川天使空間

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自分の気持ちを言葉にするということ

2009年03月18日 05時12分48秒 | 創作・本の紹介
子どもがお腹が痛くて学校に行けないと訴えて来院した母と子。
はじめて受診した日はじっくり話を聞いただけ。
便秘もあったので便通をよくするお薬だけを出した。

そして、外来で何度か診ていくうちに「共依存」が問題だよなぁと思えてくる。

共依存
--自分自身の問題に向き合わず、身近な人の問題ばかりに気を向けてその後始末に奔走する状態

アルコール依存症患者の治療の中で出てきた概念で、アルコール依存症を治すには、依存させている環境を作りだす家族の「共依存」を解決することが重要だとわかってきた。

不登校の子のお母さんに言った。
「どうして学校に行けないの、とか、『子ども』の困った状態を話すのじゃなくて、○○君が学校に行けないとお母さんは悲しい、どうしたらいいんだろうってすごく悲しい、とか、『お母さん』の気持ちを言葉にして○○君に言ってくださいね。○○君のことじゃなく、○○君の行動に対するお母さんの気持ちを言葉にするんです。まず、それからやってみましょうか」
方法を示されて、お母さんの顔が少しだけ明るくなった。
「先生、なんか人生相談みたいですね」
そう言われて私は苦笑い。
自分の気持ちを言葉にして相手に伝えるということは、「共依存」から回復するための第一歩。なにしろ、私自身が実践中なのだから。

共依存やアダルトチルドレン。
いろんなところに書かれているけれど、自己診断がまとめてここに載っていた。
http://archive.mag2.com/0000230420/20081003072232000.html

共依存の
「自分のまわりに害があるのに、波風たてぬよう、問題を明らかにしない 」
なんて、弟のギャンブル依存症(たぶんギャンブルでもアルコールでもどう転がってもおかしくなかった)に対する両親の対応そのまま。
弟の依存症を助長したのは、私たち家族なのだ。


去年から、「あれ?」と思う行動をとる弟に気づきながら、自分は見て見ぬふりをしていたと思う。「大きな病気があるんだから。これも仕方ないよね」と。「時間があるのにどうして前向きに行動できないの?」と疑問符のつく叱咤激励しかできなかった。「真剣に仕事を探そうとしてくれなくて悲しい」と、私の気持ちを言葉にして伝えるべきだったのに。

弟の一度目の失踪は、旦那様に強く意見されて、自殺も心配なような顔色だったから捜索願を出した。帰ってきたときはほんとうにほっとした。でも、その後もさらに叱咤激励にまったく応えてくれない弟への怒りがあったのに、それを言葉にして伝えることはなかった。「弟を追い込んではならない」という大義名分のもとに、自分の気持ちを押し殺していた。

そして、二度目の失踪。
弟がたくさんの嘘をついていたことが判明。
旦那様の前で、私は弟のことを怒りまくった。まさに罵詈雑言。
私、これまでこんなに怒ったことないぞ、と思えるくらい怒った。
「あの時病気で死んじゃえば良かったんだ」
「どこかで野垂れ死んじゃえばいいんだ」とまで。
頭が熱くなるまで自分の気持ちを言葉にしたら(弟を前にしてではないけれど)、嘘みたいにさっぱりした。
私はめったに「怒る」ことがない。
このときはじめて、「怒る」っていうことは精神の安定のために必要な感情表現なんだなとわかった。
それをしなかった、いえ、できなかった自分は、不健全だったんだと思った。

たぶん、あの時からだ。
私がクールになれたのは。
患者さんにはやっていることを、自分の家族にはやれていなかった。
だから、弟がまたふらりと帰ってきたとき、信じられないくらいクールに適切な処置ができたんだと思う。

まだ私自身も「共依存」を学び中。

昨夜、小児保健会の編集委員会で、夕食にカレーとサラダを作って出かけた。
父に電磁調理器の使い方を教えて、サラダの入ったお皿をふたつ、冷蔵庫に入れるところを見せた。
ふと(お父さん、サラダ忘れるかもしれないから(母は当然忘れる)メモしておこうか)と思った。
でも、その時間がなくて出かけてしまった。

帰宅したら、「カレー食べたよ」とニコニコ顔の両親。
でも、サラダはそのまま冷蔵庫に残っていた。
カレーよりずっと時間をかけて作ったサラダ。
せっかく作ったのにと、怒りがむくむくわいてきた。悲しくもなってきた。

今までの私は、ここで「どうして食べなかったの? 朝、あんなに言っていったのに」とその場で言った。
むっとしながら。でも、表面上はにこやかに。不健全な怒りの表現だった。
もう、両親は寝ていた。
だから、朝、父に冷蔵庫のサラダを見せて言った。
「食べてもらえなかったんだね。私、悲しかった」

「相手をがっかりさせるんじゃないか」と思ってこれまで言わなかったことも言ってみる。
本音を言えば、きっと伝わる。
それが今の私の第一歩。

また少しだけ書いた。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)
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9 コメント

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泣けます・・ (どじょう)
2009-03-18 09:34:22
敦子さんの吐露は、ずしりと響き、泣けます・・。
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はじめまして (kiyo)
2009-03-18 12:20:16
引越しを知らず、いままでのブログに書き込みがなくなり、一体どうしてしまったのかと心配していました。
新しいブログは、また以前と違い、敦子さんの決意のようなものが、強くはっきりと見えます。

