く~にゃん雑記帳

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<ワスレナグサ(勿忘草)> 中世ドイツの悲恋物語に由来

2018年06月16日 | 花の四季

【径1cm弱の青紫色の小花、日本には「エゾムラサキ」が自生】

 ヨーロッパ~西アジアに分布するムラサキ科ワスレナグサ属の多年草。ただ暑さに弱いことから日本では夏越しできず1年草扱いされている。花期は晩春~初夏。総状花序に直径1cm弱の青紫色の小花をたくさん付ける。園芸品種には白やピンクの花も。花冠は先が5裂し、中心に黄または白の目が入る。庭に一度植えると、こぼれ種によって翌年また芽を出すことも多い。

 この花は中世ドイツの悲恋物語で有名。ドナウ川の畔を歩いていた若い騎士ルドルフは恋人ベルタのため花を摘もうと川岸へ。ところが、その花を手に戻って渡した直後、足を滑らせ急流にのみ込まれてしまった。ベルタに「僕のことを忘れないで」という言葉を残して。そして、その花はドイツで「Vergiss mein nicht(フェアギス・マイン・ニヒト)」、英語で「Forget me not(フォゲット・ミー・ノット)」と呼ばれるようになった――。和名は明治時代の植物学者川上瀧彌(1871~1915)がその英語を「勿忘草」「忘れな草」と訳したもの。花言葉は「私を忘れないで」「真実の恋」。

 ワスレナグサ属(学名ミオソティス属)は北半球に約50種ある。広義ではそれらを総称してワスレナグサと呼ぶが、狭義ではスコルピオイデス種を指す。その和名は「シンワスレナグサ(真勿忘草)」。日本に自生するワスレナグサ属は北海道~本州中部の高原の湿地に生える「エゾムラサキ(蝦夷紫)」の1種だけ。この時期、尾瀬や上高地、開田高原などで群落が見られる。国内では一般にこのエゾムラサキや「ノハラ(野原)ワスレナグサ」と呼ばれるアルペストリス種、それら両種の交雑種がワスレナグサとして流通している。「夕さりぬ勿忘草へ山の風」(伊藤敬子)

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