昨日の土曜日は、念願の桴海於茂登岳477.4m(フカイオモトダケ)に登る。合わせてお隣のウマヌファ岳450.4mにも登る。
沖縄の最高峰は、この石垣島の於茂登岳525.8m(オモトダケ)。2番目から順位を上げると第2位沖縄本島の与那覇岳503m(ヨナハダケ)、第3位が本日の桴海於茂登岳、第4位が西表島の古見岳465m(コミダケ)、第5位が沖縄本島の八重岳454m(ヤエダケ)、第6位が八重岳お隣の嘉津宇岳452m(カツウダケ)であり、ベスト7位が本日のウマヌファ岳となる。
ベスト7まで八重山諸島の山が4つも入っている。ただし、以前石垣に勤務されていた高橋敬一さんが1997年に著した「熱汗山脈」(ねっかんさんみゃく)を読んでいたので、桴海於茂登岳は道のない山で登頂困難、ウマヌファ岳にいたっては高橋さんも登らなかったようで記録がなく、さらに登頂困難と思い込み、登るのをためらっていたが、山と渓谷社の「沖縄県の山」2010年初版では、二つの山ともルートがガイドされており、体力度、危険度とも4レベル中2、と記されていたので、職場のHさんと二人でハイキング気分で出かける。3~4時間もあれば戻ってこられるだろうという読み。
細々として頼りない踏み跡だったが、ウマヌファまでは、随所に赤テープがぶら下がったり、幹に張り回らせられており、2時間ぐらいでウマヌファの花崗岩の上に立つ。360度の展望、フカイオモトの山影に、さすが「八重山富士」と快哉。
ちょっと戻って、今度はフカイオモトへの踏み跡を、これも赤テープさんの御世話になりながら、それでも最後はリュウキュウチクの笹薮を掻き分けながら三角点へ。新三角点がお隣のピークにあるとのガイドだが、剛直なリュウキュウチクにてこずってたった15メートル先に15分。旧三角点の北西側に花崗岩が露れていたところにすわって、米原海岸や川平湾の青さを愛でる。下山開始は午後2時30分過ぎ、一部藪コギがあったためか、ここまで4時間30分経過。
ガイドブックでは、西回りコースで下り1時間5分とあり、そちらを選択。途中休んでも4時までは車に戻れるだろうと、意に反した好天に喜びながらの下山となった。
だが、しかし、意に反して、くだりの踏み跡はより心細く、赤テープにしたがって日本兵の塹壕跡を右に折れてから5分もしないうちに赤テープ発見できず、何度も最終テープまで引き返すがその先は不明。ママよ、方角は明らかなのだからと藪の中をさまよう、そのうちまたテープに出くわし、ホッとしながら、踏み跡らしきところに足を進めていたが、いつの間にか、またテープを見失い、そのうちまた出くわすだろうと高を括っていたが、ついにテープの発見に至らず、最終テープの場所に戻ることも困難となり、ここから二人の悪戦苦闘の時間が始まる。
下山方向は、コンパスとときおり現してくれるフカイのピークから分かっているのだが、道のない南西諸島のヤブ。はじめはリュウキュウチクとツルアダン。このツルアダンが曲者で、進んでは跳ね返され、ツルとツルの間に足を取られ、罠にはまったいのしし状態。一向にはかどらず。
何とか急傾斜を得て、重力を味方に、木の枝にぶら下がりながらの下降となったが、途中急な崖の前に立ち大きく迂回するなどの消耗を強いられ、何とか水の流れる沢に降り立ったのが、午後4時過ぎ。日没まであと2時間。Hさんはライトを持ってきたというが、オイラは持ってこず、不徳を内心で責める。まもなく、ハブ君のお目覚めの時間。沢筋は一層光を失いかけつつある。(あせり)
内地の山だと標高は、1000mを優に超えているので、道迷いからの遭難は沢に下ることが原因。藪コギを嫌って、だれしもが沢に下りたくなる。そこで日没や滑落と相成る。
われわれも、藪コギを嫌って沢におりたが、あと標高200m程度の下りだから、とセオリーに反する決断。結果的にこれが幸いし、夕闇迫る午後5時半過ぎに赤テープに出会えて折り口まで誘ってもらったのだが、沢くだりに数箇所の滝の迂回などの消耗を強いられ、衣服やザックは泥だらけ、あちこち打撲や切り傷、散々な眼にあいながらの下山であった。車に戻れたのは日没寸前の午後6時10分。何とガイドブックの3倍も要する下山時間であった、恐るべし、沖縄県第3順位のフカイオモトダケ・・・・
翌日、衣服や靴を洗ったが水に流しても流しても泥んこ状態。靴の中にはヤマビルくんもまだ生きていたし。
さて今回は、道迷いの遭難なのか、まともなルート整備がないのにガイドブックで登山者を誘う出版社側の問題か。何ともいえないところだが、道のないことを覚悟しながら、堂々と南国の山に入った高橋敬一さんの姿勢をリスペクトすべきであろう。
あと1年、石垣島にいる間にこのフカイオモトの西回りコースに下から立ち入って、赤テープをつけて、二度と同じ目に遭う登山者のないようにもしたいが、南国の植物たちは恐るべしで、そんなテープも旺盛な繁茂であっという間に覆い隠すというのか。
その赤テープだけが頼りのトレイル
オキナワウラジロカシだろうか、巨木の森
ウマヌファ岳から八重山富士を望む。ピークが三つあり真ん中が新三角点だとか、いずれも藪の中。
ウマヌファから正面の於茂登岳だけを望む。堂々としたマッス。
フカイからウマを望む(左のピーク)。
フカイから米原ビーチ沖合いのサンゴ礁が手に取るよう。
フカイから川平方面。大きなリーフ。