く~にゃん雑記帳

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<筒井町・出来町天王祭> 「徳川園山車揃え」計5両が一堂に

2018年06月05日 | 祭り

【からくりの妙技と山車の〝どんでん〟に大歓声】

 名古屋市東区で6月2~3日「筒井町天王祭」と「出来町天王祭」が行われ、町民の無病息災や家内安全を願って重厚な山車が曳き回された。両天王祭はそれぞれの町内をエリアとする別々のお祭りだが、日曜日の3日には徳川美術館前の広場で「徳川園山車揃え」があり、筒井町の山車2両と出来町の山車3両の計5両が一堂に会して、からくり人形の妙技を披露した。

 両天王祭は名古屋市内の夏祭りの先駆けとして長い伝統を持つ。山車5両はいわゆる名古屋型と呼ばれる構造。高さ6m前後の二層式で、本体の外側に付く車輪は輪懸けという枠で覆われる。5両のうち古出来町の「王義之車(おうぎししゃ)」を除く4両は江戸時代の建造で、とりわけ筒井町の「湯取車(ゆとりぐるま)」は名古屋市内に現存する山車の中で最も古い1658年(万治元年)の製作といわれる。「王義之車」も江戸中期の1740年代に造られたが、戦災で焼失したため戦後に再建された。

 

 両町5両の山車揃えは尾張徳川家の別邸跡に整備された庭園「徳川園」の再開園を機に2006年から始まった。会場は同庭園と徳川美術館、尾張徳川家伝来の書籍類を収蔵・公開する逢佐(ほうさ)文庫に囲まれた広場で、3日午前11時すぎ、法被姿の子どもたちに曳かれて1両ずつ入ってきた。全5両が勢揃いしたところで、新出来町の「鹿子神車(かしかじんしゃ)」を皮切りに1両ずつ自慢のからくり演舞を披露した。

 

 各山車の上段には山車の進行を鼓舞する〝采振り〟も含め4体のからくり人形が乗る。湯取車のからくりは安倍晴明の前で巫女が行う湯取り神事を再現したもの。巫女が窯の中をかき回した途端ぱっと白い紙吹雪が舞うと、見上げていた観客から大きな歓声と拍手が沸き起こった。各山車はからくりが終わると、次の山車へ場所を譲るため後輪を持ち上げぐるっと180度方向転換して退く。いわゆる〝どんでん〟と呼ばれるもので、中には頑張って1回転半する山車もあった。

 

 日が落ちると、各山車には百数十個の提灯が飾られろうそくに灯が入った。その夜の曳行もなかなか幻想的だが、山車同士の〝出合い〟の場面はとてもロマンチックで感動的だった。筒井町天王祭では建中寺公園前で夜の装いを整えた「神皇車」がお囃子に乗って筒井町商店街を東へ。約30分後、東側で待機していた「湯取車」と対面した。しばらくして「神皇車」は方向転換し「湯取車」を従えるようにして再び建中寺公園前に向かった。まるで年に1度出会う七夕の織姫と彦星。2両は「筒井天王社 氏子中」と書かれた大きな幟の間に仲良く並んでからくりを披露した。

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