆・暴動・虐殺の日本近代史』藤野裕子 著
本書は江戸時代の「一揆」明治時代の「秩父事件」大正時代「都市暴動」などを取りあげて、徐々に寛容さが無くなり、また残虐性も強くなってくる「民衆による暴力行為」の変遷が書かれています。いわゆる「百姓一揆」には『作法』があり、百姓側は鉄砲や刀は用いず鍬や鋤で行動を起こし、治めている幕府や藩も訴えを聞いて、そのまま帰すことが多かった。首謀者を断罪するようなことは無かったようです。幕府や藩は闘争を生むような百姓一揆を起こされると、「悪政」という汚名が付き藩であれば転封か取り潰しになってしまう事があるのでもっぱら「仁政」という穏やで模範となるような治政を良しとしていた。
明治期に入ると「廃止令」が出ると、士農工商の下の身分であった「・」までの全てが「平等」になることに農民が反感を持ち、その事が一揆の際に政府側ではなく、今まで自分たちより身分が下であった「アウトカースト」が虐殺の的になった。例として上がっているのが「美作(みまさか)」現在の岡山県で起こった被差別民への残虐な殺害などもみられた。「四民平等」に腹を据えかねたというわけだ。
最終章の大正時代に起きた「関東大震災」での朝鮮人への虐殺だ。この虐殺は残虐を極め、官民挙げての虐殺であったことが資料に証言として残っている。虐殺された朝鮮人の数も解っていない。それは殺害した後に燃やしたり、埋めたり、証言もまちまちで各調査で230~6661人と大きな開きがある。ちなみに一番少ない数を出しているのは司法省である。「虐殺の罪」に関しても政府が直接手を下したり、扇動したことは不問に付され裁判も行われなかった。大衆が起こした虐殺に関しては、通常に殺人の罪よりも大きく減刑されて懲役2~3年や執行猶予が付くものが多かった。それは当時統治していた朝鮮半島に対する差別的な治政や搾取という「日本人以下」という観念や当時起きた「三・一運動」による日本人による統治への反抗がなおさら印象を悪くしたようだ。
ここからは私が感じたこと。「現在の日本」ではどうか?人間というものはなかなか変化するものでは無いようで、SNSでの誹謗中傷により自殺する人は絶たない。子供から大人まで男女問わず。SNSで誹謗中傷することは身体的暴力と同等であることを利用者は頭に置いておかなければならない。



『近代部落史~明治から現代まで』黒川みどり 著
これまで十冊を超える「被差別民/」関連の書籍を読んできて、最近遠ざかっていましたが、また関連本を読み始めました。
明治政府による「四民平等」、「解放令」により額面上は被差別民は居なくなったことになったが、千年続いてきた差別観念は昨日今日で解消されるはずも無かった。政府の狙いとしては戸籍などを整えることにより税収の増加や徴兵などにも利用できるということがあったようだ。しかし、被差別民への差別観念は「人種」や「遺伝的」な違いがあると当然のように思われている場合もある。佛教などでも被差別にある寺院の地位は低く、宗派内でも差別された。また被差別民の戒名も被差別民と解る戒名がつけられ問題になり改善が求められた。「全国結成」から解散、その一因である共産勢力との関係性などなど、新書であるので読みやすく「明治から現在」の時代の中での流れが解りやすく書いてあります。
黒川さんは偏った被差別民に対する哀れみや間違った身分規定論ではなく、その文化や市井の人たちと変わりない姿の意識と、これまでの歴史的教育をしていくことが肝要であるとしている。
最近裁判になったのが被差別をネットで公開したことを差し止めを求める訴えがあった。一審では公開差し止めの判決が出た。公開したということは需要があるということでまだまだ「社会的弱者」や「マイノリティ」を社会のスケープゴートであり続けなければいけないのだろうか?私も「精神障害者」というマイノリティ、社会的弱者であるので・・・。
困ったものです。







この二冊、読まずに死ねるか!!

















読まずに死ねるか!(書評)「『職業政治家 小沢一郎』佐藤章 著」

2021年09月09日 19時33分44秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
まず題名の『職業政治家』というのは「『職業としての政治』マックス・ウエバー 著」から取っています。最初の方は様々な政争や行政との葛藤など、さまざまな舞台裏がインタビューとして聞かれ、興味をそそられました。小沢氏は自民党在籍当初から、大蔵省(現 財務省)との太いパイプがあることは知られており、他の政治家ならば役人にバカにされていたところは、小沢氏の場合は一目置かれ、「内情を知り尽くしている」小沢氏に正直にならざるを得ない数少ない政治家ということが書かれています。小沢氏が自民党を出る際の内情はあくまで「小沢氏側」から書かれていることですが、細川護煕内閣、民主党時代に様々入れ替わった総理大臣。小渕総理とのやりとりや渡辺美智雄さんを総理に担ぎ上げようとしたことの内情などなど。そして、齢80に届こうという年齢ながら「さらなる政界再編」を自分が参加する形で望んでいるという執念には恐れ入りました。
しかし、インタビューアーである佐藤章氏の小沢一郎への傾倒が著しく、突っ込んだ質問がなかったことは残念に思いました。あくまでも「小沢一郎の視点からの日本政治史観」として読むのなのならば良いのではないかと思います。
まっ、一読あれ。