渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

Helle Knives ヘレ・ナイフ

2020年05月25日 | open



ヘレって、なんかいいんだよなぁ。
なんというか、日本刀を知る日本人
の琴線に触れる、というか。

Helle Knives ヘレ・ナイフ 字幕付き


ヘレナイフはぜひ代理店のUPIさんで。
いい感じのお店。
店舗のイベント活動も魅力的です。

OGPイメージ

"Loving Nature"をテーマにしたアウトドア商品の輸入販売会社UPI

株式会社アンプラージュインターナショナルのウェブサイトです。Morakniv(モーラナイフ)やHelle(ヘレナイフ)といった北欧のナイフブ...

UPI アンプラージュインターナショナル

 

 





ラブレスの系譜 ~G.サカイのナイフ トラウト&バード(廃番)~ (2017/07/22記事再掲)

2020年05月25日 | open


G.SAKAIのトラウト&バードである。
廃番。

G.サカイがカスタムナイフと同じ
ように手間暇をかけていた頃の

インナップで、ファクトリーモデル
とは思えないような入念な手
仕事
で仕上げられたナイフであり、なん
らカスタムナイフと変わらない。


ブレードには誇らしげに
HAND MADE BY SAKAI MAKER
エッチング文字で表示されている。 


洗練された秀逸なシルエットデザ
インは、ラブレスの弟子にして
日本のカスタムナイフの第一人者
の古川四郎氏のデザインだ
ろうと
思われる。なぜならば、その後に
古川氏が手掛けたサカイ
のモデル
に、まったく同じブレードシル
エットのナイフがあるからだ。

それは「カンザスシティ・メモリ
アル・モデル」と呼ばれる物だ。

もはや、完璧にカスタムナイフの
領域の作品である。


G.SAKAI カンザスシティ・メモリ
アル・モデル



サカイ、トラウト&バードモデル


古川四郎カンザスシティ・メモリアル・
モデルはT&Bをシンプルに
進化させた
ものだろう。痺れるほどに贅肉を削ぎ
落されたシルエット
を持っている。
ここにこそ、実用ナイフであるラブレ
スの系譜が弟子
に脈々と生きている。
一切の無駄は無い。実用性と美が高度
に融合
している世界を一本のナイフの
中に表現し切っている。


古川モデルのカンザスシティ・メモリアル。


それより先行して発表されていた
トラウト&バード。これも古川氏
が関与したのではなかろうか。
明らかにラブレスの息吹を宿した

デザインである。ちなみにネーム
をこのラグビーボール形に囲む

はラブレスのオリジナルデザイン
でもある。G.サカイだけでなく、
後年の東京大久保のA&Fカントリー
がラブレスデザインの店舗
カスタム
ナイフを販売したときの作品も、
このラグビーボール形の
ネームが
エッチングされていた。



トラウト&バードはカンザスシティ・
メモリアルとシースは全く同じである。

(カンザスシティ・メモリアル)


(トラウト&バード)




このシースが飛び抜けて優れている
のだ。

広めにベルトループを設定してある
のだが、それには意味がある。
よく考えられている。

これが一般的なナイフの吊り下げ方。
バーチカルに真下に下げる。



だが、このシースは、ポジショニング
を変えられるので、
サイドバックに
ホライズン気味にしてセットさせる
ことも
可能なのだ。そのポジショニ
ングにすると、前から見ると
こうなる。


順次回って行くとこういうポジション
にセットしているのが判る。







ホライズンというよりもバーズテール
といった角度。
右腰と左腰の違いはあるが、日本刀でも
このように左後ろに回して柄頭を横方向
に向ける帯刀法もある。主としてこれは
将ではなく足軽などの卒の帯刀法の戦時
運用方式だが、石垣を登ったりするとき
の様式の教えとして将の乗馬の際の天神
差と
同じく武芸流派などに伝承されてい
る。


