ツリガネソウ(キキョウ科)多年草で山地の林や道に沿って生える。高さ20~80cm。全体に粗毛が生えている。地際に生える葉は長い葉柄があり、卵形で縁に鋸歯がある。茎につく葉は長卵形で無柄。6~7月、茎の先端部の葉のわきから、先の浅く五裂した、長さ約5cmの釣鐘形の花が数個垂れ下がって咲く。花色は淡紅紫色またはは白色。子供が蛍をこの花筒に入れて遊んだところから「蛍袋」の名がある。古名の、付き草は、この花をとって衣につけるとよく染まるので、『万葉集』にも「つき草に衣をそむる君がためしみ色ごろも摺らむと思ひて」と詠まれている。友禅染の下絵に使われる青花紙の原料として、青花は今でも栽培され、青花摘みもある。露草、ほたる草、青花=釣鐘草。「月草の色見えそめて雨寒し 加藤暁台」「月草や昼より後の露の色 三浦樗良:露草や飯噴くまでの門歩き 杉田久女:露草も露のちからの花ひらく飯田龍太:そこしれぬ長雨となり蛍草 川上梨屋:露草や高原の汽車唯二輌 瀧 春一:露草の露ひびきあふ岬の家 柴田白葉女:露草の千の瞳をあらふ霧 岡本まち子」「夕風に蛍袋のひとかたまり 細見綾子」(でたがらず 蛍袋の なかの蜘蛛 ケイスケ)