ヘレって、なんかいいんだよなぁ。
なんというか、日本刀を知る日本人
の琴線に触れる、というか。
Helle Knives ヘレ・ナイフ 字幕付き
ヘレナイフはぜひ代理店のUPIさんで。
いい感じのお店。
店舗のイベント活動も魅力的です。
ヘレって、なんかいいんだよなぁ。
なんというか、日本刀を知る日本人
の琴線に触れる、というか。
Helle Knives ヘレ・ナイフ 字幕付き
ヘレナイフはぜひ代理店のUPIさんで。
いい感じのお店。
店舗のイベント活動も魅力的です。
G.SAKAIのトラウト&バードである。
廃番。
G.サカイがカスタムナイフと同じ
ように手間暇をかけていた頃のラ
インナップで、ファクトリーモデル
とは思えないような入念な手仕事
で仕上げられたナイフであり、なん
らカスタムナイフと変わらない。
ブレードには誇らしげに
HAND MADE BY SAKAI MAKER
とエッチング文字で表示されている。
洗練された秀逸なシルエットデザ
インは、ラブレスの弟子にして
日本のカスタムナイフの第一人者
の古川四郎氏のデザインだろうと
思われる。なぜならば、その後に
古川氏が手掛けたサカイのモデル
に、まったく同じブレードシル
エットのナイフがあるからだ。
それは「カンザスシティ・メモリ
アル・モデル」と呼ばれる物だ。
もはや、完璧にカスタムナイフの
領域の作品である。
G.SAKAI カンザスシティ・メモリ
アル・モデル
サカイ、トラウト&バードモデル
古川四郎カンザスシティ・メモリアル・
モデルはT&Bをシンプルに進化させた
ものだろう。痺れるほどに贅肉を削ぎ
落されたシルエットを持っている。
ここにこそ、実用ナイフであるラブレ
スの系譜が弟子に脈々と生きている。
一切の無駄は無い。実用性と美が高度
に融合している世界を一本のナイフの
中に表現し切っている。
古川モデルのカンザスシティ・メモリアル。
それより先行して発表されていた
トラウト&バード。これも古川氏
が関与したのではなかろうか。
明らかにラブレスの息吹を宿した
デザインである。ちなみにネーム
をこのラグビーボール形に囲むの
はラブレスのオリジナルデザイン
でもある。G.サカイだけでなく、
後年の東京大久保のA&Fカントリー
がラブレスデザインの店舗カスタム
ナイフを販売したときの作品も、
このラグビーボール形のネームが
エッチングされていた。
トラウト&バードはカンザスシティ・
メモリアルとシースは全く同じである。
(カンザスシティ・メモリアル)
(トラウト&バード)
このシースが飛び抜けて優れている
のだ。
広めにベルトループを設定してある
のだが、それには意味がある。
よく考えられている。
これが一般的なナイフの吊り下げ方。
バーチカルに真下に下げる。
だが、このシースは、ポジショニング
を変えられるので、サイドバックに
ホライズン気味にしてセットさせる
ことも可能なのだ。そのポジショニ
ングにすると、前から見るとこうなる。
順次回って行くとこういうポジション
にセットしているのが判る。
ホライズンというよりもバーズテール
といった角度。
右腰と左腰の違いはあるが、日本刀でも
このように左後ろに回して柄頭を横方向
に向ける帯刀法もある。主としてこれは
将ではなく足軽などの卒の帯刀法の戦時
運用方式だが、石垣を登ったりするとき
の様式の教えとして将の乗馬の際の天神
差と同じく武芸流派などに伝承されてい
る。
前方方向・横方向においてまったく
ナイフが邪魔にならず、どんな作業
でも、どんな体の動きをすることも
可能となる。
このサイドバックで刃を斜めに寝か
せるポジショニングは、ナイフが
一切邪魔にならずとても便利なのだ。
さらに真横にしてベルトに這わせら
れるとしたらもっと邪魔にならなく
なる。
こうしたバックポジショニングに
拳銃をセットすることは米国の私
服刑事などが多用している。
日本ではドラマの『太陽にほえろ!』
でドク(神田正輝)が最初だろうか。
ドク役の神田正輝とS&W M59。
このツートンカラーの銃とバック
ホルスターが非常にカッコ良かった。
当然、このようにサカイT&Bのナ
イフシースのような広いループだ
と、左腰前にセットして刃を寝か
せて、ドク・ホリディのクロス
ドロウ・ホルスターのようにする
こともできる。シースは硬いので、
ベルトに通してもゆるゆるに揺れ
ることもなくビシッと絹帯を締め
たように安定している。
このシースはかなりスグレモノだ。
現在のG.サカイの一般ナイフでは
見る事ができない非常に手の込ん
だカスタム・レベルの物である。
アメリカも日本も戦争もなく、戦
争にも参加せず、両国が豊かだっ
た1980年代がいかに素晴らしい物
品を作り出していたことか。
日本人が「良い物」を作った1980
年代、ナイフも今の時代では考え
られないような入念作が普通の
ファクトリーラインナップで製作
されて販売されていたのである。
このG.SAKAIのトラウト&バードは
まさにその一つの作品といえる。
ラブレスの直弟子の古川四郎氏が
全面的に製作に噛んだカンザス
シティ・メモリアル・モデルと共
に、G.SAKAIトラウト&バードは、
完全にカスタムナイフレベルの
メーカー量産一般売りの製品版
ナイフだといえる。
他には折りたたみフォールディン
グのG.SAKAI ドロップポイントが
あるが、これもトラウト&バード
と同様の "HAND MADE" という文
言をブレードにエッチングしてあり、
G.サカイの自信作だった。
すべてこうしたモデルが廃番に
なって久しい。
1986年12月号(10月発売)のナイフ
マガジン創刊号の表紙を飾った
G.SAKAI のハンドメイド・ドロップ
ポイント。
G.サカイは1958年創業の岐阜県関
市の企業で、全世界のナイフのうち
一番の品質を誇っていた米国製の
ガーバーの製品を製造する権利を
得た。
坂井刃物はそこからガーバー・サカイ
として大躍進する。
かつてG.サカイは自社製品に永久保証
を付けていた。
同じく関市のMOKIナイフとG.サカイ
の一般プロダクト製品を比較した場
合、1990年代以降は、サカイよりも
モキのほうが仕上がりが丁寧で、
フォールディングなどはブレードの
開閉もスムーズな物がモキには多い。
現代ガーバーは金額的にもモキより
もかなり廉価だが、折り畳みナイフ
の動きはMOKIよりは作動性が良く
ない。
MOKIではアル・マーが全モデルの
生産を依頼したが、今では中国に
OEMが移っている。
G.サカイの良いところは、廉価な
価格なのに超丁寧仕上げの製品を
世に多く出していたことだったが、
作動性に関しては、90年代以降
今一つの感がある。
フィクスドナイフについても、
「値段なり」の様子がどんどん
増して来ており、経営上もかなり
苦しい展開になっているのでは
なかろうか。
G.SAKAIにおかれては、なんとか、
かつての良質の製品と社風を取り
戻してほしいと切に願う。
1986年のナイフマガジン創刊号
の広告の文言にあるように、数
多くある製品の中から本物を選
び出す時のリファレンス(指標)
となっていたのが、私にとって
はまさにG.サカイのナイフだった
のだ。
今後も私は期待している。