前方方向・横方向においてまったく
ナイフが邪魔にならず、どんな
作業
でも、どんな体の動きをすることも
可能となる。



このサイドバックで刃を斜めに寝か
せるポジショニングは、
ナイフが
一切邪魔にならずとても便利なのだ。
さらに真横にしてベルトに這わせら
れるとしたらもっと邪魔にならなく
なる。
こうしたバックポジショニングに
拳銃をセットすることは米国の私
服刑事などが多用している。
日本ではドラマの『太陽にほえろ!』
でドク(神田正輝)が最初だろうか。

ドク役の神田正輝とS&W M
59。
このツートンカラーの銃とバック
ホルスターが非常にカッコ良かった。




当然、このようにサカイT&Bのナ
イフシースのような広いループだ
と、左腰前にセットして刃を寝か
せて、ドク・ホリディのクロス
ドロウ・ホルスターのようにする
ことも
できる。シースは硬いので、
ベルトに通してもゆるゆるに揺れ
こともなくビシッと絹帯を締め
たように安定している。

このシースはかなりスグレモノだ。
現在のG.サカイの一般ナイフ
では
見る事ができない非常に手の込ん
だカスタム・レベルの物
である。
アメリカも日本も戦争もなく、戦
争にも参加せず、両国が豊かだっ
1980年代がいかに素晴らしい物
品を作り出していたことか。


日本人が「良い物」を作った1980
年代
、ナイフも今の時代では考え
られないような入念作が普通の
ファクトリーラインナップで製作
されて販売されていたのである。

このG.SAKAIのトラウト&バードは
まさにその一つの作品といえる。

ラブレスの直弟子の古川四郎氏が
全面的に製作に噛んだカンザス
シティ・メモリアル・モデルと共
に、G.SAKAIトラウト&バードは、

完全にカスタムナイフレベルの
メーカー量産一般売りの製品版
ナイフ
だといえる。
他には折りたたみフォールディン
グのG.SAKAI ドロップポイント

あるが、これもトラウト&バード
と同様の "HAND MADE" という

言をブレードにエッチングしてあり、
G.サカイの自信作だった。

すべてこうしたモデルが廃番に
なって久しい。


1986年12月号(10月発売)のナイフ
マガジン創刊号の表紙を
飾った
G.SAKAI のハンドメイド・ドロップ
ポイント。











G.サカイは1958年創業の岐阜県関
市の企業で、全世界のナイフの
うち
一番の品質を誇っていた米国製の
ガーバーの製品を製造する
権利を
得た。
坂井刃物はそこからガーバー・サカイ
として大躍進する。

かつてG.サカイは自社製品に永久保証
を付けていた。


同じく関市のMOKIナイフとG.サカイ
の一般プロダクト製品を比較した

合、1990年代以降は、サカイよりも
モキのほうが仕上がりが丁寧
で、
フォールディングなどはブレードの
開閉もスムーズな物がモキに
は多い。
現代ガーバーは金額的にもモキより
もかなり廉価だが、折り畳み
ナイフ
の動きはMOKIよりは作動性が良く
ない。

MOKIではアル・マーが全モデルの
生産を依頼したが、今では中国

OEMが移っている。

G.サカイの良いところは、廉価な
価格なのに超丁寧仕上げの製品

世に多く出していたことだったが、
作動性に関しては、90年代以降
今一つの感がある。
フィクスドナイフについても、
「値段なり」の様子
がどんどん
増して来ており、経営上もかなり
苦しい展開になっている
のでは
なかろうか。

G.SAKAIにおかれては、なんとか、
かつての良質の製品と社風を
取り
戻してほしいと切に願う。
1986年のナイフマガジン創刊号
の広告の文言にあるように、数
多くある製品の中から本物を選
び出す時のリファレンス(指標)
となっていたのが、私にとって
はまさにG.サカイのナイフだった
のだ。
今後も私は期待している。


