かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

足取り

2017-09-12 20:09:03 | 日記

先週の金曜日、アイツは、いまや外国人に席巻されつつある地方都市の観光通から逃れて商業施設の一角にあるシネコンに逃げるように入り込み、有村架純が出ている「関が原」をシニア料金1100円也で、およそ30人程度の観客とともに鑑賞したが、今一満足顔ではホテルに帰らなかった。前触れの評価とは異なり、そこにドラマも、架純さんの存在意義も見出せなかったからだ。お金おかけた割には、感動しない作品だと思って眠りにはいった。少し不機嫌で、酒の量が増した。40年前、司馬遼太郎を文庫で読んだときの感銘にはほど遠かった。

次の土曜日、アイツは、一足飛びに東京に、といってもLCCで成田に行き、鉄道で1時間以上かけてのことであるが・・・内地に行くとき決まって、立ち食い蕎麦屋の搔き揚げそばとビールをいただくことにしている。まだ開演に時間があったので、明治神宮の森を、これも40年ぶりに散策。巨木の森といまだ鳴き続けているミンミン、ジージー、オーシクシクにいたく感銘を受ける。白露を過ぎても40年前は、まだセミは鳴いていたのだろうか。との疑問。

代々木のNHKホールでNHK秋の音楽祭、パーボ・ヤルビが振るN響で「ドン・ジョバンニ」。このホール、いつものことだが、広すぎて、はじめは音量に満足できなかったが、次第に耳が慣れ、B席でも十分に感銘、大いに拍手、熱覚めやらぬまま、原宿駅にもどるまでの闇のそこかしこから虫の声。こおろぎではない、何だったのだろう。白露は過ぎて、闇にもどると秋。オペラのおかげで、ワインを空けた宵。

秋晴れの日曜日、これも、40年ぶりか、青梅線を乗り継いで奥多摩駅。1時間たちっぱなしの西東京バスにのって奥多摩源流の山梨県小菅村へ。この土地に降りるのははじめて。10時スタートで制限の午後2時30分までの25kのトレイルランをほとんど関東のランナーらと楽しみ、久々、森に沈潜し、生き返る。残念ながらビリにはならず、後ろに20人以上残し、12分前にゴール。その夜のホテルでは、ほのかな充溢で、日本酒が進む。

帰りの朝。まずい時間にあたった。東京都下の駅から御茶ノ水まで、地獄のようなラッシュアワー。東京のサラリーマンは、何ゆえかくもマゾ的な朝晩を送っているのだろう。考えても解は出ない。40年前、そうそうにこの町を脱出して正解だった。成田LCC経由で、長い長いトンネルを潜り抜け、ほのぼの石垣島に降り立つ。

そして、翌日の朝は、久々カノープスが拝める幸運な晴天だったが、遊びほうけたキリギリスを待っていたのは、台風18号「タリム」。最大瞬間風速70m。彼女は、この男にいかなる辛苦をもたらすのか。いま少し、足取りをたどりたい。

朝5時の南の水平線上にカノープス、見たものは幸運を得られるという。左上には、最も明るい1等星シリウス。秋だ。


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