ユウスゲ;夕菅;忘草(ユリ科)花言葉は、麗しき姿。中国原産の「本菅草」をさす。渡来年不詳。原野に自生する多年草で、高さ80~100cm。葉は広線形。花期は7~8月。径約8cm、叢生した葉間から花茎を伸ばし、鬼百合に似た漏斗状の黄赤色の重弁花を数個、順に開く。『花壇地錦抄』には、「この花を水に入れて聖霊に手向けると、聖霊が憂いを忘れるので忘憂というとあるのは菅草のことであろうか。不詳」とあり、この草を持っていると憂いが晴れるという俗信から「忘草」とも呼ばれる。さらに「菅草と呼ばれる植物はいくつもあって紛らわしい」とある。一日花で昼間だけ開き、夜はしぼむ。八重のものが藪菅草、一重のものが野菅草。「菅草や浅間をかくすちぎれ雲 寺田寅彦」「菅草の花にすつくと波がしら 村上しゅら」「菅草が咲いてきれいな風が吹く 大峯あきら」「菅草や林はづれに牧師館 友岡子郷」「野に咲いて忘れ草とはかなしき名 下村梅子」「忘草川は小さな渦を持ち 深見けんニ」「菅草の揺るるほかなし流人墓 小出秋光」「野菅草もつてのほかの恋をして 大石悦子」日盛りの青野でこの花に出会うとふと暑さを忘れ、癒される心地がするのは確かだろう。(儚さは 日盛り励む 一日花 ケイスケ)