2020年05月25日 | open



お城の濠のノウゼンカズラを見ていたら、


鴨くんが私のそばまで寄って来た。




マガモかアイガモか判らないが鴨だ。
グースではない。


誰が何かあげたりしてるのかなあ。
人の姿を見たらガコガコと何か言いながら
寄って来たよ。


しかし、なぜ今の時期に日本に鴨?
アオクビの男の子。
数年前からこの北濠でよく見る鴨はこの子
だろう。
カップルだったのに、けさ相方は見られ
なかった。
午前7時。本日曇り。


バック 505ナイト

2020年05月25日 | open
 


虎ノ門時代から10数年ほど使い倒した
ナイフがある。
それがバックの505ナイトだ。
 
バックには製造年の刻印がある。
これは/のマークがあるので1993年製だ。
93年に西新橋の時計屋さんで購入した。
刀工小林康宏が生まれ育った旧田村町と
いう町だ。


まだ公式サイトに資料が掲載されておら
ず、インターネットもブロードバンド化
以前でバックナイフの刻印年資料が見当
たらなかった頃に私が洋書から調べて作っ
たバックナイフの刻印資料。マークは全て
PCソフト手作業で作った図だ。あるナイ
フショップさんが私の過去記事掲載のこれ
を一時期販売サイトに掲載していた。
 
 
ブレード長は4.8センチ。


驚く事にフレームはインテグラルの削り
出しだ。まだNCマシンは普及していない
ので、フライス盤による職人の手作業だ
ろう。




このレザーケースは97年に上野アメ横の
マルゴーで購入した。
まるでバック505ナイト用のために誂えた
ようにぴったりだった。
アメ横の老舗ナイフ&トイガンショップ
だったマルゴーも今はもう無い。
閉店前には従業員への賃金未払いで労働
争議となっていた。
私は小学生の頃からアメ横にはよく通って
いて、マルゴーにも必ず寄った。


小6の時、MGCのピースメーカーを買った
帰りにマルゴーに寄ったら、ウエスタン
ガンアクションの業界では有名な人が
店員さんでいた。
その人に「なにそれ?」と聞かれて、別店
なので渋々MGCのピーメを見せた。
「MGかあ」と言う。
「ダメですか?」と訊くと、「いや、ダメ
じゃないよ。アクションにはいい」と言
う。
なにかやってみせてとねだると、いろんな
ことを私のピーメでやって見せてくれた。
もうね、目がまん丸になって『シェーン』
のジョーイ状態だった。トリプルファニン
グを見たのも初めてだし、ワンハンドでの
連続超速ファイアを見たのも初めてだっ
た。ただ抜いて撃つだけの扱いではダメな
のかあ、と感じ入った。
それまで、ガンスピンの様々な方法や投げ
たり取ったりはできていたが、やはり、
扱いこそが重要だと思い知った。
その日からまた私はドロウの猛特訓をし
た。
その人は、その13年後の1985年には目黒
コクサイの店長をしていて、買い物に行っ
たらばったり再会した。
私のほうから「もしかしてHさんです
か?」と話しかけた。
マルゴーでの話をすると思い出してくれ
て、えらく懐かしがって、とんでもない
量のオマケを着けてくれた。ありゃ数千円
分の物量だったよ。
「ドロウやってる?」と尋ねられたので、
「いえ、最近はサバゲばっか」というと
「そうかあ」と少し寂しそうだった。
今では彼はまたウエスタンドロウ界に復活
したようで、ほのぼのキャラで親しまれて
いるらしきことが動画サイトで観ること
できる。
かつては国本さんや是永さんに次ぐ早撃ち
だったのだが、今ではおとぼけキャラで
愛されているようだ。マギー司郎さんに
似ている。
一時期、渋谷のYというショップの店長も
していた。
ご健在のようで嬉しく思う。
 
マルゴーが無くなったのはとても寂しい。
マルキンがまだあるのが救いだ。


バック社の公式説明。









バックの500シリーズには
505 ナイト(騎士)
501 スクワイヤー(従者)
503 プリンス(王子)
500 デューク(公爵)
112 レンジャー(特別警備隊員)
という名称のモデルがある。すべてドロッ
プポイントが特徴だ。
 
