来月大阪で「発達障がいと児童文学」の講演をするに当たって読んだ本。
何冊か海外の発達障がいを扱った本を読んだが、昨年11月に発売されたこの本が面白かったのでご紹介。
10歳のフランクが、5歳の弟、自閉スペクトラム症で言葉のないマックスのことを語る本。
ーーそんなふうにママとマックスがぴったり糊づけされているから、ぼくの脳はまっ赤になる。
ーーぼくは映画を見に行きたい。ボーリングに行きたい。プールに行きたい。
どこを向いても台風みたいな男の子のいる、わめき声ばかりのジャングルにはいたくない。
何度も、何度も、何度もたのみ、うたうようにお願いして、さけんで、
キイキイ声をあげて、わめいても、ママは今日はダメ、今日はダメ、今日はダメっていうだけだ。
しまいにはママはブチッと切れて、小さな声じゃなく、すごい早口でどなった。
「フランク、あんたって子は、マックスといっしょだと、そういうことはダメだって考えたこともないわけ?」
ーーだからぼくはわめくのをやめてキッチンに行き、赤いボールペンをみつけて、
壁いっぱいに象形文字とか、絵とかを、穴居人みたいに書きまくり……
ママはマックスのせいでくたびれてくたくたになり、フランクはマックスが憎くてたまらない。
ところが、体調を崩していたママが、脳腫瘍で亡くなってしまい、家の中は大混乱。
悲しみにしずみ何もできなかったが、すこしずつ、日常を取りもどして行く。
マックスは「かいじゅうたちのいるところ」の主人公に扮して劇の舞台に上がり、すばらしい劇を演じ拍手を浴びた。
作者は、大学院では自閉スペクトラム症の児童の行動に文章がおよぼす影響について研究、
特別支援学校や社会福祉施設で働き、2015年に発達障害を持つ人たちの芸術活動を支援する慈善団体を共同設立した人物。
なので、自閉スペクトラム症のマックスの様子や、振り回される家族の様子が、生き生きと描かれている。
兄弟の障がいを受けいれることは、ほんとうに大変なんだなと感じた。
でも、それを乗り越えたところには、あたたかい世界が待っていることも。
カバーの袖には「いちばんそばにある宇宙-家族-を描く、心打つ物語」とある。
みなさまにも読んでいただきたい本でした。
昨日は創作を小一時間書いて保存しようとして、誤ってWordを終了。
復活を試みたがダメで、やっぱりもう一度書き直したのだった。
また同じことがないように「自動保存」のレベルを上げた。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)