川天使空間

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『地図にないお店 純喫茶クライ』吉田桃子・著 岩崎書店

2025年02月17日 05時00分05秒 | 創作・本の紹介
みちのく童話会のお仲間・吉田桃子さまの新刊は『純喫茶クライ』。
本の帯には「あなたを待っているお店があります」。
5つの短編が、待っていてくれました。

「なみだのミルクセーキ」-ごきげんとりには要注意-

 両親のケンカがひどくならないよう、ごきげんとりばかりしていた実利果。
 妹にはやめろと言われるが、やめられない。
 防犯ブザーが転がっていった先は「純喫茶クライ」。
 口いっぱいにひろがるミルクセーキのやさしい甘さ。
 両親のけんかを、自分が悲しんでいたことに気づく……

「やさしさのプリンアラモード」-がまんした悲しみ-

 幼い頃、お気に入りのワンピースをジュースで汚し、自宅のケーキ屋の片隅で泣き続けた優香。
 自分が泣いたおかげでおじいちゃんが亡くなったと思い、悲しみを封印し、明るすぎる振る舞いばかりしていた。
 「純喫茶クライ」にケーキを届けに来て、プリンアラモードを食べる。
 純喫茶は子ども食堂になり、子どもたちに服を汚され、怒りが爆発。
 自分が封印していた寂しさ・悲しさを見つけ……

「ホットケーキはんぶんこ」-ひみつの初恋-

 幼なじみの祐介の引っ越し先に行った篤史は、祐介が彼女を連れてきたことにとまどう。
 つい、その彼女に「ちょっと空気読んでよね。ぼくたち一年ぶりの再開なんだから」なんて言ってしまう。
 駅から帰る途中でみつけた「純喫茶クライ」には、大好きなゲームキャラ「みなみ」がいた。
 みなみとホットケーキをはんぶんこし、初デートして、はじめて「恋」を知る……

「勇気のクリームソーダ」-なりたい自分になる方法-

 人形作りだけが好きで何をやるにもとろい桜子はいつも「ふつうのひとにならなくちゃ」と思っていた。
 友だちをなくさないため嫌いなホラー映画も見に行くが、気持ちは沈むばかり。
 人形の妖精に誘われて着いた先が「純喫茶クライ」。
 「おいしい……」クリームソーダは疲れた体に甘いアイスがしみわたった。
 自分を無くして自分が砂になっていくとき、大人になった人形作家の自分が出てきて……

「しあわせのナポリタン」-どうせ、どうせは呪いの言葉-

 ばあちゃんの家で暮らす、母子家庭の葵には、熊のぬいぐるみムームーだけが癒し。
 ところが、母さんが家の中を片付けた時、ムームーまで捨ててしまった。
 どうせおれなんてと、バスターミナルのベンチに座っていたら、怪しい男の人に追いかけられるはめに。
 たどり着いたところは「純喫茶クライ」。
 そこには、しゃべるムームーがいて、ナポリタンを一緒に食べる。
 崩れていくムームーをなんとか直そうとして……

胸の奥に押し込めていた感情を、美味しいメニューと一緒に、
どう扱ったらいいのか、心のドアをノックして、伝えてくれます。

物語の底に流れているのは、吉田桃子さまの「やさしさ」と「文学性」。
単に「辛い感情の処方箋」じゃないんです。
私には書けない「文学」の魂が、心を救ってくれる文学性が、流れているんです。

すごいなあ、吉田桃子さま。
ますますのご活躍を!

先日購入したiPhone16 proを近くのauショップで夫氏用に契約・回線変更してもらった。
ネットでは無理だったものをテキパキとやっていただき、すぐ使えるようになった。
しかし、みちのく童話会のお仲間に会えて、ほんとうに良かったなあと。
なんだか、春が近くなったような気がしているのが不思議。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント
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