ちなみに、日本では全国の消防救助隊の
ことはレスキューと呼ぶが、こと横浜
のみは全国で唯一レンジャーと公称
して
いる。
 
このバックのナイトは私の場合はスーツ
着用と共に常にあった。
かつては、職質されてナイフ携帯を警察官
が現認しても、このような銃刀法に抵触し
ない長さのナイフの携帯は咎められなかっ
た。主として使う目的のレターオープナー
としての「正統な理由」を述べれば
検挙は
されなかった。
今はすべて軽犯罪法で検挙する。
また、6センチ以上の刃物の携帯(ブレード
固定式およびシースナイフは6センチ以上、
スリップジョイントは8センチ以上は「正当
な理由」なくば携帯は禁止)は、カッ
ター
ナイフであろうと、今は銃刀法違反

警察は見逃
さない。カッターが筆箱の
中にあってもだ。
80年代などは十徳ナイフ所持で検挙など
は考えられなかったが、キャンプや釣り
帰りに車両の中に置いていて検挙したり
が2008年以降多発した。
ひどかったのは、2011年の東日本大震災
の時で、瓦礫解体梱包ロープを切る為の
刃物を作業で持っていても検挙した地方
から派遣の警官までいて問題になった。
現場の判断能力のない警官は上からの
指令に従っただけだ。
5.5センチダガー所有禁止以降は、殻剥き
に使うほじくり器具を持っていた牡蠣業者
さんを検挙したり、大工さんを取り締まっ
たりもし始めている
現代の状況はなりふり構わず、刃物は全て
持たせないようになってきている。
そういうくだらぬ時代になってしまった。
 
ただし、その流れは、合法的に仕事で銃器
までの武器を持っている連中が作った
ので
はない。
別な勢力がそうしたくだらぬつまらん風潮
を作り、それに国家の手先である執行機関
がここぞとばかり乗ったのである。
保守派ではない旧「革新」勢力が「刃物=
暴力=危険=不必要」というキャンペーン
を張り、それがじわじわと40年かけて日本
国内に蔓延浸透し、それを権力が国民統治
の御朱印として利用した。
浅沼稲次郎氏が刺殺されたのはナイフでは
ない刃物だったのに、当時子どもたちの
文具として必要不可欠だった肥後守がまず
血祭りにあげられ、刃物狩りが1960年代
に開始された。
それでもまだ70年代、80年代、90年代の
中旬までは弾力的な取締りだった。
しかし、オウム検挙の際にカッターナイフ
を銃刀法違反として検挙してからは基準
が大きく変貌した。
そして、2008年秋葉原事件以降は法改正
含めて、今は完全なる刃物狩りの時代と
なった。
子どもに刃物を持たせない、刃物を買わ
せない、刃物を使わせない、というどこ
かで聞いたような3ない運動的世相が創作
された。
すべては1960年代にある。
暴力に反対する者たちが対象を見誤ったが
ゆえに、それこそ権力サイドに大義名分を
与えて、国民が道具を使う自由と責任と
真の危険認知力の育成放棄を為して
しまっ
た。
暴力反対を叫ぶ連中が暴力装置にいいよう
に手玉に取られてたら世話ない。
 
アメリカはめちゃくちゃな国だが、バック
ナイフをボーイスカウト公式ナイフとして
普及させる知的な文明を持っている。
日本はどうか。
今の時代、包丁を研ぐことさえ主婦も亭主
もできなくなったどころか、子どもたちは
鉛筆さえも刃物で削れなくなった。
日本人は駆けっこの速度も異様に遅くなっ
ている。
どんどん人間力が低下し、そして、自分の
頭で物を考えない人間が大量に生産されて
いる。ネット脳などもその流れの一つで
あることだろう。
ネット民たちは人殺しをすると思って
いたが、先週末、不幸で悲惨な事件が
起きた。心無いネット民たちが人を殺し
た。
 
