【オーストラリア原産、江戸時代末期に渡来】
キク科ムギワラギク属。原産地はオーストラリアで、本来は多年草だが、寒さに弱いため日本では園芸上1年草として扱われる。黄や赤、紅、オレンジ、白など色鮮やかな花色で、秋蒔きの場合は翌年の5~6月頃、春蒔きでは7~9月頃に咲く。高さが60~100cmになる花壇向きの高性種と、鉢植えやプランター向きの高さ30~40cmの矮性種がある。
学名は「ヘリクリサム・ブラクテアツム」。属名から「ヘリクリサム」と呼ばれることも多い。ヘリクリサムの語源は「太陽」と「黄金」から。種小名ブラクテアツムは「苞葉のある」を意味する。その種小名が示すように、花弁のように見える総苞片が幾重にも重なって中央の小花を囲み込む。花径は3~6cm。総苞はガラス質の珪酸を含むため硬くて光沢があり、触れるとカサカサとした独特の質感を持つ。
ムギワラギクの名前も麦藁細工のような花の質感から名付けられた。「テイオウカイザイク(帝王貝細工)」という別名もある。ただ同じオーストラリア原産のキク科植物に「カイザイク」があるので少々紛らわしい。1属1種で、この花も2枚貝の内側のような金属的な光沢がある。ムギワラギクは花色が長く褪せないため、ドライフラワーとしても人気が高い。英名では「Everlasting Flower(永遠の花)」と呼ばれているそうだ。仲間にハナカンザシ(花簪)やペーパーデージー、シルバーキャンドルなどがある。
ムギワラギクが日本に渡ってきたのは江戸時代の末期といわれる。磯野直秀氏作成の『明治前園芸植物渡来年表』によると、1860年(万延元年)に江戸幕府が日米修好通商条約の批准書交換のため派遣した遣米使節が、ネモフィラやラベンダー、スイートピー、パンジー、ペチュニアなどの種子とともに持ち帰ってきたそうだ。