を装着している。
ビリヤードは押し玉主体か引き玉
主体か。
スリークッションの場合には押し
が多く使われるが、四ツ球では
両方使う。
ではポケット・ビリヤードのうち、
アメリカン・プールではどうか。
答えは人それぞれだ。
押しが主体の人もいれば、引きが
主体の人もいる。
帝王マイク・シーゲルなどは引き
玉が主体であるし、女性選手は押
し玉が多い。
私の場合は、押し玉と引き玉のど
ちらが比率が多いかというと、完
全に引き玉主体である。
押しのほうがコントロールが簡単
な場面も多いが、引き玉でも手玉
を前に出したりもできるからだ。
ただ、引き玉は狙いのラインに乗
せることは技術でできても、狙う
エリアへの停止制御が押し玉より
難しい。
最悪なのはチョン突きの押しによ
る転がし玉で、そんなのは撞球で
はない。全方位的にアウト。
引き玉も押し玉も撞点により利か
せ具合を調整するのではない。
ストロークの切れと速度によって
手玉の動きは物理的に決定して
くる。
撞点による使い分けも重要だが、
ストロークで調整できる技能を
有していたほうが対応力は増す。
同じ撞点でもストロークの冴え
の如何により手玉の動きは異なる。
手玉の真ん中を撞いて厚み1/2で
的玉にヒットさせると、教科書
等では90度に分離すると説かれ
ているが、現実の物理現象はそう
ではない。
正接させた軌道はラシャとの抵抗
により玉が引っ張られて90度では
なく厚めに進行する。
これは瞬間的な玉の横滑りが生じ
る現象が発生している為で、その
横滑りをスキッドという。
手玉にヒネリを加えると正規軌道
から的玉がずれる現象が起き、そ
れはスロウという。手玉にヒネリ
を加えずとも、先玉が密着して2個
以上ある場合は、玉とラシャの抵抗
によりスロウが発生して進路が横
にずれる。物理的な実験として玉
同士の接点部分を濡らすとスロウ
は発生しない。
同じ撞点で下を撞いても、ストロー
クの強弱や切れにより手玉の軌道
は自在に任意の角度での分離進行
を得る事ができる。
簡単に言ってしまえば、それが
「腕前」なのではあるが、腕前
を獲得するには脳での認識が重要
になってくる。何がどうであるの
か、という的確な判断力が。
概略的に説明すると、キュー出し
はストロークの強弱と速度性質
の関連について理解していない
と有効ショットを繰り出せない。
強く撞く=キューの冴え=切れ
が出るのではない、という事を
まず脳で認識して、そして体感的
に実感して自己看取する事が極め
て重要だ。
これを理解できない人は、いつま
でも「強く撞けばキューが切れる」
と勘違いしてドカン撞きをしてし
まい、キュー切れも出せず、また
的玉も外す。
そして、重要な事は、キュー切れ
とは、手玉をギュイーンと長距離
移動させる事がキュー切れかと
勘違いしない事だ。
この誤認は、ビリヤード界では非常
に多く、馬鹿みたいに手玉移動距離
を自慢げにキュー切れかのように
披露して「キュー切れ達人」を自称
する識別レベルの低いプロまでいる
始末だ。
また、店舗やネット記事などでも
キュー切れ=手玉の移動距離かの
ような誤謬が非常に多く見られる。
「切れ」とはそういうものでは
ない。
ほんの僅かな手玉移動距離でも
キュキュッと手玉を鋭利に移動
させる事が「キュー切れ」なので
あり、キューの冴えなのだ。
このキュー切れは、日本刀での
斬術に非常に似ていて、日本刀
の世界でも、畳表巻きを何本も
まとめて切れると腕が良いかの
ような大誤認をしているという
考えが浅く剣の理に昏い人間が
多くいる。
その誤認は剣理の真実とは大き
く乖離している。
本当の御手前の冴えというのは、
「どう切れたか」である。
畳表半巻きだろうと、どのよう
な手筋で淀みなく、また鋭く
切れたか、にかかってくる。
大振りしてぶった切ったとて、
それは技前の冴えでもなんでも
ない。
ビリヤードでのキュー切れもそう
であり、短く鋭く引いたり押し
たりできてこそ本物のキュー切
れなのである。
勘違いしている人は非常に多い。
こういう玉出しはキューが切れ
ないとできないが、これは見せ
物のような曲玉ショーなど向け
のショットだ。
次の動画は、実戦的取り方で
どちらもキューを切らせてい
いった動画。撞きの例。
押し玉。
よくこうした「どこまで押せるか」
系がキュー切れと勘違いしている
人たちが多い。
この一球目は失敗である。手玉の
停止制御ができていない。
ネクストをバンクでリカバリーし
たが、この最初の押し玉はミス
ショットである。手玉が勢いよく
長距離移動するのだけがキュー
切れではない。「切らし」とは
本来手玉制御の概念の属性と密接
不可分なので、移動距離ではなく
「狙った軌道と狙ったエリアに
移動させる手玉の動きの冴え」が
どうなのかがポイントになる。
引き玉のキュー切れ。
これが本当のキュー切れだ。
狙った軌道で狙った位置に出す。
キューを利かせて。
特に黒8番を引いて9番に出す引
き玉は移動距離は短くとも非常
にキューが切れている。
本当のキュー切れとはこういう
玉筋の事をいう。
上の押し玉のような長距離を移動
させるのがキュー切れではない。
この正確な識別は撞球においては
極めて重要になってくる。
誤認と誤謬にまみれていては、
正確で正しいショットが実現不能
だからだ。
だからこそ、ビリヤードは「知的
なスポーツ」と呼ばれているので
ある。
よく見極めないとプレーにならない
というところで。
見極めるのは四肢の体感ではない。
脳で判断する。
まず配置を脳で識別し、対処プラン
を脳で判断し、実行する。
まず最初に理知ありき。
それがビリヤードだ。
ほげほげ玉入れだけしているのは
駄目。そこ止まりでおしまいだ。
押し玉のキュー切れによるショット。
狙い通りの位置に手玉を止め、次の
緑6番を取る場所に手玉をポジション
させている。これが本物のキュー切れ。
世界チャンピオンに15回輝いた
ウィリー・モスコー二。
キューストロークのテイクバック
では手の内は緩めたほうが良い。
切れ味と冴えを発揮できるから。
また、手の内の緩めにより、物理
的にキューはまっすぐに出るから。
但し、キュー切れおよび冴えと
キュー出しのまっすぐさの度いに
相関性は無い。
払い撞きでもキュー切れと冴えを
出す事は可能だ。
この事実の認識と識別はかなり重
要。
ビリヤードは、「何が本当で何が
虚偽か」を見抜くゲームである。
簡単な事なのだ。撞球のすべては
物理的な現象でしかない。信号が
赤色ならば赤色なのだ。それを青
であると思い込む識別力の無さが
ビリヤードでの一番の大敵だ。
ビリヤードは極めて人間力が問わ
れるスポーツであるといえる。
常用ナイフがかなり研ぎ減って
しかしまあ、ここ12年でよく研
使い始めの頃のブレード・シル
使用は5歳時から)で最良のフォ
ールダーだが、製造ラインから
して、すぐに生産中止が予測さ
れたからだ。
る。
可動部には史上最強のヤマハ・