 
青年よ。
道具としてナイフを持て。
人殺しの道具としてではなく、笑顔を運ぶ
幸せな人類の文明の利器として、自分の
ナイフを持て。
包丁を持って玉ねぎを切れ。
涙が出なければ、よく研げている。
ネット書き込みなどでは刃物は研げ
ない。
実際の現実世界に生きて、人と暮らし
てほしい。
そのために、まず刃物で食材を自ら
切り、湯を温め、そして笑顔の食卓
を作ってくれ。
匿名の陰に隠れて姑息なことをやり
続ける汚い人にはなるな。


ICカットのフォールディングナイフ

2020年05月25日 | open



米国バック社の500デュークのコピーで
日本のICカットがかつて手掛けたモデル
がある。
細部形状が本歌とは異なるので、コピー
ではなくインスパイアモデルとでも呼ぶ
ほうが相応しいかも知れない。

こちらバックの500デューク。
小ぶりな汎用性の高いナイフだ。


石川刃物のこのモデルはかなり古い。
私は、本歌のバックのデュークよりも
こちらのほうが気に入っている。
その理由はホローグラインドではなく、
フラットグラインドになっているからだ。
この大きさのナイフのフラットグラインド
の使い易さといったらない。
そもそもホローグラインドは何の為にある
のかよく分からない程に、ホローは使い
にくい。研ぎ易さと軽量化のために発案
されたのだろうが、カスタムナイフと称す
る一連のナイフは軒並みホローの削り技術
比べのようになっているのは陳腐にさえ
思える。実用性はフラットやスカンジや
万能形状ともいえるコンベックスグライ
ンド=ハマグリ刃には遥かに及ばないのが
ホローグラインドであるのだが、このホ
ローはバックが多用し、ラブレスが広め
て「ホロー神話」のような伝説が一人歩き
したのは間違いない。
また、ブレードに切断物が貼りつきにい
ように摩擦係数を減らすため、とも云われ
てきたが、使ってみると、その実用性には
はなはだ疑問がある、というのが正直な
ところだ。紙を切るにはホローは使える。
耐久性も落ちるし、加工の手間に対して
付与能力がホローグラインドは低すぎる
ように思える。
打ち合い、切ることに特化した日本刀は
ハマグリ刃が絶対であるのには、何か動
かし難い理由があるのだろう。
楔効果で被切断物を切り裂いて行くあの
物理力の前では、ホローグラインドの
実理性はまるで霞んでしまうのである。
このことはバトニングや他の汎用利用を
してみればハマグリ刃の効用の圧倒的な
高さを実感できる。
ただ、細工ナイフとしては彫刻刀のよう
なブレード形状が良いだろう。
刃物は実用性能の向上のためにこれまで
形状がいろいろ考案されてきたが、ホロー
グラインドに関しては、皆目意味不明。
もしかして、発案して作ってはみたが、
滑ってしまった加工方法なのではなかろう
か。

バックのデュークと同寸ながらフラット
グラインドのブレードを持つICカットの
オールドナイフ。


使われている真鍮は成分の質が良いのか、
非常に良い味の色に変色してくる。
同じ真鍮でもジッポーや薬莢の材質とは
異なるとみえる。




ブレード長は約7センチ。
手持ちよく、デスクナイフとしても使い
易い。野外では、ちょっとした物切り用の
まさに「ポケットナイフ」としての利便性
を完璧に具備している。



持った時のバランスも非常に良い。
ずっとポッケに入れておきたくなるよう
なそんなナイフだ。








かわいくもあり、それでいて頼れる奴。
そうしたバディのようなナイフで、私は
とても気に入っている。
欧米の紳士がかつてスーツの右ポケット
の中のポケットに常に入れていたナイフ
は、このサイズのナイフだ。
スーツのポケット内のポケットは、あれは
小銭入れではないですから(笑)。
あれは元々は英国紳士が小さなナイフを
入れておくためのもの。
それでご婦人にさっとケーキを切ってさし
あげたりする。戦闘用ではないエチケット
ナイフだ。
その目的と存在と役目は、まるで日本の
日本刀に装着した小柄小刀と全く同一だ。
日本の小柄小刀も武士が身に着けた紳士
ナイフとしての用途の為にあった。
洋の東西を問わず、文化としての刃物の
あり方というのは似てくるのが面白い。
どの国でも人は人、ということか。


