【クレマチスの仲間、その名は種子に密生する羽毛状の綿毛から?】
キンポウゲ科センニンソウ属(クレマチス属)の多年性つる植物。全国各地の日当たりのいい山野に自生し、朝鮮半島や中国、台湾などにも分布する。晩夏から初秋にかけて茎の先や葉の脇から集散花序を出し、直径3cmほどの十字型の白花を上向きに付ける。花弁に見えるのは萼片で、中心部から多数の雄しべが放射状に広がる。
学名は「Clematis terniflora(クレマチス・テルニフローラ)」。属名クレマチスは「ツル」や「巻き上げ」を意味するギリシャ語に由来し、種小名は「3つの葉の」を意味する。センニンソウの葉は奇数羽状複葉で3~7枚の小葉からなる。センニンソウ属は日本にテッセン、カザグルマ、ボタンヅル、ハンショウヅルなど20種あまりある。その中でセンニンソウによく似るのがボタンヅル。その名の通りボタンの葉に似て、小葉の縁にはギザギザの鋸歯がある。
花後にできる果実は卵形で扁平な痩果(そうか)。雌しべの花柱が落ちずに残って長く伸び、白い綿毛に覆われる。その様子を仙人の髭や白髪にたとえてセンニンソウと名付けられたという。他のキンポウゲ科の植物同様プロトアネモニンなどの有毒成分を含み、葉や茎から出る汁に触るとかぶれや水ぶくれなどを引き起こす。センニンソウを「ウマクワズ」や「ウシクワズ」と呼ぶ地方も。これも有毒なため馬や牛でも口にしないことから。「白雲の一朶蘺の仙人草」(川島彷徨子)