川天使空間

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ぼくと戦争の物語 漆原智良・作 山中桃子・絵 フレーベル館

2014年08月05日 05時32分37秒 | 創作・本の紹介
漆原智良先生の、戦争体験をもとにした物語です。
戦災孤児として生きぬいてきた漆原先生の原点がストレートに伝わってきて、読み終えて、胸がいっぱいになりました。

日本の敗戦が近づいていた昭和19年。
すみだ川国民学校初等科四年生の上原心平は、まるで軍隊のように厳しくなっていく学校生活に疑問を感じていました。
サイパンがやられて全員玉砕というのに、先生は声を高めて言います。

 「しかし、日本軍は、ぜったいに負けない」
 先生が力めば力むほど、教室はどこかしらけた空気に包まれていった。

ああ、子どもたちは感じていたんだと、切なくなりました。
戦争が激しくなって、心平は福島へ学童疎開することになります。
友だちの勝男が大切にしていたメンコをくれるというので、遊園地閉園の日に心平がつかみ取った雷魚と交換します。

福島の小学校は東京よりさらに軍隊的な教育。
心平と同じくおばんちゃの孫で黒潮小島から疎開してきた洋太と一緒ですが、斑で競争するイナゴ取りなどは地元の子どもたちに敵いません。

いじめで音をあげて先生に反抗し、学校を飛びだした心平。
翌朝はやく、おばんちゃにつきそわれて学校に行っておばんちゃが「ゆるしてくんなしょ」と何度も頭を下げると、

 先生は、やさしい声で「勝つまでのしんぼうだ」と、ただひとこというと、口もとをゆるめ心平のかたに手をのせた。
 心平は相馬先生の笑顔をはじめてみた。

大人たちも誰かの命令で子どもたちに厳格になっていたことを知らされます。

そして、翌年三月の東京大空襲。
敗戦の玉音放送。
心平がひとりで列車に乗って東京の様子を見に行く場面は、もう、辛くて辛くて。
山中桃子さまの挿絵からも、気持ちがじんじん伝わってきて。

漆原先生の強さと温かさの理由がわかった気がしました。
漆原先生、ますますのご活躍を!

すばらしい本を読むと、自分がとてもナマケモノに見えてしまう。
がんばらなくちゃ。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)
コメント (2)
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