バック110のコピー

2020年05月25日 | open
 


米国バック社のフォールディン
グハンター#110は世界で最も
コピーされたナイフと呼ばれ
ている。
なぜか。
それは、ナイフの歴史の中で、
折り畳み式ナイフのブレード
を固定させるロックバックの
金字塔はこのバック110から
まったからだ。
世界中のナイフ製作者がこの
110をお手本にした。
通称ワンテン。
現代ナイフの基本となったモ
デルである。
 
私のこの110コピーは日本の
石川刃物が製作したナイフで、
刀屋うを新店長からの頂き
だ。
ネイルマーク部は本歌の三日
月形ではなく、日本刀の棒樋
のような彫りになっている。
これは本歌より使い易い。


ステンレス、ハンドメイドと
ある。時代を感じさせる。


ハンドルはアイボリーマイカ
ルタだ。
マイカルタはマーティンのギ
ターのパーツにも使われて
た。布や紙に樹脂を含浸させ
て作られる。ナイフのハンド
ル用には各種が用いられてい
て、単体プラより丈夫だ。


本象牙にそっくりだ。


作りの精度は高い。


米国メーカーの殆どが日本に
OEMを依頼したのは、日本
の加工技術がドイツと並ん
世界一だったからだ。
だが、資本主義の定め、人件
費の高騰に伴い、米国メーカ
ーはさらに低コストの国に製
造を鞍替えしていかないとな
らなくなる。
そこで先進国が目をつけたの
が第三世界や第二世界の旧共
産圏だ。特に中国は開放政策
後には資本主義的な工業力の
発展がみられ、かつ人件費が
旧西側とは比較にならない程
安いので、西側各国が製造を
中国に集中させた。
気づけば、中国は日本を抜い
て世界第2位の経済大国になっ
た。
私が学生の頃は考えられない。
国民の殆どが人民服を着てい
て、乗り物は
せいぜい自転車
で、ジーンズやTシャツなど
を着ている者が皆無であった
のが中国だっ
たからだ。兵器
もオリジナルを自作する
技術
も工業力も無く、すべて輸入
してし
た。辛うじてライセン
ス生産していた軍用
銃はライ
センス料をソ連に払わず踏み
倒し
た。
国内で自動車に乗っているの
は党の上級
幹部のみで、華国
鋒が70年代に来日した
時には、
日本に車が多いので腰を
抜かし
ていた。
当時の中国の庶民にとっては、
自動車は
今でいう宇宙船の
ような存在だったから
だ。
そして、中国は資本主義的政
策を導入した
ため、資本主義
の轍を踏んできている。
どんどん人件費と原価が上が
り、賃金格差
が広がり、富め
る者と貧困層が生まれ、
とん
でもないピラミッド社会にな
りつつ
ある。共産主義の何
を学んだというのか。
そして、一切の人権は存在し
ない。
そんな「社会主義」こそが存
在しない。
やはり、「資本主義が高度に
発達した先に
社会主義があり、
さらに共産主義が実現
する」
というマルクスが解明した方
式では
ない、後進国から無理
やりの社会主義建設
などはで
きないのだ。ロシアが典型だ。
だが、先進国で社会主義革命
が起きた歴史
を人類はまだ有
してはいない。
それは、共産主義体制になる
と自己利益が
脅かされるので、
予防線を張って徹底的に
社会
改革勢力を粉砕して封じ込め
る者たち
が国内においてはガ
ス抜きをしながら、
外に向け
ては同類諸国と同盟を結びな
ら自己体制内部で調整
調和させるシステム
を作
りあげたから
だ。
ただ、歴史の皮肉か、社会主
義を標榜する
似非社会主義国
家群よりも、旧西側諸国の

