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○音大学長、奥田良三氏に学ぶべきこと
私は時々、日曜日の朝、NHK、七時半より、
鈴木健二アナウンサー訪問「お元気ですか」を見る時があるが、
昭和59年11月4日朝、奥田氏(当時81才)が話をされたことを大変感銘し、
その時、メモしておいた事を整理して書いておきたい。
奥田良三氏が音大卒業後、イタリーに留学された。
その時、専門的な発声等、基本から教えて貰えると思っていたが、
歌など少しも教えて貰えず、イタリア語を徹底的におぼえさせられた。
ようやくイタリア語をおぼえた時、今度はドイツ語を勉強させられた。
それから後になって、ぼちぼち発声の基本から入ったという。
そうして帰国して如何に日本語の正しい発声が大切かを悟られた。
或る日のこと、浄瑠璃を観劇され、その時の義太夫の語りの
見事な綺麗な日本語の発声に魅せられ、更に本格的に勉強された。
現在、氏の言う「私は歌う時、歌詞が半分、曲が半分、そしてその心を歌う。
即ち作詞家の作られた歌詞の心を歌うべく、発声を大事にし、
作曲家の曲の心を歌うべく発声を心がけている。
歌詞をおろそかにして、歌うことのみ力を入れるのは、到底作詞作曲の心を歌えない」と。
そして今も尚、驚くほど綺麗な発声で歌われている。
九十才、いや百才になっても歌いたいと言われている。
歌を歌い続けるから健康であると。
今、何が欲しいと問われた時、先生は時間が欲しいと言われた。
われわれ剣道を修行する者、このお話をそっくり剣道に置きかえて考える時、
大いに学ぶべきものがある。
○氣について
氣は形の無いものであって、天地間に起こる自然の現象であり、
気象であり、形なくして存在している。気は花で言うなら匂いである。
即ち万物の生成する根源精気である。一刀流に「心気一元」とある。(603頁)
太刀技のはたらきは、心、気、理、機、術の五格の上に立つ。
先ず人を司るのは心である。心と気は本来一元である。心は実であって静である。
気は用であって動である。心ははたらきの潜勢力であり、気は能動力である。
心を水にたとえると、気は波である。
真の気合は作為の暴力ではなく、自然に彷彿として湧出る昇天の大勢であると説明されている。
「闘戦経」に気とは全宇宙を包み、万物を生成する原動力である。
この気が動いて宇宙間にもろもろの形相を現滅すると解されている。
このように気とは精気万物のもとであり、無形乍ら自ずと相感応するものである。
故に我々人間の日常生活に使う言葉の中に気のつくものが沢山ある。
大自然から生まれた人類の必然性なものである。
その一例をあげると。天気、陰気、陽気、電気、気合、気持、気配、気短、気長、
人気、空気、大気、気圧、気流、気温、気力、気勢、気丈、勇気、気転、気魄、意気、
本気、気分、病気、狂気、気質、気味、気がきく、気がある、気をつける、気をもます、
気がめいる。気にふれる、気にする、気が小さい、気が大きい、気をつかう等々、
挙げればきりがないが、この際、改めて気の大切さを知るべきであろう。
○少年のやる氣について
体を動かす原動力は「やる気」である。即ち生きる力である。
動物は動くもの、即ち動き廻らないと生きていく事が出来ない生命体で、
これ等はすべて「やる気」が起こらないと動かない。
指導者はこの「やる気」を大きく作り伸ばすよう、
1)楽しさ、2)自由さ、3)面白さ の三つの条件を揃えるよう念頭に入れること。
子供は楽しくないと「やる気」は伸びないのである。(川合月海先生のお説より)
以下続く