これではいままでのようにこっそり覗いているのでは申し訳ないな、という気持ちになり、コメントをさせていただくことにしました。

これからも拝見させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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教えられます。 (正宗)
2009-03-18 16:33:11
こちらに伺うたび、敦子さんの言葉の数々に気づかされ教えられ、考えさせられたり。
今日は特に心に響きました。
(具体的でわかりやすかったこともあり(笑))
私の大事な友達に、敦子さんの言葉、明日話してみようと思います。

返信する
脱アダルトチルドレン! (NOCO)
2009-03-18 18:41:51
わたしは親の呪縛を解けたけれど、弟には加えて姉の呪縛もあったのでしょう。
家族には、「冷たい姉だ」と言われながらも、厳しくして良かったと思っています。
ただ、時が遅すぎて、ふたりとも身体がボロボロです。
あらためて、わたしは書くことでバランスがとれていたのだな、と思います。
でもまだ、核心は書けない。まだ、辛過ぎて。
作家としては、情けない・・・・。
返信する
Unknown (敦子)
2009-03-18 19:14:12
どじょうさま>

ありがとう!
私がブログに弟の失踪を書いた。
やっとふっきれて書けたのだと思います。
書いて良かったです。
私が本音を言葉にしたら、父もつきあってくれました。
これからです♪

kiyoさま>

はじめまして!
すごいです、きちんと書かれていて。
私なんて、長編を書き出したのに、弟の失踪で90枚ちょっとのところで頓挫。あそこから書き出せず、短編とか詩に逃げつつしてました。
でも、ちょっとだけ道が見えてきた感じです。
3/31の締切に長編は出せないと思うけれど、今はそれ以上の深いものをいただいています。
いつかきっと形にしたいです。
kiyoさまもきっと!

正宗しゃん>

某裏庭(笑)にも本音ぶちまけてましたが、堂々とこんなところで本音ぶちまけてなにやってるんだろ私(笑)。
新潟の実家は、ケンカのない笑いの絶えない穏やかな家でした。辛いことがあってもそれを我慢することが美徳とずっと教えられてきました。私、すごく「いい子」だったと思います。そんな姉といつも較べられて、弟は姉のようにはできないという傷ついた気持ちを抱えて、どこかに逃げるしかなかったんですよね。
でも、後藤家は激しくやりあってるので、息子たちは大丈夫かも~。

NOCOさま>

そうそう、うちの弟も一緒。
両親と姉の呪縛にしばられてたんです。
私は30年以上も離れて暮らしていたから、ちょっとは冷静になれたのかもしれないです。昔の繭に戻ろうとする私を、旦那様はさらに冷静に見てくれてましたから。
私が書き出したのは、わけのわからない自分の中身を暴き出したかった、そんなところもあるのかもしれないです。
今いろいろ勉強して知りました。
日記や創作を書くということは、共依存からの回復には重要なことなんだって。
私は、もうしばらく殻にこもったら、書けるかな。
NOCOさまもいつかきっと!
そうですよね、ACから抜けなくちゃ。



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お引越しお疲れ様?おめでとうかな (がまりん)
2009-03-18 20:56:42
敦子せんせの想い、胸に響きました。
響きすぎて、今pcの前で、大きく息をしています。

私も、喝を入れてもらえたような気がしました。
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Unknown (敦子)
2009-03-18 21:32:48
がませんせ>

ありがとうございます。
あは、喝入れすぎて、たったいま旦那様に「書きすぎだ」と叱られました。
旦那様に時々軌道修正してもらいながら書けること書いていきます。
でもね、やっと二歩くらい前に進めました。
つんつん立っていた髪の毛がやっと落ちついた感じです。
明日は平常心になれるかな♪
返信する
初めまして (にしき)
2009-03-20 14:46:27
ランダムで訪問させて頂きました。
記事内にありましたサイトで、自分の事をテストしてみました。
唯一イエスのオンパレードになったのは、機能不全家族のテストでした。
オヨヨ~と自分でもびっくりしたくらい。
ほぼ全部にイエース。
でも後のテストはイエスがあっても1個か2個。該当せずの判断でした。
既に両親は他界し、後に残された私達兄妹4人ですが、それぞれに様々な出来事を体験し、共通して感じている事。
それは先ほども書いた機能不全家族であったと言う認識なんです。
しかし表立って問題が表面化している者は誰もいません。
有り難い話です。
4人とも図太い神経の持ち主だったんでしょう。
また寄せて頂きます。
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Unknown (敦子)
2009-03-20 22:04:19
にしきさま>

ご訪問ありがとうございます。
にしきさま、すごいです。
たいへんなお家なのに、ご自身はしっかりしていらっしゃる。
それって、大変なことだと思うんです。
それなのに、ご兄弟4人がみな、穏やかに暮らしておられるなんて。
わが家は爪の垢でも欲しいです。
でもまず、自分を見つめることから始まるんですよね。
わが家も新しい一歩を歩み始めました。
にしきさまのお家も、ずっとずっと穏やかな日々でありますように!
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