うがずっと社会主義的な社会
保障システ
ムが完備されてき
ている。
まず、ヨーロッパにおいては
ユーロコミュ
ニズムとさえ呼
ばれた議会制を堅持しつつ

会制度を福祉国家としていく
政党が軒並
み政権を取った。
現ドイツやドゴール以降の
フランスの民主
主義は限り
なく社会主義的だし、北欧
など
はもはや本物の社会主
義国家とさえ呼べる
程に熟
成された国となっている。
日本でさえ、今回のコロナ
惨禍の際の政府
の対応は、
後手後手ではあるが、極めて
社会主義的な措置を講じてい
る。
地球上で旧来の資本主義国
家は米国だけ、
というよう
な図式が実は登場している。
世界は歴史から学んでいる
のに、米国のみ
がいつまで
もジャイアンのつもりでいる。
アメリカ合衆国は限りなく
「後進国」だ。
 
話を戻す。
この加工技術は目を見張る。
バックが中国製になってから
は、かなり
品質が落ちた。
これはガーバーもそうだ。
自動小銃のAR-18が日本製が
最高品質で
あったように、あ
るいはM1カービンが
日本の
豊和製が最高品質で米国で
は別物高品質製品と
して取引
されているように、日本人が
行な
う仕事は緻密だ。




このチョイルと刃の境目の
切り欠きは、
ブレードが研
ぎ減った時のことを考えて
のものだ。それと、ゲーム
を捌く際に血
の流れをここ
で止める役目も多少ある。


ブレード長は約9センチ。
これは手の大き
には関係
なく刃物の黄金比なのだ
ろう。
日本人が米国人より小柄だか
らと、自動
小銃が小さく作ら
れることがないように。


全体は20センチを超える。
フォールディングとしては
大型の範疇に
入るが、これ
がかつての標準だった。
現在のスタンダードは小型
化している。
これも趨勢が軍用小銃に似
ている。
 
ただやはり古い設計のまま
なので、使い
勝手の悪い面
もある。
それは、バランスが極端に
後ろ過ぎるの
だ。
ナイフの使い勝手の良さは
バランスに負う
面も大きく、
そのベターなバランスポイ
トは人差し指のあたりと
される。
この110系は真後ろあたり
にバランスポイ
ントがある
ため、ブレードは軽く感じ
が、キャンプなどの使用
ではかなり使い
にくい。
また、ウッドクラフティン
グなど
ではほぼ使えない。
かといって、スキニングで
はどうかという
と、これま
たバランスが悪過ぎる。
1902年に町の鍛冶屋から
一大メーカーに
まで成長し
て、現代ナイフの基礎を築
いた
バックだが、この1964
年登場の110タイプ
は、やは
り古さが否めない。
この64年110こそがそれま
で軍用でしか
頻繁には使わ
れなかったナイフの世界に
スポーツナイフというカテ
ゴリーを確立し
た歴史的な
名品であるのだが、21世紀
の今、古さは
否定できない。
実用面では現代ナイフは半
世紀前とは比べ
ものになら
ない程発達しているからだ。
そうなると、バック110系は、
実用ナイフ
としてではなく
ロマンナイフとなってし

い、卓越していた実用性能
を具備した
110たる意味が
薄れてしまう。
本来の110は実用面で素晴ら
しいから名品
となったのだ
が、時代は110を超えた。
 
しかし、今でも存在感はある。
この安心感がワンテン遣いの
人たちを魅了
するのだろう。
 
バック社の110フォールディン
グハンター。
これが地球の折り畳みナイフ
のスタン
ダードだ。
なる程、ボーイスカウト公式
ナイフとして
もスポーツ性を
波及させたのか。
日本もこうあってほしかった。
「時に一つの先祖伝来品の如
く世代に伝えられる」なんて
くだりは痺れる。
本来、日本刀のあるべき姿が
それだ。