



なぜ私が研ぐ刃物が物凄く切れるのか。
それは、特殊な私の技法もあるにはある
が、絶対に外さない鉄則を守っているか
らだ。
その鉄則とは、研ぎの刀身保持のアングル
をぐらつかせないという事ではない。
そんなのは研ぎの大前提だ。
一番重要なのに多くの人が気づいていない
事がある。それこそがド心部の鉄則なの
だ。
それは、「力を入れない事」。
これに尽きる。
研ぎは力技ではないのである。
不必要な力は一切入れない。
研ぎはピアノや弦楽器の演奏に似ている。
ピアノの演奏もfffのみで鍵盤を叩いたら
どんなことになるか。
その演奏は聴けたものではない。
そして、刃物研ぎは2ストエンジン搭載の
オートバイのスロットルワークに似てい
る。
2ストバイクは「120アングルのアクセル
開度があると理解せよ」という鉄則の教え
がある。
それほど繊細な操作をしないと2ストマシン
を適切に走らせる事はできないのだ。
2ストバイクを手足のように乗りこなせて
いる者は、多分であるが、刃物研ぎをして
も能く研げる人かと思う。
繊細な知覚と行動実現性を有する「操縦
者」であるからだ。
戦闘機や旅客機のパイロットもこの種族で
あることだろう。