く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<シチダンカ(七段花)> 六甲で〝再発見〟された幻のアジサイ

2018年06月14日 | 花の四季

【装飾花が八重咲き、ヤマアジサイの変種とも】

 江戸時代後期に来日した医師・博物学者シーボルト(1796~1866)が大著『フローラ・ヤポニカ(日本植物誌)』の中で紹介したものの、誰も実物を見たことがなく標本もなかったことから、長く〝幻の花〟といわれてきた。それが偶然見つかったのはシーボルトの帰国から130年後の1959年。発見場所は神戸市の六甲ケーブルの西側で、農学博士の室井綽(ひろし)さん(1914~2012)がシチダンカと確認した。

 シチダンカはヤマアジサイ(別名サワアジサイ)の変種といわれる。中心部の小さな両性花を花弁状の萼(がく)からなる装飾花が囲む。その装飾花が八重咲きなのが大きな特徴で、先が尖った萼片が何段も折り重なって、まるで星が輝いているようにも見える。花色は咲き進むにつれ淡いピンクから薄紫、藍色と微妙に変化していく。葉の幅は他のアジサイに比べやや細め。その上品な花姿からヤマアジサイの中でも特に美しい名花と称えられている。

 もう一つの特徴は両性花が未熟なまま開花しないで落ちてしまうこと。そのため種ができず自然繁殖しにくい。六甲山にある神戸市立森林植物園は長年、挿し木による増殖に取り組んできた。その結果、今では全国各地の公園や植物園でシチダンカを見かけるようになってきた。森林植物園では今ちょうど見頃を迎えているとのこと。同園のあじさい園にはシチダンカも含め約350品種5万株のアジサイがあり、6月16日~7月16日には「森の中のあじさい散策」と銘打って多彩なイベントを予定している。

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