『東北6つの物語』4巻目、『東北スイーツ物語』をご紹介します。
(福島)福島の桃パフェ『お届けします! スペシャル桃パフェ』吉田桃子
同じマンションに住む幼なじみの6年生3人組、桃奈・夏葉・統也。
統也がとれたての桃を使った桃パフェを食べたいと言ったのに、骨折して入院してしまう。
そこで桃奈・夏葉は「夏休み体験ブック」を統也のために書くことに。
暑い中、果樹園で桃パフェに並んだ桃奈は、熱中症でダウン。
それではと、自分たちで作った桃パフェを配達用リュックで入院中の統也に届けることができた。
中学生になり、今度は3人で列車を乗り継ぎ、果樹園に向かう。
桃パフェがとにかく美味しそう!
崩れないように運ぶ練習までして、入院中の統也に届けようとする気持ちにぐっときた。
(宮城)仙台のずんだもち『グリンプロテイン』おしのともこ
自分のミスで野球の試合に負けてしまった5年生の将士は、体作りのためにプロテインを飲んでいる。
姉にたのまれ郷土料理教室に行くと、同級生のニーナがいた。
ずんだ餅の由来を聞いて、餅をつき、枝豆をすりつぶす。
ニーナが枝豆は若い大豆で、プロ野球選手も食べるソイプロテインだと教えてくれる。
「うめえっ!」と食べたずんだ餅を将士はグリンプロテインと言い、次期キャプテンを引き受ける。
ずんだ餅、作って食べたら、どれだけ美味しいんだろうな。
監督の言葉、
「マサシ、キャプテンはな、一番うまいヤツがなるんじゃないんだ。
一番野球が好きで、一番練習して、一番挑戦して、一番失敗して、
それでもまた挑戦するヤツにメンバーはついていくんだ」
は、やっぱりいいな。
(山形)庄内のからからせんべい『フォーチュン・せんべい』千秋つむぎ
加茂水族館の校外学習を楽しみにしていたのに、班の女子は地味な奧山さんと不登校の安孫子さんで気落ちする花凛。
奧山さんは安孫子さんと交換ノートを書いていて、花凛もひとこと書き添える。
風邪をひいた花凛に奧山さんがからからせんべいを届けてくれ、せんべいの中には小さな鈴があった。
奧山さんと一緒に安孫子さんの家に行き、3人はせんべいの中身でどう占おうかと笑い合う。
花凛は、地味で苦手と思っていた奧山さんと仲良くなり、
不登校の安孫子さんも、からからせんべいのおかげで元気になる。
読んでいるうちに、どうしてだろう、泣けてきてしまった。
千秋つむぎさま、3人の関係の書き方、すごいです。
このお話、本で読みたいなと思ってしまった。
(岩手)二戸のへっちょこだんご『へっちょはいだら へっちょこだんご』田沢五月
すぐにめげて「メゲオ」と呼ばれている4年生の風太。
仲良くしてくれていた大森さんが「ジャパン」の職人になると、ふるさとの岩手に帰った。
大森さんが結婚式に風太一家を呼んでくれるはずだったのに招待状が来ない。
夏休みに大森さんの実家に行くと、おばあちゃんが黒い皿にのったおいしい紫色の団子を出してくれた。
大森さんは両腕に包帯を巻いていて、浄法寺塗のウルシにかぶれたのだという。それでも負けずに漆塗りの修行を続けている大森さん。
「へっちょはいだら へっちょこだんご」の意味は、「疲れたらへっちょこだんごをたべよう」だった。
「メゲ」っていうのは「かわいい」意味だと知って風太は喜んだ。
とにかく、岩手の方言(二戸は南部弁かな)が面白い。
「そこだけ、空気がひんやりしているような気がした」浄法寺塗が並ぶ食器棚もいい。
キビ・アワで作るへっちょこ団子、一度でいいから食べてみたいと思った。
(秋田)秋田のバラアイス『バラアイス』みどりネコ
5年生の亜美と大ちゃんは幼なじみ。
海ではいっしょに泳いでいたのに、プールでは亜美は泳げず、クロールで25メートル泳ぐのが目標。
大ちゃんはプールでも、のびやかに楽しそうに泳ぐ。
プールのあと「暑いからバラアイスを食べに行こう」と大ちゃん。
やっとバラアイスのパラソルをみつけ、一緒に食べる。
「背筋をのばして、もっと遠くを見るように」という大ちゃん。
大ちゃんに恋をしたのに、大ちゃんは突然引っ越していなくなってしまう。
でも、大ちゃんのおかげで、クロール練習の自信がついた。
恋に落ちる瞬間の描写がすごくいい。
……やわらかな声で大ちゃんが言った。
「亜美」「ん?」「その方がずっといいよ」
その瞬間、ここまで届かないと思っていた波が、わたしのつま先にふれた……。
みどりネコさま、すてきです〜
(青森)弘前のアップルパイ『りんごの気持ち』もえぎ桃
お母さんはフリーアナウンサーだが、家ではガミガミと口うるさくて凛子は大嫌い。
「わたしにもアップルパイの作り方を教えて」と頼む凛子に、
お母さんは火を使うのもリンゴの皮をむくのも凛子には無理という。
お母さんが取材に行った大雪のクリスマスの日、おばあちゃんとリンゴをむいて食べる。
凛子がリンゴをむくのをニコニコと見守ってくれるおばあちゃんに、残ったリンゴをレンチンして食べることを教えてもらい、
凛子はレンチンリンゴを使った「簡単リンゴパフェ」を作る。
ケーキが買えなかったと帰宅したお母さんに食べてもらい仲直りし、
お母さんは「簡単リンゴパフェ」を娘が考案したレシピと、ネットで紹介してくれた。
弘前の津軽弁の会話がいいなあ。
そして、つい口出しするお母さんの気持ちもわかるし、
見守って凛子の好きなようにさせるおばあちゃんすごい。
レンチンりんご、作ってみたくなった。
巻末には、レンチンりんごをはじめ、簡単に作れるスイーツが掲載されている。
秋田の「ばったら焼き」は私が作ったもの。
簡単すぎてすみません。
それにしても、以前にも読ませてもらっていたのに、またまた読んで感動。
本を読んでいい気持ちになれるって、やっぱりいいな。
アルビレックス新潟、浦和と引き分けてJ1残留が決まった。
6月以来出場だったのに、早川史哉、守備が良かったなあ。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)